シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

世界で2番目に財政健全性指標が改善した国とは?

現在の日本は財政健全性指標(政府債務÷名目GDP✕100)が約250と、世界一悪い国として知られています。 もし財政健全性指標が改善されるならどれだけ経済運営が楽になるかわかりません。次の図1は、2011−2015年の4年間で比較可能な36カ国で財政健全性指標がどれ…

安倍政権の理想を達成したギリシャの現在

日本についで財政健全性指標が悪いギリシャでは、2011年から15年の政府債務伸び率が世界一になりました。 ただし、世界一は世界一でも、世界で最も伸びが小さかったのです。 また2013年には日本が目指すプライマリーバランス均衡も達成しました。 そのギリシ…

家計最終消費支出には消費税の影響は出ないのか

先日このブログで、「消費税を上げるたびに、家計の実質的な生活水準を示す消費水準指数が下方に屈曲してきた」という主旨のことを書きました。 これに対する反論のブログがありましたので、これについて書いてみたいと思います。まず、シェイブテイルの意見…

増税派黒田総裁にみていただきたい一枚の図

日銀の黒田総裁は3月23日の参院の財政金融委員会で、消費増税による経済への悪影響について「成長率への影響は減衰し、何年もは出ない」と述べました。 これは正しい認識といえるのでしょうか? ここに黒田総裁にみていただきたい一枚の図があります。 それ…

リーマン・ショックとは何だったのか

先週、ドイツ最大のドイツ銀行のCoCo債とよばれる銀行債の急落(利回り上昇)が報じられ、昨年後半からの米国利上げ、中国資源国経済減速とともに新たなリスクオフの流れにつながっています。ただドイツ銀行以前にも、20世紀終盤あたりから現在にかけては、200…

ウォール街・財務省複合体と経済学第三の危機

少し前になりますが、週刊エコノミスト9月15日号に京大名誉教授の伊東光晴氏が「現実から遊離する経済学」と題する記事を寄稿しています。その主旨は、現代の経済学は第三の危機に瀕しているというものです。 この主張自身はリーマン・ショック以降、現実の…

信用創造の仕組みからみたQQEの帰結

日銀は昨日30日に開催された金融政策決定会合で、2%の物価目標達成時期を先送りしました。 2013年4月、量的質的緩和(QQE)に着手した黒田総裁は「マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以…

世界での左派政党躍進と我が民主党の差

近年、左派政党の活躍が目立っています(日本は別ですが)。ギリシャでは今年1月、シリザ(急進左派連合)が反緊縮を掲げて政権与党(チプラス首相)となったのはよく知られるところです。スペインでは、2014年1月に結党したポデモスが急速に支持を伸ばし、今年1…

中年フリーター問題を解消するための1枚の図

最近中年フリーターという言葉が検索ワードに急上昇しているようです。 「1億総活躍」と言うからには、まずこの問題に取り組むべきではないか。中年フリーターの増加だ。『週刊東洋経済』(10月17日号)が<絶望の非正規 データが物語る 中年フリーター…

IMF自身は緊縮財政の痛みを知っている

IMFの副専務理事が、日本の消費税10%への引き上げは確実に実施すべきと語っているようです。 国際通貨基金(IMF)の古沢満宏副専務理事は11日、ペルーのリマでロイターの取材に応じた。2017年4月に予定されている消費税10%への引き上げは確…

1億円パックという名の紙束

日銀本店内の大口出納内の写真。 カートに無造作に積まれた札束の一段が一億円パック。 とはいえ、この段階では単なる紙切れ、印刷物。 写真出所: 日銀ウェブサイト日銀がこれを発行する時に、この紙切れで日銀が銀行から何らかの資産を受け入れてその見返…

もしインフレにならないなら徴税は不要

前回のエントリー 国債は家計の預金量とは無関係に発行可能 - シェイブテイル日記 にlineさまからコメントをいただきました。 line 2015/09/19 13:34 (シェイブテイル)>「かなり以前から、財政学者やマスコミから「政府債務残高が家計資産を越した段階で、…

国債は家計の預金量とは無関係に発行可能

報道によれば、6月末の家計金融資産、前年比4.4%増の1717兆円に達したとのことです。 日銀が17日発表した2015年4〜6月期の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産の残高は、6月末時点で前年比4.4%増の1717兆円だった。3月末時点の1700…

デフレ脱却と緊縮財政の二兎は追えるのか

安倍首相は昨日のテレビで、10% への消費税増税を予定通り進めるとしました。 安倍晋三首相は4日、大阪を訪れて読売テレビ番組に出演し、法人実効税率の数年内の20%台への引き下げについて「約束通り下げていきたい」と述べた。政府・与党は昨年、2015年に…

デフレ日本で通貨発行益は財政再建の鍵

今日8月31日のの日経朝刊「経済教室」に法政大学教授・小黒一正氏の「政府・日銀の通貨発行益 財政再建に活用は困難 」という記事が載っていました。小黒氏の主張を簡単に言えば、 通貨発行益を財政再建に使った場合、 ○資金供給量の増分はやがて「出口」で…

IMF 異次元緩和の限界を示唆

今日の日経夕刊には、IMF研究者の見解として、日銀の異次元緩和が2017、18年にも限界が訪れるという予測が載っています。 日銀の異次元緩和に対する問題点が指摘され始めた。 国際通貨基金(IMF)は3日発表した個人名義の論文で異次元緩和の技術的な限界…

マネタリーベースが積み上がってデフレのスイス

今日のロイターによれば、スイスでデフレ傾向が強まっているようです。 [チューリヒ 5日 ロイター] - スイス連邦統計局が4日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.3%低下した。9カ月連続での低下で、1959年以来の大幅なマイナ…

混ぜるな危険!

ビットコインの取扱量世界一で有名になったマウントゴックスが破たんした理由が最近報じられています。 - 2月末に破たんした仮想通貨「ビットコイン」取引所、「Mt.Gox(マウント・ゴックス)」(東京都渋谷区)の経営実態が次第に明らかになってきた…

アベノミクスで物価を上げる原動力は何か

リフレ派の理論的支柱、岩田規久男氏は、単純な貨幣数量説ではなく、株価上昇などを介した複雑なルートで物価はあがると説明していますが、量的質的緩和が始まって2年以上経った今でも、物価上昇のルートが明示的に解明されたと考える向きは少ないかもしれま…

経済学者にとって不都合な日本経済の真実

殆ど全ての学問なら、余程の激変が直後にない限り、専門領域での10数年後の姿が皆目わからないということはないでしょう。天文学なら皆既日食は秒単位でも正確に予測できますし、心理学などの社会科学でも10年後の人々の心理が予想もつかないなどということ…

貨幣の中立性なんて一体いつなりたつの?

ここ数日来、主流派経済学の「大学院生」さんという方とシェイブテイルら経済人−経済に関心を持つ人々位の意味ですが−との間でディスカッションしています。大学院生さんと我々経済人との間では、貨幣とは何か話はどうしても咬み合わない面があるのですが、…

NHKスペシャル「#老後危機」で語られなかった問題

昨夜のNHKスペシャルでは「私たちのこれから #老後危機 あなたの備えは大丈夫?」と題して、年々厳しくなる年金問題が取り上げられていました。これまでは余裕があるとされてきた年金受給世代でも、ここ数年は年金削減、税負担増、低所得の子ども世代への扶…

二階ペーパーが日本を救うか?

今年6月30日、安倍内閣で「骨太の方針2015」が閣議決定されました。 政府は30日夕の臨時閣議で経済財政運営の基本方針(骨太の方針)と成長戦略、規制改革実施計画をそれぞれ決定した。骨太の方針に盛り込んだ財政健全化計画は2020年度の財政の黒字化目標を…

マスコミさん、なんで今日は円が買われているの?

今日はギリシャ危機に加え、中国株の大幅下落、こちらはほぼバブル崩壊といって良いような外部環境から円が主要通貨全てに対して買われています。 多くのマスコミは、こうしたリスクオフ局面での円買いについて単に「比較的安全といわれる通貨円が買われてい…

ギリシャ債務問題にみる日経新聞の読み方

現在ギリシャ債務問題が進行しています。 ギリシャ側、EUトロイカ側の主張の隔たりはそれぞれの国民の主張の隔たりでもあり、ただでは済みそうにありません。Twitterなどをみると、「借りたものを返さないギリシャが悪い」という声が多いようですが、海外の…

信用創造と名目GDPの関係

先日「今更ながら「信用創造のナゾ」 - シェイブテイル日記 」という記事を書きました。日本語版と英語版の信用創造の説明が違うという書き方をしたので、却って混乱を招いたかもしれません。そこで英国の中央銀行 Bank of England による信用創造の説明 Mon…

アベノミクス成果と課題

今回は「徹底分析アベノミクス 成果と課題」という本の書評です。 シェイブテイルの感想は「大変興味深いのに歯がゆい本」でした。この本にはリフレ派、反リフレ派、財政健全派など、日本デフレ脱却の議論に登場し、対峙する立場の論客がオールスターといっ…

「比較的安全な通貨、円が買われています。」

今日はギリシャ債務破綻問題で市場が荒れています。特に為替相場ではユーロのみならず、主要な通貨全てに対して円が買われています。不思議ですねぇ。 財政学者やマスコミによれば、日本はギリシャ同様の財政破綻の瀬戸際で、財政再建待ったなし、だったはず…

今更ながら「信用創造のナゾ」

社会人なら誰でも知っていそうな信用創造とよばれる銀行の機能。 これにふたつの全く異なる説明があることはご存知でしょうか。例えば、日本のウィキペディアでは…。 銀行は預金を受け入れ、その資金を誰かに貸し出す。その過程で信用創造は発生する。以下は…

政府支出と財政健全性には相関性がない

過去2回のエントリーで、私たちは先進国では政府支出伸び率と名目GDP伸び率との間に高い相関関係があることをみました。 政府債務削減の意味は正しく理解されているか - シェイブテイル日記 安倍内閣が主導する「失われた30年」 - シェイブテイル日記 それ…