3月の自殺者数速報がでました
最近、3月の自殺者統計が内閣府からだされました。
それによれば、3月の自殺者数の前年同月比はマイナス1.8%とわずかながら下がったようです。
こちらが今年3月の自殺者数推移です。
図表1 月別自殺者数の推移(総数)
出所内閣府自殺対策推進室
3月は例年自殺者数が多い月で、今年も前月比では増加が見られますが、前年同月比では増加率マイナス1.8%でした。
1997年の先の消費税増税では、翌年3月、5月に自殺者数の大幅な増加が記録されています。(図表2)
図表2 1998年の自殺者数急増
出所:社会実情データ図録 失業者自殺者数の月次推移
前回1997年消費税増税の納税時期には自殺者数は著しく増加した。
このデータと、周辺情報から、今回の消費税増税でも自殺者の急増を懸念して私が書いた記事がこちらでした。
3月のデータで見る限り、幸いなことに、私の懸念は外れてくれたようです。
ただ、消費税は消費者ではなく、中間業者が納税義務者になっていて、それらの中間業者、特に零細で価格転嫁力が弱い業者ほど預かってもいない消費税を自腹で払わされる構造になっています。
また、1997年以降の自殺者の占める割合は男性、自営業者などが大きくなっていて、社会的責任が大きな層を失う結果となっていました。
今回、自殺者数に対する私の懸念が外れてくれた理由としては、
・1997年とは大きく異なり、国内外の流動性ショックもなく、また金融機関の体力が十分ある。
・アベノミクスにより、増税の悪影響が多少なりとも緩和された。
・国税庁の方針が多少変わり、滞納即差し押さえといった事業潰しは横行しなかった。
・1997年の自殺急増の経験を知っている弱小事業者は負債が積み上がる前に廃業の道を選ぶようになった。*1
などが考えられますが、
いずれにしましても、フランスなど一般的な国の消費税とは異なり、日本の消費税は一般家計や赤字企業には還付されず、法人税減税やら財政再建やら公務員給与財源などに消えて、大きなデフレ要因となっているのは間違いないでしょう。
今後月次の自殺者数はフォローし、状況が悪化していないかの監視は続けて行きたいと思っています。
*1: 参考資料: 2013年「休廃業・解散企業動向」調査 「年間倒産の2.6倍」 東京商工リサーチ