シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

歴史は繰り返さないが韻を踏む

ギリシャで選挙に勝利したチプラス政権は、欧州連合との対決姿勢を鮮明にしています。 ギリシャとEU・ECBの経済的対立。 これにはある種の既視感が漂っています。欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)は、ギリシャで財政再建方針に反対するチプラ…

韓国では政府債務は日本より大きく伸びているのに財政は健全という謎

財政問題が深刻に報じられる日本では1990年から2013年までの24年間に、政府債務は3.7倍も増加しました。 ところが隣国韓国では政府債務は同じ期間になんと18.3倍も増加しています。一方、日本の財政健全性指標(政府債務÷名目GDP)は243ときわめて大きいのに、…

名目GDPが縮んでも実質値では縮まない、は本当か

最近、ブログのコメント欄でデフレになって名目GDPが減っても実質GDPには悪影響はないという主張をみました。 パラレルワールドは実存しないのですが、物価データなどから「デフレにより名目GDPが減っても実質GDPは減らない」説を検証してみたいと思います。…

95年財政危機宣言時の財政状態は悪くなかった

昨今では当たり前のようになってしまった日本の政府債務問題。これは客観的にはいつ頃から問題化したのでしょうか。 図は日本の政府純債務対名目GDPの世界でのワースト順位を示しています。現在の日本は粗債務だけでなく、純債務でみても対名目GDP比が非常に…

「財政危機」は消費税が創りだす

安倍首相は経済成長と財政再建の二兎を追うと宣言して、消費税増税に踏み切りました。 ただ、消費税増税こそが「財政危機」を創り出している可能性があります。今日の報道では、12月の消費支出が3・4%減り、9ヶ月連続の減少で、東日本大震災の時期の記録…

イエレン、トービン、ケネディそして…

現在のFRB議長イエレン氏はジェームス・トービン氏の秘蔵っ子だったと言われています。 現代は、故トービン氏が活躍した時代と何が異なっているのでしょうか。 少々古い本ですが、W.カール・ビブン氏の書籍にその答えが書かれていました。イエレン議長FRB…

再考・ケインズ経済学と量的緩和拡大

現在のアベノミクスでは、日銀が量的質的緩和で大量のマネーを金融機関に供給する一方、政府部門では財政再建を目指して緊縮財政を続けています。 この選択は正しいのか、ケインズ経済学モデルを改良した簡単なモデルを使って考えてみました。中央銀行にして…

全てのマネーは債務

近年は政府債務の多さが盛んに報じられています。 ただ、「全てのマネーは債務である」という事実はまだ大多数の人々が知らないため、誤った議論が横行しているように思います。全てのマネーは債務である最初に大きく書きましたが、大多数の方が「そんなわけ…

消費税増税は2年目こそ恐い

消費税が上がって8ヶ月余り。 経済アナリストの多くは2015年は消費増税後の駆け込み需要の反動より、ゆるやかな回復に向かうとみているようです。 ただ、5%に消費税が上った1997年前後の各指標から推測すると、そうした見通しは楽観的過ぎるように思われます…

日本の財政問題を救うには消費税減税が有効

今日20日の日経新聞「経済教室」に、一橋大学・祝迫先生により最近のマイナス家計貯蓄率の解説と、将来の政府債務が国内だけでファイナンスされなくなる可能性について載っていました。 結論としては、企業による貯蓄率が維持されて、家計に変わって政府債務…

経済学者からお叱りを受けそうなピケティ本「書評」

現在ピケティの「21世紀の資本」が話題だそうですね。 正直な話、私はこの本は読んでいないし、読むほどの興味も持っていないんです。 なのに読んでいないこの本の書評という無謀なチャレンジをしてみたい気になりました。第三の波平氏のブログで、ピケティ…

スイス経済の何が問題だったか

今週もスイスフランショックがリスク要因として意識されそうです。 健全性だけが目立っていたスイス経済で何が起こっていたかを考えていくと、スイスの中央銀行に当たるスイス国立銀行(SNB)の資産内容と、スイス政府の財政健全化政策に問題の源泉があったよ…

スイス国立銀行総裁の不思議な翻意

今日時点でも、スイスフランショックは続いています。 スイスが自国通貨スイスフランを事実上ユーロにペッグするのを止めた理由としては、近いうちに欧州中央銀行(ECB)が金融緩和に踏み切り、一段とユーロ安になると予想されたためという報道があります。 …

スイス国立銀行の挫折と日本のデフレ

今夕、スイス国立銀行(中央銀行)がこれまで続けてきた事実上のスイスフランのユーロペッグを止めると発表したことから対円でも一時50%ほどのスイスフラン高となり、今もその余震は続いています。 このニュースはそれ自身、今後の成り行きが注目されます。 …

「iPS細胞だって競争的研究資金」というビジョンのなさ

今日は普段と毛色の違う話題です。*1 先日、STAP細胞は存在しないことが報道されていました。 今年4月頃の段階ではSTAP細胞など存在しないことはほとんどの人が確信していたでしょう。 それを更に半年以上の時間を時間・ヒトをかけてやはり存在しなかったと…

ふたつの東京オリンピック前の経済状況

先日から政府債務と名目GDPの関係についていくつか記事を書いています。 その結論のひとつは、現代日本やギリシャは財政健全性指標が急速に悪化していますが、その理由は政府債務自身の伸びが大きいことではなく、他の大半の諸国とは異なり、名目GDPの伸びが…

日本に必要なのは「毒を食らわば皿まで」?

日本の財政健全性指標はギリシャを超えて世界最悪です。 本日はちょっとした思考実験とシミュレーションから、今後日本はどうするべきかについて考えてみたいと思います。先日から名目GDPと政府粗債務の関係、いわゆる財政健全性指標について書いてきました…

利他を知る人は幸せ

今日は趣向を変えまして、自分の日記として普段思っていることを少々。先日、ノーベル賞の授賞式があり、今年のノーベル平和賞はマララ・ユスフザイさん(17歳)が受賞しました。受賞前後での彼女の発言です。 One child, one teacher, one pen and one book c…

財政学者は6段階目の欲求を知らない?

アブラハム・マズローといえば、欲求の5段解説を唱えた心理学者として有名です。 ただ晩年のマズローは欲求に6段階目もあると考えていたようです。啓蒙書などでもよく知られていますが、マズローが唱えた「欲求段階説」で人間の欲求は、5段階のピラミッドの…

日・中・ギリシャの財政健全性指標

昨日書いた記事 安倍首相が犯しつつある大きな誤ち - シェイブテイル日記 では、特に図表1で示した政府債務と名目GDPの関係に興味を持っていただいた読者の方が少なくなかったようですので、同じ分析を日本・中国・ギリシャでやってみました。緊縮指向の日本…

安倍首相が犯しつつある大きな誤ち

今回の衆議院選挙では安倍首相はアベノミクスとともに、消費税増税の延期を掲げ、「景気回復、この道しかない」と選挙で訴え圧勝しました。しかし、シェイブテイルとしては前回衆議院選挙のような「これで日本もデフレから脱却できる!」という高揚感があり…

名目GDP増加策と政策実現性の関係

今日12月14日は衆議院選挙当日です。経済政策ではアベノミクスを掲げた安倍自民党が圧勝しそうな勢いですが、気分は晴れません。安倍首相はこのままでは、本意か不本意かはともかく、消費税10%増税を実行し日本経済を壊滅させかねません。そこで今日はそうし…

トリダスの開発と名目GDP向上

ここ2回ほど「目指すべき頂は見えている」というタイトルで、日本経済の問題は名目GDPの伸びの低さであり、それに対する処方箋も、立場を超えた人々から、ある程度は最大公約数的には見えているという記事を書きました。そこで私はとりあえずツイッターに #…

目指すべき頂は見えている、の続き

昨日書いた目指すべき頂は見えている - シェイブテイル日記 のその後です。少数のブコメを見て、ちょっと誤解を招いたかなと思いましたのは私自身の位置づけについてです。 実は私は「デフレ脱却実践記」という別ブログで、減価する地域通貨を介した、限定し…

目指すべき頂は見えている

安倍首相は「この道しかない」とアベノミクスの妥当性と継続を訴え、衆議院選挙に踏み切りました。 12月14日の投票日も迫りつつあります。ただ残念なことに、アベノミクスの実績面では、消費税8%増税が実施されて以降はGDPが低迷し、またアベノミクスの…

「社会保障、別の財源模索を」伊藤周平教授

今朝の日経新聞には社会保障と消費税の関係について伊藤周平・鹿児島大学教授による極めて明快な意見が述べられていました。 国政を左右する衆議院選挙を前に政治家・国民ともに是非一読していただきたい内容だと思われます。今朝の日経朝刊経済教室欄に載っ…

デフレ脱却には財政ファイナンスは常道

財政ファイナンス。 マスコミでは決してやってはならない経済政策上のタブーとして語られることが殆どです。 しかし過去のデフレ事例を見てみると、財政ファイナンスのまるで違った姿が見えてきます。 今朝の日経新聞でも日銀の審議委員の中に財政ファイナン…

マネーの発明はいつだったのか

専門家の間でもマネーが発明された時期には定説はないようです。 今日はこのマネーの歴史について、私なりの考察をしてみたいと思います。◇マネーの発明:いくつかの見解 マネーがいつ発明されたかは、マネーをどう定義するかにより時期が大幅に異なってきま…

大昔、物々交換などなかった

「大昔物々交換があり、その不便さを解消すべく、商品の中から変質しにくい金属などが選ばれてマネーとなった。」 この一般人のみならず、経済学者にも堅固に信じられている「標準貨幣論」に対して、人類学などの分野からは異も出ているようです。 こうした…

消費税の赤信号も皆で渡れば恐くない?

政府は4日、消費税率を来年10月に10%に引き上げるべきかの判断のため、有識者に意見をきく点検会合を首相官邸で開きました。 その中で、中小企業が属する514の商工会議所の元締め日本商工会議所と700万人近い労働者が所属する労働組合の元締め連合が消費税…