シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

2012-01-01から1年間の記事一覧

資金需要の低迷とリフレ政策の間

近年、企業の資金調達コストが下がり続けています。 企業の調達コスト最低、貸出金利1%割れ カネ余りでも投資に慎重 (日経 H24.07.10朝刊) 企業の資金調達コストの低下が止まらない。5月の国内銀行の貸出金利の平均は0.989%となり、1993年の統計開始以…

列島強靭化計画論と単純公共事業論の差

京都大学で公共政策が専門の藤井聡の列島強靱化計画論が現在注目を浴びています。今更また公共事業か、という批判的な捉えもあるようですが、藤井教授の列島強靭化計画論と単純な公共投資拡大論は随分ちがっています。 公式な主張・見解はこちらにありますが…

サルでも分かる、10億円で確実にデフレを脱却する法

今朝の日経新聞には、日銀による次の政策決定会合の見通しが載っています。 日銀、物価見通し維持へ 11日から決定会合 経済に回復傾向 日銀は11〜12日の金融政策決定会合で「遠からず1%に達する」という物価上昇率の判断を維持する見通しだ。堅調な内需に…

SSRIと日​銀はどちらが危ない?

1.SSRIとはなにか 皆さんはSSRIというものをご存知でしょうか? 最近の日本は高ストレス社会ですから改めて言うまでもないのかもしれませんが、SSRIとは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor) と呼ばれる抗うつ…

たたき台としての「リフレ政策とは何か」

このエントリーは、リフレ政策に詳しい矢野浩一氏がツイッターでリフレ政策について 基本的である「リフレ政策とは何か」については「昭和恐慌の研究」(2004)にはっきり『インフレ目標政策+無制限の長期国債買いオペ』と書かれており、その後大きな変更は…

リフレ派内の同床異夢

私シェイブテイルは、「日本経済活性化にはまずデフレ脱却が必要」といういわゆるリフレ派です。 ただ、ツイッターでのリフレ派同士の会話を見ていて思うことは、目的はデフレ脱却同士であっても、それを実現する手段として想定していることにはかなりの幅が…

2003年のバーナンキ理事から2012年の日本への示唆

ネットで資料を探していたところ、たまたま自民党・山本幸三議員の資料庫にあった資料を見つけました。*1 どうやらこれは2003年5月に来日する直前のバーナンキFRB理事(当時)を山本議員が表敬訪問した時の応接メモのようです。内容は、現在の日本での金融・財…

デフレ脱却には財政マネタイズが最善

1.日銀は通貨供給量をコントロールできないのか 数日前、野口悠紀雄氏がネット上で「日銀には通貨供給量(マネーサプライ)を動かす力はない」という意見を述べていました。*1 野口氏の主張は、日銀は日銀が発行する通貨量であるマネタリーベース(現金通…

アメリカ連銀と日銀の不換紙幣への捉え方の違い

以前、このブログの「日銀はなぜデフレ政策を堅持するのか」(2012-04-01)というエントリーで、日銀は不換紙幣というものを曲解しているのでは、という仮説を書きました。 この仮説を検証するためには日銀以外の中央銀行が不換紙幣をどう位置づけているのか…

ぶつけられたタマゴの意味

前回「赤信号皆で渡れば人が死ぬ」(2012-06-26) というエントリーで、デフレ下で消費税を上げれば、1997年の橋本増税の時と同様に(あるいはそれ以上に)企業倒産やサラリーマン給与低下、新卒者採用減が生じ、自殺者は更に高止まりするということを書きまし…

赤信号皆で渡れば人が死ぬ

本日午後、消費税増税法案が衆議院で可決されてしまいました。 今後参議院で否決されても衆議院で2/3以上の賛成で再可決する蓋然性が高まり、解散総選挙で廃案にする可能性にかけるしかなくなってきました。 シェイブテイルがこれだけ消費税増税に憎悪剥…

首相には経済感覚が必要と断言できるわけ

(以下別件ですがブログの仕様で別エントリーに分けられない点ご容赦を) 民主党の増税への急傾斜が進行しています。これを受けて小沢氏は新党設立に動き出しました。 自民党からの政権奪取時の期待とは裏腹に、民主党の崩壊が始まったようです。 野田首相は社…

 日本国の信用を増大するにはどうすれば良いのか

(注:首相には経済感覚が必要と断言できるわけ は今日のエントリー内の次項に記載しています) 昨日のエントリー 増税を行えば日本国の信用は増大するのか で、増税で日本国の信用は増大するどころか、デフレ強化による景気一段の後退により、税収も減り、信…

増税を行えば日本国の信用は増大するのか

今朝の日経新聞では、野田政権の増税政策に対し珍しくやや批判的なコメントが載っています。 大機小機「とりあえず増税」の功罪 (日経新聞H24.6.23) 「イヤー暑いねえ」 「お飲みものは?」 「とりあえずビール」 そんな季節になった。外国人が「とりあえず…

増税反対小沢新党が日本経済のカギ?

小沢氏が増税反対を明確にし、更に新党設立について言及したため、60人もしくはそれに満たない小沢新党が今後の政局のカギを握る可能性が出てきました。直近で最もありそうな政局シナリオを考えてみました。1.増税法案可決 小沢氏や自公以外の野党が増税法…

「霞が関傀儡二大政党制」から脱却するにはどうするべきか

消費税増税をめぐり、与党内が紛糾しています。 前原氏「一任」を宣言 増税法案、造反が焦点(北海道新聞06/20 00:00) 民主党は19日、消費税増税関連法案をめぐる自民、公明両党との3党合意の了承を得るため、全議員を対象に政策調査会の合同会議を党本…

120年間なかった自己否定

余り、モロに政治ネタというのは扱いたくはないのですが、後々までも現在の状況だけは書き留めておきたいと思います。私と同様の思いの、兵頭正俊氏‏という方が、元参議院議員・平野貞夫氏の発言を引用してツイートしています。 兵頭正俊‏@hyodo_masatoshi …

放射線実測図を放置したのは役人だけか?

今日の各紙では、東電福島第一発電所事故の後、米国から提供された放射線実測図を政府が放置したことが批判されています。 米の放射線実測図、政府が放置 原発事故避難に生かさず(朝日新聞デジタル)東京電力福島第一原子力発電所の事故直後の昨年3月17…

自信を持って間違えたオウム真理教エリートたち

先日、オウム真理教の特別手配犯の最後の一人、高橋克也容疑者が捕まりました。 今日のそこまで言って委員会には、元オウム真理教で広報を務めていた上祐史浩氏(現在、宗教団体ひかりの輪代表)が出演し、オウム真理教が引き起こした一連の事件についてその…

高橋克也容疑者と財務省の関係

今朝の新聞各紙の一面では、「消費増税、3党合意 一体改革修正協議が決着 」と伝えています。図書館でたまたま取り上げた本のはしがきに書かれていた文に眼が止まりました。 その本にはこう書かれていました。 日本社会のキーワードは「仲間外れ」「村八分…

日銀、「デフレ下の増税」の環境を整備

日銀は15日に開いた金融政策決定会合で、ゼロ金利政策の維持を全会一致で決め、追加金融緩和の実施は見送りました。 これに伴い公表された「当面の金融政策運営について」には次のように記されていました。 当面の金融政策運営について1.日本銀行は、本…

上念司氏国会でデフレ脱却を訴える

6月13日の衆議院 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会で、デフレ脱却国民会議事務局長の上念司氏が公述人として登壇し、日本は財政危機か、仮に財政危機だとして、今の日本で増税により税収が増えるのか、またどうすれば税収が増えるのかについ…

空恐ろしいほど愚劣な日本の政治

今月に入り、ブログの更新を少々中断しています。 その理由は消費税問題を巡る日本の政治家のあまりの愚劣さについていけなかったからです。 日経新聞の関連記事タイトル・リード文から消費税問題に対する民主・自民両党の動きを追ってみましょう。 5月29日 …

没落する日本経済 デフレ不況克服・景気回復の経済学!

デフレ不況を克服する方法について、わかりやすい動画(漫画)がありましたのでご紹介します。 原案 丹羽信道 漫画 今村敏樹 監修 小野盛司 動画編集 hinomaruojisan JapaneseReaction この作品の権利は「日本経済復活の為のWeb漫画をつくる会」に帰属します…

欧州危機と230年前の米国から日本が学ぶべきこと

欧州危機が一段と進展しています。 [ロンドン 23日 ロイター] 23日の欧州株式市場は急反落。ギリシャのユーロ離脱リスクが再び強く意識された。 (中略) 市場関係者によると、ギリシャのユーロ離脱に備えてユーロ圏各国が個別に対応策を用意する必要…

スイスの為替政策から学べること

今日の日経に興味深い記事が載っています。 日経が日経・CSISバーチャル・シンクタンクというものを立ち上げ、為替レートの安定化に何が必要かを議論した結果、まずデフレを止めないと円高も止まらないという結論に至った、という記事です。*1 提言の内…

日銀国債直接引き受け−tdam氏とのディベート

すでにご存知の通り、私シェイブテイルはマイルドインフレを達成することにより、経済成長路線に復帰し、税収も回復するという政策、リフレ政策を支持しています。 この拙ブログを読んでいただいている同じくリフレ派tdam氏から質問をいただきました。 この…

貨幣とは何か

岩井克人「貨幣論」を読みなおしてみました。 残念ながら岩井氏は貨幣の本質に辿りつけずに終わったように思えます。 それでは貨幣史から、本当の貨幣の機能と貨幣の価値の源泉について考えてみましょう。 岩井克人氏は著書の大半でマルクスの労働価値論を振…

続・目からウロコ ヘリマネによらない財政再建策

昨日のエントリーで、財政再建への最善手は「国債日銀直接引受け+財政政策」が最も有効というお話をしましたところ、やはり、といいますか、抵抗感がある、というご意見をいただきました。 日銀などにさんざん国債を日銀が引き受けたら途端に金利は急上昇、…

目からウロコ、ヘリマネ政策が最善手である理由

さて、昨日のエントリーでは、財政再建派の主張である、増税と歳出削減はどちらも企業・家計からマネーを奪い、しかも現在のデフレ状況での増税は、借金返済という目的すら達成できないことを指摘しました。昨日も示したように、国家財政は、最も簡単に図示…