4人目のデフレ総裁
9月11日、黒田東彦日銀総裁は追加緩和に言及し、ドル円も107円まで円安が進んでいます。 ただこの追加緩和発言、これまでとは少々意味合いが異なるようです。
黒田東彦総裁が11日に追加金融緩和に言及したのは、消費税率を10%へ予定通り引き上げるよう政府の判断を後押しする狙いがあったとみられる。財政が一段と悪化すれば国債価格の急落などで市場が混乱するリスクがある。再増税による景気腰折れリスクを避けるため追加緩和も辞さない姿勢を明示し、財政再建の着実な進展を促した。
日銀総裁、異例の追加緩和言及 消費再増税後押し
日経新聞 2014年9月12日朝刊
現在CPIは消費税の影響抜きで1.3%程度。 一方、黒田総裁が重視していない、スーパーなどでの売れ筋商品の重み付けによる東大日次物価指数はCPIから大きく乖離してマイナス0.5%。 消費増税に合わせて企業が便乗値上げしたにもかかわらず、庶民は4月以降価格指向を強めた結果です。
黒田日銀になっても肝心の実質所得が減り続けているのですから当然の行動でしょう。
ところが黒田氏、消費税再増税を後押しするために追加緩和も辞さずと、発言がデフレ指向に変化しています。
これだけの大規模金融緩和を実施しても、3%の消費増税のマイナス効果の方が強かったというのに、さらなる増税を後押しする意味がわかりません。
黒田氏の消費税再増税の大義名分は財政再建のため、ということですが、そもそも財政問題が日銀総裁の守備範囲外というだけにとどまらず、このブログで何度も繰り返して来たように、日本の経済問題は、賃金が上がらず、賃金の塊である名目GDPが世界で唯一16年もの間低迷し、その結果政府債務対名目GDP比が世界一になっているという構造です。
その日本の病患構造を更に強めようとする黒田東彦。
ついに速水総裁以降4人目のデフレ総裁に堕ちてしまったようです。