シェイブテイル日記2

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財政学者は6段階目の欲求を知らない?

アブラハム・マズローといえば、欲求の5段解説を唱えた心理学者として有名です。 ただ晩年のマズローは欲求に6段階目もあると考えていたようです。

啓蒙書などでもよく知られていますが、マズローが唱えた「欲求段階説」で人間の欲求は、5段階のピラミッドのようになっていて、底辺から始まって1段階目の欲求が満たされると、次の1段階上の欲求を志すというものです。

マズローの欲求5段階説(原図はウィキペディアより)

その5段階とは

1.生理的欲求(Physiological needs)
2.安全の欲求(Safety needs)
3.所属と愛の欲求(Social needs / Love and belonging)
4.承認(尊重)の欲求(Esteem)
5.自己実現の欲求(Self-actualization)

とされています。

ただ、マズローは晩年、欲求には6段階目があると唱えました。

それは「自己超越」という段階です。
自己超越者(transcenders)についてマズローはいくつもの特徴を見出していて*1、「彼らは人口の2%程度しかいない」と具体的に述べています。

彼ら自己超越者たちは「他人の不幸に罪悪感を抱く」という特徴があります。

要するに欲求の第6段階では利他的なんですね。

マズローの高次欲求は低次欲求と矛盾はしません。

つまり第6段階で利他的になったからといって自己犠牲だけ考えるわけではないし、ましてや自己否定はしません。

話を急に変えるようですが、シェイブテイルは日本の財政学者らが「日本経済は近い将来破綻する」「消費税を上げることはそれだけでは不足だがmustである」などといったことを殆ど全員主張することに奇異の念が拭えませんでした。

なぜって、日本経済は少なくとも予測できる将来に渡って、破綻するはずはないですし(上の記事)、また消費税を上げれば上げるほど、日本の財政状態は悪化するからです(下の記事)。

こうしたことを、東大や慶応大学といった有名大学で教鞭を取る優秀な経済学者特に財政学者が知らないはずはありません。

知らないはずはないのに、なぜ間違った主張をほぼすべての財政学者が判で押したように主張するのでしょうか。

これは人の心の中の話ですから結論は解りません。

ただ、消費税を上げたい財務省の歓心を買えることは疑いありません。
財務省の歓心が買えれば、政府の諮問会議・審議会・専門委員あるいは特別顧問などにお声がかかり、またマスコミからも盛んに取材を受けられます。
何と言っても、この自分が日本を動かしているという高揚感は他に代えがたい喜びでしょう。
要するにマズローの欲求5段階の頂点、自己実現を極めることができるのです。

ただ、実は人間には自己実現を超えた、究極の欲求があるわけです。 それが利他の心です。

消費税を上げれば、「国民全員が苦しむに違いない」「自分がその苦しみの種をまく片棒を担いでよいのだろうか」

利他的な財政学者はそう悩むでしょう。

ところが現実の日本の財政学者の皆さんは欲求の第5段階「自己実現」を極めたことで満足されているようです。 

財政学者の皆さん。 一度マズローの第6段階の欲求、あるいは「利他」の心というものを調べてみるところからはじめませんか? そうすれば財政学者の皆さんは国民の怨嗟の対象から尊敬の対象に変わるでしょう。

*1:1.「在ること」(Being)の世界について、よく知っている
2.「在ること」(Being)のレベルにおいて生きている
3.統合された意識を持つ
4.落ち着いていて、瞑想的な認知をする
5.深い洞察を得た経験が、今までにある
6.他者の不幸に罪悪感を抱く
7.創造的である
8.謙虚である
9.聡明である
10.多視点的な思考ができる
11.外見は普通である(very normal on the outside)