シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

2014-01-01から1年間の記事一覧

リフレ派にみていただきたい一枚の図

今日は見ていただきたい図表はたった1枚です。 大恐慌期の米国での物価と政府赤字(支出)額の関係です。(図1)デフレ期の政府支出と物価上昇は一見バラバラな関係? 図1 連邦政府赤字額12ヶ月移動平均とCPI対前年比伸び率 出所:向井文雄(2013)「日本国債のパ…

4人目のデフレ総裁

9月11日、黒田東彦日銀総裁は追加緩和に言及し、ドル円も107円まで円安が進んでいます。 ただこの追加緩和発言、これまでとは少々意味合いが異なるようです。 黒田東彦総裁が11日に追加金融緩和に言及したのは、消費税率を10%へ予定通り引き上げるよう政府…

日銀とFRBのインフレ目標政策の違い

インフレ目標に量的緩和。 よく知られているように、現在日銀もFRBも共に採っている戦略です。 しかし、両者には少々異なった点があるようです。先進国で唯一インフレ目標政策が取られていなかった日本ですが、昨年1月、アベノミクスに伴い、ようやく日銀も…

政府債務問題は2030年に消失する?

現在日本の政府債務は1000兆円を超えています。 ところが現在のアベノミクスを続けていくと、2030年には政府債務問題は消失するかも知れません。 現在の政府債務残高は、国債に限っても約1000兆円です。 これを巡り、政界では「消費税は15%、いや30%でも財政…

日欧で考慮が必要な「固体経済」

現在の日本経済は政府債務急増とデフレの板挟みに苦しんでいます。 最近ではユーロ圏までもが「日本化」に苦しみだしたようです。 これらに良い処方箋を考えるのに、これまでの経済学の枠組みはかえって邪魔になっているのではないでしょうか。これまでの経…

安倍首相は二者択一が必要だったのだろうか

改造安倍内閣の人事がネットでは波紋を呼んでいます。 注目されるのが、自ら自民党総裁として消費税増税に邁進した谷垣氏の党幹事長起用です。この4-6月期は個人消費を中心に景気が落ち込み、実質GDPの前期比は年率換算でマイナス6.8%を記録しました。 内閣…

消費増税の黒いシナリオ(書評)

産経新聞の田村秀男氏はマスコミ界では珍しく、一貫してデフレ脱却の必要性を訴えてきました。 その田村氏がアベノミクスの挫折を予言した著書を出しています。 書かれたタイミングは消費税増税よりも前の今年2月です。 田村氏には消費増税でアベノミクスが…

変質アベノミクス

2012年12月に第二次安倍内閣が発足し、最重要課題としてデフレ脱却を掲げ、その主要施策を3本の矢とするアベノミクスが始まりました。 しかし、消費税を上げた現在当初の目論見とは違いアベノミクスは大きく変質したようです。 (この図はイメージです) アベ…

地図でもわかる土石流が起きやすい場所

広島市安佐南区で発生した土石流では多数の死者が出ました。 山がちな日本ではこの事例は他人事ではありません。 住んでいる地域は同様の災害が発生しやすいのかは知っておく必要があります。今年の夏は天候が不順で、例年なら晴天が多いはずの8月のお盆前後…

狭義リフレ派は財政政策にも前向きか

リフレ派は金融政策に積極的であることは論を待ちません。 では、財政政策についてはどうなのでしょう。シェイブテイル自身、デフレ脱却が是非とも必要とは考えています。ただ、岩田規久男先生が「昭和恐慌の研究」で自らを規定しているように、”本書の執筆…

古今東西火の車?

日本の政府債務は現在1200兆円と言われています。 名目GDPの2倍を超える巨額です。 政府はこの政府債務の抑制と増え続ける社会保障費財源として10%への消費税増税を目指しています。 では日本の政府債務は過去どのように伸びてきたのでしょうか。図表1は19…

アベノミクスと高橋財政を比較してみた

アベノミクスのパフォーマンスを、80年前昭和恐慌のデフレからの脱却を実現した高橋財政と比較してみました。 その結果、高橋財政に比べると、現在のアベノミクスのデフレ脱却効果は限定的のようです。 高橋財政に比べてアベノミクスの効果が弱い理由も考え…

死にネコも叩きつければよく弾む

今日今年第二四半期GDPの一時速報が発表されました。 これによると実質GDPは同6.8%の大幅減少になったようです。 ただ、これにより政府が10%消費税の判断を翻すか、といえば却って増税へのゴーサインに確信を持つ可能性が出てきたのかもしれません。今朝今…

今回の消費税増税で自殺者は増えない?

最近の自殺統計によると、4月に消費税が増税されても、自殺者は増えるどころか減っているようです。 では今回の消費税増税で自殺者は特に増えないと判断できるのでしょうか。昨日8日に、今年上半期の自殺統計が発表されました。 それによると、昨年同期比で…

今の税制で法人税減税より重要なこと

昨年の一般税収はこれまでの政府見通しより遥かに多くなりました。 今後の税制を考える上で、現在の日本の税収は、政府が現在想定しているよりも名目GDPに鋭敏に反応するという事実を踏まえる必要がありそうです。 今日6月8日の日経朝刊によれば、2013年度法…

日本の財政−本当の問題は何か

日本の財政に問題があるということに異論がある人はいないでしょう。 ただ、その本当の問題はどこにあるのでしょうか。 今朝の日経の大機小機でも日本の財政問題をとりあげています。 「途方もない」財政赤字 日本の財政状況が大変だ、ということは誰もが知…

坂本龍馬が発掘した人材が実現した金融財政政策

世界の金融史上、デフレはどうやって脱却できたかはこのブログの大きなテーマのひとつです。 今回は明治維新前後に活躍した三岡八郎(由利公正)を取り上げたいと思います。 昨夜のNHKニュース9で、坂本龍馬が暗殺される直前に土佐藩の重臣、後藤象二郎宛てに…

国民がきちんと知らされていない消費税増税使途

突然ですが、もしあなたがサラリーマンでめでたく1万円昇給し、奥さんがそれをそっくりそのまま旦那の小遣いにすると言ったとしましょう。 ところが、実際には次の小遣いが1万円増えるどころか実際には減っていたら、奥さんはあなたから嘘つきとみなされて…

地域通貨の専門家も支援した「杉並区モデル」はなぜうまく回らなかったのか

数年前の杉並区では、地域通貨の専門家、北海道大学の西部忠(にしべまこと)氏らをアドバイザーに、電子地域通貨「杉並区モデル」を検討していました。 これは杉並区自身が実施主体となり、推進委員会には、杉並商店会連合会、東京商工会議所杉並支部、杉並…

減価スクリップとは?(小冊子の本文v1.1)

昨日、地方自治体・商店街などに向けた啓蒙小冊子のv1.0を作ったことをお知らせしました。 にわか作りで出来があまり良くなかったので、改定版v1.1を作成しました。 電子ブックは無償版ですので、掲載期間が短いので、今回は小冊子の本文も掲載します。 強力…

減価スクリップの紹介電子小冊子作りました

地方自治体や、商店街向けの「減価スクリップ」紹介電子小冊子を作りました。 これから2度にわたって消費税が上がれば、アベノミクスでかなり持ち直してきた景気も腰折れの懸念が出てきます。 そこで、一地方自治体でも実施可能な景気対策「減価スクリップ」…

さあ、ディベートをしましょう!

「ディベート」というのはウィキペディアでも指摘されているように、日本では広義・狭義いくつかの意味合いで使われています。 ディベート(debate)とは、ある公的な主題について異なる立場に分かれ議論することをいう(広義のディベート)。討論(会)とも…

日本人と朱子学

現在NHKの大河ドラマでは黒田官兵衛をやっていますね。 官兵衛が生きた戦国時代は下克上の時であり、人の言いなりで済ますようでは上も下も文字通り生きていけない時代でした。そうした時代には、人生わずか50年と言われた平均余命、平均寿命ならわずかに30…

朱子学とディベート

日本人は自己主張が下手だ、とよく言われます。 その理由をここで少し考えた後に、日本経済を良くするためのディベートをみなさまと実際にやってみましょう。

人類の累積人口は?

Les yeux clos: 今までに存在した世界人口累計 というブログで、世界人口の推定累積値、という誰でも一度は興味をもつであろう話題が提供されていました。 現人類が現れてからの総人口推定というのは非常に困難らしいのだが、研究者によって六百億から一兆二…

理系にこそわかるマネーと国債の関係

マネーと国債の関係は、意外なほど世の中に知られていません。 その関係について、理系なら瞬間的にわかるアナロジーを考えてみました。 図1は、電気を光に変換する半導体、皆さんもよくご存知のLEDの概念図です。電気の実体は電子で、それはマイナス側から…

中世ヨーロッパに、増税したら国民が裕福になった事例があった

中世ヨーロッパで数世紀に渡り発行されていたある種の貨幣では、領主への取り分としての税を増やすことを意図しながら、結果的には領民たちも大変裕福になったようです。 貨幣というのはいかにも人工的な存在です。 万物は必ず滅びるのに、現代の貨幣には負…

大阪府「ぎょうさん買うたろう商品券」の分析

少し古いのですが「マネーガイドJP」サイトで、2010年春1ヶ月足らずの期間、大阪府が橋下知事の肝いりで実施した地域振興券、「ぎょうさん買うたろう商品券」のまとめが載っています。 減価地域通貨を実施しようとするときに、教訓とすべき経験も含まれてい…

ヴェルグルの奇跡以前にも「老化するお金」は実験されていた

不勉強な私は、ゲゼル発案の老化するお金の最初の実践はチロル地方のヴェルグル町長によるもの、と思い込んでいました。 「みち」という雑誌の巻頭言を執筆されている天童竺丸氏によれば、ヴェルグル以前に、ドイツで実験されていたとのことです。 世界恐慌…

経営の神様でも悩むだろう現代日本の有り様

日本の物価は、わずかに上昇し始めたようにも見えます。 ただ、内閣府やIMFでは2年以上の一般物価下落をデフレと定義されていることから考えても、コアコアCPIがわずかにプラス領域に入ったから、といって、それでデフレが終了、と捉えるのは早計です。今後…