シェイブテイル日記2

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日本での減価する地域通貨はなぜ上手くいっていないのか

80年前、オーストリア・チロル州のヴェルグルでは大変な経済効果を産み、マスコミが「ヴェルグルの奇跡」と賞賛するだけでなく、アーヴィング・フィッシャー、ケインズらの経済学者らも注目した減価する地域通貨

 

では、当時と同様にデフレの日本では減価する地域通貨というのはひとつもないのでしょうか?

 

もしあるのであれば、同じ減価する地域通貨なのに、80年前のヴェルグルのような瞠目すべき効果が見られないのはなぜなのでしょう。

 

1.日本での減価する地域通貨

実は日本でも幾つもの地域通貨が減価の仕組みを既に取り入れています。

 

1)ガル(地域人口17万人、利用者87人)

北海道・苫小牧市周辺で流通する「ガル」は半年に一度、ガル活性化基金としてプラス残高保有者から残高の5%を削減しています。

 

2)Bee(地域人口100万人、利用者不明)

宮城県仙台市の「Bee」では2ヶ月に2%ずつプラス残高から減価していくシステムを採用しています。

 

3)ピーナッツ(地域人口600万人、利用者620人)

千葉県千葉市周辺の「ピーナッツ」では、四半期ごとに、ポストカード式通帳を回収し、プラス残高に対し1ヶ月あたり1%の手数料を徴収しています。

 

4)YUFU(地域人口12,000人、利用者75人)

大分県湯布院町でのYUFUでは借用証書を、最後に使用した日から3ヶ月以内に使用しないと、最初に発行した人に対して以外には使用できない仕組みとなりました。

 

5)全国レインボーリング(地域人口1.2億人、利用者540人)

全国に会員が広がるレインボーリング(RR)では、参加者の中で、財・サービスの提供を怠り、支払がかさみ、マイナス残高が続く場合には事務局が注意するほか、マイナス限度額を10万Rとしています。

 

6)エッコロ(地域人口700万人、利用者2,000人)

埼玉県のエッコロでは、流通するエッコロを年に1度全て回収し、新たに再発行する仕組みとしています。

 

 2.全員が損をするシステムと得をするシステム

 今ご紹介した減価する地域通貨の中に「ぜひ加入してみたい!」というエキサイティングな仕組みのものはあったでしょうか?

 

これらの減価地域通貨の中では、利用者の対人口比が最高で160人にひとり、最低では22万人にひとりと、「大いに活用されている」とは言い難い状況のようです。

 

 これらに採用されている減価の方式は、運営費用捻出など、本来目的から多少外れた目的を達成する手段として、最初の円貨での参画時点に比べて、通貨を減価させ、参加者に損を強いるシステムとなってしまっています。 

 

「1000円を、900円にする仕組みに加わりませんか?」と勧誘されたら、大半の人々は単に眉をひそめるだけでしょう。

 

それに対し、今私達大阪市とも連携しながら計画している減価する地域通貨(「大阪都構想」に対抗すべく自民党に実施提案した減価紙幣案)は、

760円を1000円に変えましょう。 その1000円が900円などと減価する前に早く使ってしまいましょう。」という考え方です。 

つまり、参加者間で得する大きさに大小はあれど、全員が得をするシステムなんですね。

 

先ほど例に挙げさせていただいた減価通貨システムも、地方自治体の協力(信用の提供)をしてもらえれば、全員が得をするシステムに変身できると思いますがいかがでしょうか。