シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

中国は緊縮日欧を超えていく

4月9日に公表された米国財務省半期為替報告書では、欧州・日本での景気刺激策として過度に金融政策に依存しているとの指摘がなされています。

財務省が9日公表した為替報告書は、日銀の金融緩和への依存度が高過ぎるとし、財政についても2015年度予算が前年比ベースで緊縮的であると指摘した。

焦点:米為替報告書、日本財政「緊縮的」緩和依存高いと批判 ロイター 2015.04.10


財政が緊縮的と指摘された日欧では、政権中枢部で財政再建への傾斜が強く、当面の景気より政府債務抑制という方向で議論が進むことが多いようです。

その政策の方向性が日欧に何をもたらしたでしょうか。
図表1は最近IMFから公表された主要国・地域の名目GDPです。
中国の名目GDPは2009年頃に日本を上回ったことは記憶に新しいところです。

IMFの現段階の予測によれば、中国の名目GDPは2016年、つまり来年にもEU圏全体と肩を並べるとされています。


図表1 主要国と地域の名目GDP推移
出所:IMF WEO Apr. 2015
2015年、16年はIMFによる予測値。 ドルベースで比較。

名目GDPをドルベースで比較しているため、米中よりも金融緩和に偏っている日欧では通貨安傾向となり、一層名目GDPが低めにみえますが、それにしても、米中、日欧では明らかに成長率が異なっています。

日本では、緊縮財政による名目GDP低成長が、税収減につながり、それを補填するための財政赤字、累積政府債務の増大、そして財政健全性指標の悪化、という緊縮財政ループに嵌っています。(図表2)

図表2 日本の財政健全性指標の推移
出所:IMF WEO Apr. 2015
横軸=名目GDP,縦軸=政府粗債務残高で、グラフ上の点
と原点をつなぐ線の傾きがその時点での財政健全性指標となる。

以前はアベノミクスに全面的に賛成してくれていた米国ですが、円安はかなり進んだもののデフレのままで景気回復もまだら模様の日本の現状については欧州と共に財政政策での内需拡大を求めています。

日欧の経済地盤沈下をみると、米国の示唆は米国だけでなく日本や欧州のためとも言えるでしょう。