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IMF自身は緊縮財政の痛みを知っている

IMFの副専務理事が、日本の消費税10%への引き上げは確実に実施すべきと語っているようです。

国際通貨基金IMF)の古沢満宏副専務理事は11日、ペルーのリマでロイターの取材に応じた。2017年4月に予定されている消費税10%への引き上げは確実に実施すべきとし、再延期や中止の判断を下せば、長期的な日本の財政に対する信認が損なわれる可能性があるとの見方を示した。

古沢氏は消費税の再増税について、リーマンショックのようなことが再びない限りは行うべきだとし、「税率を上げるのは嫌だから、というだけで(再延期しては)皆納得しない」と指摘。金融政策だけに頼るのではなく、財政政策や成長戦略とあわせ、アベノミクスの旧「3本の矢」を全体的に進めていく必要があると語った。

消費税10%着実に実施を、3本の矢全体で推進=IMF副専務理事 ロイター 2015年 10月 12日 11:58 JST

IMFは外貨不足に陥った国にドルなどの外貨を貸し付けるためにある組織であり、9割以上を国内から、しかも日本円でしか借りていない日本政府にIMFから指図がましいことを言われる筋合いはありません。

それどころか、日本はIMFに余剰外貨を出資し、米国につぎ二番目に出資している立場です。

IMFはかつてアジア危機に際してはタイ・インドネシアなど外貨不足に陥った諸国に対し「開かれた資本市場と公的支出の削減こそ美徳」という米国新自由主義的価値観を押し付け、それと引き換えに資金を供与しました。

ところが、こうしたIMFの資金提供を受けた諸国の経済回復は遅く、逆にマレーシアなどIMFを無視して規制を導入した国の方が格段に早く経済危機を脱することができました。

こうした経緯から、一旦IMFから資金提供を受けた諸国も、二度とIMFからの借入れはしたくないという強い意志を持つようになり、負債返却、外貨準備積み上げに動くようになりました。
その結果は。

IMFは資金を預かる加盟国に支払う金利と、借り手に課す金利の差額により収入を得る構造になっています。

ところが、リーマン・ショックまでは好景気だったこともあり、IMFの未払い債務は減ってしまい、IMF自身が15%の人員削減という状況に直面しました。

債務国に苦い薬を飲ませることを任務としたIMFは債務国の経済活性化を遅らせる指示をした結果、最終的にはIMF自身が苦い薬を飲まされる立場になった、というわけです。

こうした経緯の後、IMFは無闇に公的支出削減を押し付けることが減っているようです。

古沢満宏副専務理事の前職は日本の財務省・財務官でした。
IMFの副専務理事の椅子は、2番めの出資国・日本というか財務省の指定席と化しています。

その財務省官僚が、IMFの威を借りて、日本国民に緊縮財政を勧めるという構図なのですが、IMF自身は緊縮財政が実施国にもIMF自身にもプラスにはならないことを学びました。

それにもかかわらず、この元財務官僚の思考は周回遅れでアジア危機時代あたりで止まったままのようで、いまだに緊縮財政に効用があると思い込んでいるようですね。 

持論を述べるIMF副専務理事様