シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

2014-01-01から1年間の記事一覧

「iPS細胞だって競争的研究資金」というビジョンのなさ

今日は普段と毛色の違う話題です。*1 先日、STAP細胞は存在しないことが報道されていました。 今年4月頃の段階ではSTAP細胞など存在しないことはほとんどの人が確信していたでしょう。 それを更に半年以上の時間を時間・ヒトをかけてやはり存在しなかったと…

ふたつの東京オリンピック前の経済状況

先日から政府債務と名目GDPの関係についていくつか記事を書いています。 その結論のひとつは、現代日本やギリシャは財政健全性指標が急速に悪化していますが、その理由は政府債務自身の伸びが大きいことではなく、他の大半の諸国とは異なり、名目GDPの伸びが…

日本に必要なのは「毒を食らわば皿まで」?

日本の財政健全性指標はギリシャを超えて世界最悪です。 本日はちょっとした思考実験とシミュレーションから、今後日本はどうするべきかについて考えてみたいと思います。先日から名目GDPと政府粗債務の関係、いわゆる財政健全性指標について書いてきました…

利他を知る人は幸せ

今日は趣向を変えまして、自分の日記として普段思っていることを少々。先日、ノーベル賞の授賞式があり、今年のノーベル平和賞はマララ・ユスフザイさん(17歳)が受賞しました。受賞前後での彼女の発言です。 One child, one teacher, one pen and one book c…

財政学者は6段階目の欲求を知らない?

アブラハム・マズローといえば、欲求の5段解説を唱えた心理学者として有名です。 ただ晩年のマズローは欲求に6段階目もあると考えていたようです。啓蒙書などでもよく知られていますが、マズローが唱えた「欲求段階説」で人間の欲求は、5段階のピラミッドの…

日・中・ギリシャの財政健全性指標

昨日書いた記事 安倍首相が犯しつつある大きな誤ち - シェイブテイル日記 では、特に図表1で示した政府債務と名目GDPの関係に興味を持っていただいた読者の方が少なくなかったようですので、同じ分析を日本・中国・ギリシャでやってみました。緊縮指向の日本…

安倍首相が犯しつつある大きな誤ち

今回の衆議院選挙では安倍首相はアベノミクスとともに、消費税増税の延期を掲げ、「景気回復、この道しかない」と選挙で訴え圧勝しました。しかし、シェイブテイルとしては前回衆議院選挙のような「これで日本もデフレから脱却できる!」という高揚感があり…

名目GDP増加策と政策実現性の関係

今日12月14日は衆議院選挙当日です。経済政策ではアベノミクスを掲げた安倍自民党が圧勝しそうな勢いですが、気分は晴れません。安倍首相はこのままでは、本意か不本意かはともかく、消費税10%増税を実行し日本経済を壊滅させかねません。そこで今日はそうし…

トリダスの開発と名目GDP向上

ここ2回ほど「目指すべき頂は見えている」というタイトルで、日本経済の問題は名目GDPの伸びの低さであり、それに対する処方箋も、立場を超えた人々から、ある程度は最大公約数的には見えているという記事を書きました。そこで私はとりあえずツイッターに #…

目指すべき頂は見えている、の続き

昨日書いた目指すべき頂は見えている - シェイブテイル日記 のその後です。少数のブコメを見て、ちょっと誤解を招いたかなと思いましたのは私自身の位置づけについてです。 実は私は「デフレ脱却実践記」という別ブログで、減価する地域通貨を介した、限定し…

目指すべき頂は見えている

安倍首相は「この道しかない」とアベノミクスの妥当性と継続を訴え、衆議院選挙に踏み切りました。 12月14日の投票日も迫りつつあります。ただ残念なことに、アベノミクスの実績面では、消費税8%増税が実施されて以降はGDPが低迷し、またアベノミクスの…

「社会保障、別の財源模索を」伊藤周平教授

今朝の日経新聞には社会保障と消費税の関係について伊藤周平・鹿児島大学教授による極めて明快な意見が述べられていました。 国政を左右する衆議院選挙を前に政治家・国民ともに是非一読していただきたい内容だと思われます。今朝の日経朝刊経済教室欄に載っ…

デフレ脱却には財政ファイナンスは常道

財政ファイナンス。 マスコミでは決してやってはならない経済政策上のタブーとして語られることが殆どです。 しかし過去のデフレ事例を見てみると、財政ファイナンスのまるで違った姿が見えてきます。 今朝の日経新聞でも日銀の審議委員の中に財政ファイナン…

マネーの発明はいつだったのか

専門家の間でもマネーが発明された時期には定説はないようです。 今日はこのマネーの歴史について、私なりの考察をしてみたいと思います。◇マネーの発明:いくつかの見解 マネーがいつ発明されたかは、マネーをどう定義するかにより時期が大幅に異なってきま…

大昔、物々交換などなかった

「大昔物々交換があり、その不便さを解消すべく、商品の中から変質しにくい金属などが選ばれてマネーとなった。」 この一般人のみならず、経済学者にも堅固に信じられている「標準貨幣論」に対して、人類学などの分野からは異も出ているようです。 こうした…

消費税の赤信号も皆で渡れば恐くない?

政府は4日、消費税率を来年10月に10%に引き上げるべきかの判断のため、有識者に意見をきく点検会合を首相官邸で開きました。 その中で、中小企業が属する514の商工会議所の元締め日本商工会議所と700万人近い労働者が所属する労働組合の元締め連合が消費税…

文字起こし:変質アベノミクスを畑浩治議員が糾す

衆議院予算委員会で、生活の党・畑浩治議員が消費税後のアベノミクスについて的を射た質問をしました。 畑浩治氏は*1 元民主党でしたが、野田佳彦元首相が強硬に進める消費税増税などを含む社会保障・税一体改革関連法案の提出を表明した際には、法案の内容…

マネーの正体は貸借-21世紀の貨幣論

最近出版されたフェリックスマーティン著「21世紀の貨幣論」(原題:Money: The Unauthorized Biography)は、貨幣史を検討した上で、貨幣とは金貨でイメージされる商品貨幣ではなく、誕生したころから信用・決済のシステムだったという結論を得ました。この「…

反リフレ派教授が暗示するリフレ政策選択肢

今日のBloombergでは、日銀関係者が来年後半での物価上昇の見通しを撤回するとの報道が伝えられています。 こうしたタイミングで、リフレ政策としてインフレターゲット+異次元緩和という金融政策だけがインフレ期待に訴える唯一の道か考えてみても良いのか…

「浜田宏一先生と同じ派」はもう無理です

リフレ派の重鎮、エール大学の浜田宏一名誉教授が、今日の日経新聞のインタビューに対し注目すべき発言をしています。 この発言をみて、私事ですが、現在のアベノミクスを支持するリフレ派でデフレ脱却は不可能という思いが強まりましたので、これまでの広義…

大阪都構想と「京名経済圏」

橋下大阪市長が推進したい大阪都構想は大阪市議会で多数派を占める都構想反対派により暗礁に乗り上げつつあります。 その一方では、リニア中央新幹線・北陸新幹線が着々と建設されつつあり、これらの結果、将来大阪都どころか大阪県になってしまうおそれもあ…

カナダ中央銀行の分かりやすい「通貨発行益」

紙幣が発行される時のシニョレッジ(通貨発行益)について、大変分かりやすい説明が、カナダ中央銀行ウェブサイト内にありました。今回はこれをご紹介します。 政権につく直前の安倍自民党総裁が、次のように語ったとして、一時話題になっていました。 •1万…

矛盾してません?

本日はちょっとした意見表明です。リフレ派内でちらちらみられる、 ・デフレ脱却は金融政策で十分 ・財政政策は害があるのみ ・だが消費税でデフレ脱却は困難になった。 この3つを同じ人が主張するのは矛盾じゃないですかね? 消費税を「負の財政政策」と理…

内閣府モデルの大罪(2)

昨日書いたように内閣府モデルは、財政政策を否定するマクロ経済モデルとして特異的なものですが、その歪んだ特性として、消費税増税に肯定的な結果が出ることも指摘されています。昨日はこのブログで、竹中平蔵氏がすげ替えたマクロ経済モデルがデフレ日本…

内閣府モデルの大罪(1)

10月16日に開催された参議院 財政金融委員会で、与党・自民党の西田氏が、政府が政策立案に使っている内閣府モデルの欠陥について指摘しています。西田昌司氏の発言は昨日10月16日の参議員・財政金融委員会でのことです。 *1 以下はそこからの、かいつまんだ…

消費税増税有識者アンケートにみる有識者らの姿

今日の日経新聞朝刊に、「消費税、予定通り10%」が6割 有識者アンケート と題した記事が載っています。消費税が8%に増税された4月以後、多数の経済指標が大幅悪化していますが、これは字句通りに受け取って良いのでしょうか。アンケートの対象は、昨年8…

日本経済はブレーキを踏むためにあるのか

ある経済入門書を眺めていたら興味深い絵に目が止まりました。 これを現代日本に当てはめるとどうなるのでしょう。眺めていた本は「図解雑学ケインズ経済学」。 もっとも、興味深い絵というのはケインズ経済学に限ったものではありません。(図1) 至極まっ…

ヨレヨレ? 変質アベノミクス

今日の日経朝刊5面には現状政策を肯定する人たちから見てもアベノミクスが万全とは言えない状況が凝縮されていました。 私シェイブテイルは現状のアベノミクスは消費税により大きく変質していると捉えていますし、アベノミクスに消費税を付け足しても問題は…

宍戸氏:内閣府のシミュレーションはインチキだ

宍戸駿太郎先生が、消費税で変質したアベノミクスについて語っています。 宍戸先生のマクロ経済モデルによれば、数年後も消費税増税の傷跡は深いようです。(以下THE FACT チャンネル(2013/9)からの引用) ナレーション 2013年8月に政府が開催した消費税集中…

アベノミクス 増税回避の矢はあるのか

今年7-9月期の経済状態をみながら判断するとされる10%消費税増税問題。 政界での増税推進派と凍結派の動きも次第に活発化しているようです。エレクトリックジャーナルで執筆する平野浩氏はツイッターで次のようにつぶやいています。 12日夜のこと。増税決…