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日銀は今なぜ市場の憶測を呼ぶのか

今朝の日経では、金融緩和期待の市場に苦悩する日銀が描かれています。

「緩和は当然」日銀の苦悩 2012/4/23 21:21
 「あまりに不可解」。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは首をかしげる。27日の日銀金融政策決定会合が迫るなか、3月の会合で追加緩和を提案した宮尾龍蔵審議委員が、10日の前回会合では提案を見送ったことが市場の臆測を呼んでいる。
 13日公表された3月の会合議事要旨によると、宮尾委員は提案理由について「2月の金融緩和で明確になった政策姿勢への理解を市場に一段と浸透させ、企業の設備投資などを顕在化させることが望ましい」と説明していたことが分かった。これだけ読むと、10日の会合で提案見送りに転じた理由は見当たらない。そこで市場に広がったのが「日銀は追加緩和への市場の期待値を下げたいのではないか」(上野氏)との見方だ。

 市場では日銀が27日に追加緩和に踏み切るとの見方が日増しに強まっている。ヘッジファンドの売買を映すシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の投機筋の円・ドル取引を見ると、4月半ばにかけて円は大幅な売り越しになっている。「追加緩和→円安」シナリオが「既定路線になりつつある」(クレディ・スイス証券深谷幸司外国為替調査部長)わけだ。
だが追加緩和が事前に織り込まれれば、発表時の円安・株高効果は大きくそがれる。それどころか、緩和内容が市場の想定内である資産買い入れ基金の5兆円増額だった場合、失望感からヘッジファンドが円を買い戻しかねない。既に長期金利は緩和観測を織り込んで約1年半ぶりの水準まで低下しており、日米金利差の拡大に伴う円安効果も限られる。
 2月の緩和で円安・株高が進んだのは、緩和見送り予想が多いなかで基金を増額し、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して緩和を推進する方針まで表明したからだ。だが白川方明総裁は3月24日のワシントンでの講演で「金融緩和の副作用や限界も意識する必要がある」と指摘するなど、過熱する緩和観測を冷ます姿勢を見せる。市場が宮尾委員の提案見送りを同じ文脈で受け止めたのも無理はない。
 審議委員は独立した立場で政策を判断する。宮尾委員も日銀と市場の駆け引きの中で語られるのは本意でないはずだ。だが2月の「サプライズ緩和」の記憶が残るなか、市場の期待はいや応にも高まる。「日銀は再びサプライズ緩和に踏み切るのではないか」。27日が近づき、市場の期待値が高まるほど、日銀の苦悩は深まっていく。
編集委員 小栗太)


戦後、金本位制が放棄されて後、世界的にも数年間のデフレ経験国はあっても、20年にもわたるデフレは現代の日本だけです。
しかも’98年以降この14年間、GDPデフレータではただの1年も物価がプラスの年がありません。

 平均して、世界の国々である年に物価がマイナスの国は10にひとつもないと思いますが、
仮に物価がマイナスになるのが1/10の確率の偶然の出来事だとしたら、日本のデフレは1/(10^14)=百兆分の一の出来事*1

 世界に180以上の国があるのに、なぜ日本だけが天文学的な確率でデフレになるんでしょう? つまり日本のデフレは、自然現象であるはずがないでしょう。だからあなたは批判されるんですよ、白川さん。*2
 
 物価が安定している諸国と、物価が下がり続ける日本の物価(GDPデフレータ)推移

*1:さっき朝のバタバタした中世界中で物価マイナスは1/10、と仮定して計算したのですが、改めてIMF World Economic Databaceで利用可能な1981年〜2011年の間の物価マイナス国数を調べてみました。 この31年間ので、世界184カ国中、毎年平均16.9カ国。デフレが自然現象と仮定し、この16.9/184≒1/10.8でデフレが起こるとしたら、14年連続物価マイナスとなる確率は、約3百兆分の一でした。いずれにしても、デフレが自然現象とするなら、日本にだけ神がいることになります。いや、実際いるのかもしれませんね、現人貧乏神(あらひとびんぼうがみ)がw

*2:白川総裁に現人貧乏神と命名したのは山崎元氏です。残念ながら筆者のオリジナルではありません。