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大阪都構想と「京名経済圏」

橋下大阪市長が推進したい大阪都構想大阪市議会で多数派を占める都構想反対派により暗礁に乗り上げつつあります。
その一方では、リニア中央新幹線北陸新幹線が着々と建設されつつあり、これらの結果、将来大阪都どころか大阪県になってしまうおそれもありそうです。

大阪都構想は、大阪市堺市の一部が合併し特別区に再編され、それに伴い大阪府大阪都に名称変更されるというものですが、推進派の大阪維新の会少数与党であるため、都構想実現に不可欠な住民投票の是非は否決される公算が高く、現在ではほぼ暗礁に乗り上げた状態になりつつあります。

その一方で、東京と名古屋の間を結ぶリニア中央新幹線について、去る17日には国土交通省JR東海の建設工事の計画を認可し、開業は2027年と見込まれています。

また北陸新幹線では来年春には富山駅が開業を予定しており、将来的には2025年の金沢・敦賀間も開業が予定されています。

これらの新幹線整備をひとつの地図上に描いてみたのが図1です。


図1 2030年頃の東京大阪間新幹線整備状況
2030年頃のリニア中央新幹線北陸新幹線の整備計画を重ねて描いたもの。

リニア新幹線の名古屋・大阪間は奈良経由が有力視されるが京都経由を主張する声も根強く、2045年開業とされるものの、ルートは確定していません。

北陸新幹線については、わずかに敦賀以西が新幹線ルートとして未確定ですが、「関西広域連合」では敦賀米原ルートを最有力候補として、政府に同ルートでの早期開業を提案することを決めています。 

ところが、北陸新幹線を関西に延伸したつもりで敦賀米原間を整備した場合、図1を見れば明らかなように、リニア新幹線北陸新幹線により東京→名古屋→米原→金沢→東京と高速輸送圏が閉じ、首都圏・名古屋・北陸圏がつながったいわば「京名経済圏」が完成します。*1
関西圏では「大阪都だ、いや違う」、リニアルートについては「奈良だ、京都だ」と騒いでいるうちに時間だけが経過し、唯一戦略的に動いたはずの新幹線敦賀米原間の整備さえも、「京名経済圏」の完成に寄与するだけとなりそうです。

リニア新幹線の名古屋・大阪間を現在予定区間と同時着工する案は国土交通省内では検討されていますが、関西圏ではそれを強力に推進する昔の田中角栄型政治家はほぼ皆無になっていますから、国交省官僚が旗を振るだけでは、実現は困難ではないでしょうか。

こう考えてみますと、大阪府大阪都どころか大阪県となりかねません。
いや、国土開発の計画性の高さから考えれば、大阪府の名称が府のままでいられるか県になるかはともかく、実質的にはもう殆どここまでは確定してしまった話と見たほうが良いのかもしれません。

大阪では橋下市長以前にはセクハラで辞めさせられた横山ノック市長もいました。

大阪の人々が中央指向の政治に嫌気がさし、アンチテーゼとして、大衆迎合と独裁を特徴とする政治家を受入れてしまい、真の構想力、あるいは政治的根回しの能力を全く欠く首長が続いた結果、関西圏の衰退を推し進める状況となっています。

これら首長に期待を持って投票した人々は、結果論にはなりますが、まったく予期せぬ結果を招いてしまっていると言わざるを得ません。

*1:京名経済圏は京浜経済圏に傚った筆者の造語。