シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

毎年11兆円の国債が日銀に直接引き受けされていることを財務大臣は知らなかった

先日の財務金融委員会で、自民党山本幸三議員が野田財務大臣や白川日銀総裁に、日銀は既に、毎年10兆円を超える国債を政府から直接引き受けているという事実を知っているか質しました。今の時点ではビデオは見られますが、国会の議事録は公式には見られないようですので、記録を掲げたいと思います。
ビデオ:国会インターネット中継  開会日 : 2011年3月25日 (金)13:53〜   会議名 : 衆議院財務金融委員会 山本幸三で検索(記録は開始から22分30秒まで)
自民党山本幸三議員「自由民主党山本幸三でございます。私も、ちょうど二週間前、3月11日の夕方からの審議に備えまして一生懸命勉強しておったわけでありますが、そのときに、突然大変な地震が発生いたしました。東北関東大震災という形になりまして、多くの方々が犠牲になり、そして被災されました。亡くなられた方々には心から御冥福をお祈りしたいと思っていますし、被災者の方々には、お見舞い申し上げたいと思います。」「そのときはですね、私は日銀総裁を呼んでおりませんでね、税制の話をしっかりしたいと思った。いつも日銀総裁ばっかりやってるわけじゃないっていうのを、ちょっと、示したかったんでありますけども、えー、事態が急変いたしましてね、今日またおいで頂きました。それはですね、まあ要するに、税制なり特会公債法というのは、歳入のことですね。で、歳出をするためには歳入がいるわけですが、それはまあ、税でやるか国債でやるかしかない。そのときに、通例だと特例公債ということで市中発行の、ことをやっていたわけでありますが、この大震災が起こると、私は、「これはダメだ」と。これじゃ足りない。これはもう、日銀直接引き受けやってもらうしかないというのが私の考えでありまして、この点は緊急アピールで皆さん方のお手元にも配布させていただいておりますが、これはですね、何故かというと、これは迅速にやらなきゃいかん。それから、規模を十分に確保できるものでないといけない。そして、経済に悪影響を及ぼすものであってはならない。この観点からすると、私はどう考えたって、まあまさに、20兆円規模が私は適当だと思っておりますが、まあその、規模は異論があるかもしれませんが、日銀の、国債直接引き受けでやるしかない。と、確信をしております。で、ところが、この日銀の直接引き受けっていう問題については、まあいろんな議論がありましてね、まあ与謝野さんは「法的にできない」なんてバカなこと言ってる。で日銀総裁はこのまえのこの委員会の審議では、「貨幣の信認が失われる」。で、五十嵐財務副大臣は「インフレになる」。というような話をされました。まあ私から言わせると、俗論・妄説の類でありましてね(場内小笑)、それに決着をつけるために今日私は質問に立つのであります。(笑)でー、まずね、一番わかりやすいのは実例を見るのが一番いいんですね。財務大臣ですね、日銀の直接引き受けというのは異常なもののように思ってますが、実は毎年相当やっているんですよ。この事実をご存知ですか。野田財務大臣「あのー、日銀が長期国債の買い入れをやっているということは事実でございます」山「いやいや、直接引き受け野「直接?あのー、ま、要は、日銀のやってることは、その、いわゆる金融政策の一環として」山「知ってますか。知ってますか知ってませんか、どっちか」 野「いや直接は知りません」 山「五十嵐副大臣どうですか」五十嵐副大臣あのー、借換債、乗り換えについてはですね、直接引き受けをしております。これは総則に基づいてやっております山「あー、結構です。よく勉強しておられますね。日銀総裁はどうですか知ってますか」白川日銀総裁「えー、日本銀行は、市場から国債を買い入れ、いわゆる「オペ」を行っております。で、買い入れました長期国債が満期を迎えたときには、あー、そのー、金額につきまして、現在は、短期国債で乗り換えております。この金額は、財政法五条の但し書き、に基づく金額の中で、既に買い入れました国債の、満期償還後について短期国債の乗換えを行っていると、いう事実は、これは認識しております。」 山「その通りでありましてね、毎年やってるんですよ日銀の直接引き受けというのは。予算総則、特別会計の予算総則ですか、第五条にこう書いてある。『特別会計予算総則第五条国債整理基金特別会計において、財政法第五条但書の規定により、政府が平成23年度において発行する公債を、日本銀行に引き受けさせることができる金額は、同行の保有する公債の借り換えのために必要な金額とする』。」「『借り換えのためには』、国債引受を毎年やってるんですよ。日銀総裁、これで通貨の信認失われましたか?」白「この国債の、乗り換え引き受けにつきましては、これは日本銀行が市場に対して資金を供給するという、金融政策の目的上、行いました国債、その国債の乗り換えでございます。したがって、この乗り換え引き受けによって日本銀行による国債の買い入れ金額、保有金額が増えるというものではございません。で、かつ、乗り換えにあたりましては、そのつど乗換えが金融政策運営上、支障が無いかどうかそれを確認したうえで乗換えを行うという判断を行っております。いずれにせよ日本銀行が大元の買い入れ金額を決めた上での乗り換えの話でございます」 山「あの委員長、私の質問にちゃんと答えるように言ってください。私が聞いてるのは、これは借り換えだろうと、本来なら金返して、それでまた借り換えするということの、それを、適宜借り換えるということをやってるんだけど、国債直接引き受けに変わりありませんよ、経済学的には。だからこれは、通貨の信認を失ったことになったのか。イエスかノーか。それ以外のことは答えなくてよろしい。」 白「えー、日本銀行を含めどの中央銀行も、国債の買い入れが金融政策上の目的を離れて、財政のファイナンスのために行われていると、いうふうな、認識が広まりますと、これは通貨への信認を損なう、というふうになっています。」 山「委員長、しっかり私の質問に答えるように言ってくださいよ。通貨の信認を失ったんですか!?どうですか!?どっちなんだ。イエスかノーか」委員長「通貨の信認を失ったか否か、について、日本銀行総裁」 白「あの、山本先生の、問いかけは非常に難しい、問いかけでございまして(山「難しくない!」)、イエスかノーかで答える性格のものではなかなかないと思います。日本銀行が、金融政策の目的を離れて、自動的に、財政ファイナンスのために国債を引き受けるという体制になりますと、これは通貨の信認を毀損する恐れがあるというふうに思います。」 山「私は将来の話じゃない仮定の話をしてるんじゃない。毎年、日銀は直接国債引受をやってんだ、借換債という形だけど。これで通貨の信認が失われましたか!?どうかって聞いてるんですよ。一番簡単な質問じゃないですか。委員長、ちゃんと、それしか答えないようにしてくださいよ。つまんない他の事言わなくても、他の事はこれからやるから。」委員長「毎年、買い入れをしていることについて、今、山本議員が質問をいたしております。その点について、もう一度白川総裁のほうから答弁を求めます。白川総裁。」 白「日本銀行は、毎回乗り換え引き受けのつど、金融政策に支障が無いか確認し、支障が無いことを確認したうえで、乗換えを行っております。その結果として通貨の信認を失うということのないように努力しています。」 山「つまり、日銀は、毎年国債の直接引き受けをこれまでやってきた、だいたい11兆円ぐらいだ。巨額ですよ。借り換えだけど。しかしそれは直接引き受けと変わりない。財政法第五条但書にちゃんと書いてあるんだから。ね。そういうことなんですよ。直接引き受けっていうのは。そして今、日銀総裁は、今までやってきたことで通貨の信認を失うということはない、言明されました。結構です。で、五十嵐副大臣、インフレになりましたか?」五「それはあの、市中消化原則をどう見るかという話なんだろうと思います。市中消化原則に支障が無いから、乗り換えについては大丈夫だということになっているわけでありまして、これによってインフレがおきるという性質のものではないということです 」 山「最初のところはよくわからないけれども、インフレでなかったってことは確認できたということで。そこで、次に日銀総裁にいきますがね、『通貨の信認が失われる』とはどういうことですか?」 白「通貨の信認ということは、これは釈迦に説法でございますけども、これは、あくまでも、ペーパー、記録でございます。で、このお金をなぜ人々が受け取るかといいますと、これは将来の価値が安定していると、いうふうにみんなが信頼を置いているからこそみんなが貨幣を使う、通貨を使うわけでございます。で、この、通貨の信認が失われるという事態は、将来中央銀行の金融政策が物価安定という目的からずれて運営されていくというふうに、人々が思い始めますと、その結果として将来の通貨価値が不安定になってくる。その結果、通貨が、ですね、普通に使われるという事態からだんだんに離れてまいります。そうした状態になると、いうことが、『通貨の信認が失われる』状態だというふうに考えてます。」山「まあだいたい結構だと思います。要するに、『通貨の信認が失われる』というのは、ハイパーインフレになること、そのときしか起こらないんですね。つまり、インフレ率が高くなりすぎて、通貨を使う価値があるかないか、ということですよ。だからつまり、『通貨の信認が失われる』っていうことは、まあハイパーインフレをどう定義するか次第にもよるんだけども、いわゆるハイパーインフレと呼ばれた現象が、歴史的に、過去いくつかの国でありました。そういうときには、『通貨の信認が失われる』、ということを言うだろうと私は思いますよ。それでいいですか。」 白「通貨の信認が失われるケースには二つあると思います。一つは激しいインフレが起こる、ということがございます。もう一つは、通貨それ自体のですね、支払能力についての疑念であります。」「いま日本銀行券の金額よりか遥かに多くの通貨は、じつは銀行預金という形で、これは提供されております。で、一国の銀行システムの安全性というのはこれは最終的には、これは政府の信用度、というものに依存しております。で、リーマンショックを始めとしていろんな金融システムの問題が問題というのは、これはギリシャのときにもそうですけど、最終的に、金融機関の負っている債務である預金という通貨に対して、人々が信認を失う、でこれは最終的には政府の、財政支払能力というものに対する疑念が出てきますと、その面からも通貨の信認は失われます。いずれにせよ、通貨の信認が失われるというケースは、インフレと、それから金融機関の支払能力、あるいは最終的に政府の支払能力というものに対して疑念が生じてまいりますと、どこかの段階で人々の予想・信認というのが非連続的に変化してきます。で、そうしたことを、過去われわれは内外のさまざまな経験によって、そうした事態をわれわれは直面してきております。したがって、人類の英知として、あらかじめ、中央銀行国債を引き受けるということは、これはしないということを、これは導入しているわけでございます。で、世界の多くの国、これは先進国はもとよりですけども、新興国も、たびたびの金融危機の経験を経て、そうした中央銀行の引き受けを未然に、そうしたことはやらないと、いうことを導入し、そうした運営を行っているというふうに思っております。」  山「最初の激しいインフレの時には、ハイパーインフレのときに通貨の信認を失うというのは、まぁそれは分かります。二番目の、これはつまり、政府が信用できなくなったっていう時に、通貨の信認が、っていうのは、それはまあ、今の政権がとてもじゃないけど信用できないって言ってるのと同じことですが、日本銀行はそれを心配しているわけですね?…そこでだ、今、20兆円ぐらいの日銀国債引受をやって、そんな事態が起こりますか?私は起こらないと思う。だって、20兆円以上のデフレギャップがあるんでしょ?そこからこの震災で、民間シンクタンクは、GDPはもう0.5(%)くらいは吹っ飛ぶと。30兆円吹っ飛ぶ。もっと吹っ飛ぶんですよ。そういう状況で、日銀国債引受をやって金を出して、ハイパーインフレになるわけがないじゃない。これを増税でやれば、いっそう消費を減らして、経済を収縮して、税収なんか上がりませんよ。それから、これを市中で国債発行やれば、いよいよ金利上昇プレッシャーがかかって円高になりますよ。効かない。それじゃなくたって財政支出拡大だけで円高になるんだから。それを防いで、経済にいい形で迅速に思い切ってやるためには、日銀が国債引き受けて、金を出して、金利が上昇しないように円高にならないようにしながら、やるしかないんですよ。で、それが、ほんとにインフレのときに、ハイパーインフレになりそうだったら私はこんなことは言いません。しかし、ね、デフレで、デフレギャップがこれだけあって、しかもGDPがこれだけ落ち込みそうだっていう話をしているときにこの政策を使わないでどうするんですか。あなたは、20兆円国債日銀引受やって、ハイパーインフレになると思ってるんですか。それともよっぽどこの政権に能力が無いと判断しているんですか。どっちですか。」  白「えー、現在、日本の国債発行額は大変大きな金額に上っております。年間100兆円を上回る金額の国債が発行されています。それだけの大量の国債が現実に市場において安定金利で安定的に調達されています。こういうふうに、国債が安定的に調達できるという状況をしっかり維持するということは、今後の国債の厳格な発行を考えるうえで非常に大事なことでございます。この点で大事な事は、人々が『将来、通貨の価値がどういうふうになっていくんだろうか』ということについて疑念が生じないことであります。現在、世界の多くの国では、これは、国債の引き受けは認められておりません。そういう意味で、中央銀行が、国債の引き受けを行わないというのは、これは世界で確立された考え方になっております。そういうもとで、日本が、国債の引き受けを、中央銀行による引き受けを行うようになりますと、今直ちに状況が変化するかどうかそれはわかりませんけれども、しかし、日本の基本的な、通貨、経済に関するこの『運営の仕方が変わったんだ』と、いうふうに、国民あるいは内外の投資家が、そういうふうに認識を変化させると、いうふうになってまいります。何処かの段階で、非連続的変化が生じてまいります。勿論、その非連続的変化がいつ起こるのか、正確に特定することはできません。しかし、そうしたことが、過去多く起きてきたと、いうことで、引き受けを禁止すると、いう規定になっているというふうに思います。そういう意味で、私が、中央銀行による国債の引き受けについて、慎重な考え方を申し上げたわけであります。」山「あのねえ、最初に示したように日銀の直接国債引受というのはやってんですよ。だからできないなんて、どうしていえるんだ。さっき示したじゃない。予算総則で。だからそんなことは言うな。それから、まあ心配しているというのはわかりますが、説得力ないね今のこと、答弁でね、『いつかは非連続的になるかもしれない』。その前に安定的に穏やかなインフレ率へ持ってくのが仕事ですよ、貴方の。それもしないでデフレにいて、穏やかなインフレ率に持っていくっていうのは、最大の仕事ですよ。それがね、財政ファイナンスだろうがそんなのは関係ない国民にとっては。国民にとって一番大事なのは物価が穏やかなところで安定する。それをやれっ。これをね、まあ日銀だけにやれって言ったって、まそんな度胸ないでしょ。これは政治決断しかない。財務大臣、いろんなことから考えて、先ほどもちょっと申し上げたけれども、これ以上特例公債や他の法案を出してやるんですか?この日銀国債引受だったら補正予算の予算総則に一行書きゃあ、もうすぐできちゃうんだから。その迅速性・規模、で20兆円やったってインフレになんかならない。むしろ、2〜3%の、インフレ率になるのも足りないぐらい。それでほんとにインフレが心配だったらインフレ目標政策をきちっと決めりゃいいじゃない。そのためにあるんだ、インフレ目標政策っていうのは。そういうことを含めてやれば、これしかないと私は思うけれども、財務大臣、御見解を伺いたい。」 野田「あのー、先ほど来でている日銀の乗り換えはですね、私は基本的にはこれは財政規律からいえば中立的だと、いうふうに思います。だから、今回のご提起の話とは少し趣が違うんではないかと思います。そのうえで、まあ『これは政治決断だ』というお話でございましたけれども、私はやっぱり財政法第五条、これは基本的には過去の歴史を踏まえて、大変重たい規定だと、いうふうに考えております。(山本)委員のご指摘のような、こういう危機の状況だし、いろんなそういう懸念は無いという、一つの論はありますけども、ただ、様々な識者からは別の懸念も示されていると。そういうことを総合的に勘案しながら判断しなければいけないというふうに思います。」山「あのねえ、そのー、昭和恐慌のときの高橋是清の歴史をよく勉強してくださいよ。高橋是清が日銀引受を発表して、彼が殺されるまでの間は日本の経済パフォーマンスは最高だったんだよ。物価は2%で安定し、実質成長率は7.2%。金利はもちろん長期金利は、下がった。株はどんどん上がった。まったく、インフレも起こらないし、成長は安定したんですよ。そして、一気に経済は回復した。これを今やるのが、野田財務大臣、貴方の力量に懸かってるんですよ。平成の高橋是清になってくださいよ。歴史に残る。今やらなかったら、いつやるんだ!こんな、大災害のときにやらなかったらいつやるんですか。まあこれは、いずれちょっと私、税制の話をちょっとしたいんでね、今日はここまでにしときますが、はっきり示したように日銀の直接引き受けってのは毎年やってるんだってことを、よく知っといてくださいよ? 何もおかしな話じゃないんだ。そして、こういうときにはむしろ、やらなければ、他のやつの、歳入政策をとったら弊害が起こる。インフレが心配だったらインフレ目標政策をきちっと、決めてやる。ね、デフレ議連の松野(?)さん、頑張ってくださいよ(場内小笑)。それが、今、やるべきことですよ。これは与野党超えて、是非、一緒に私はやってもらいたいと、やるべきだと思います。まあこの話は、いずれ、また、何度もやりますが、せっかくですから税制の話もちょっといきます。もう日銀総裁は結構。」(ここまで引用----22:30)

山本幸三議員、いつもながらよく勉強していますね。 それに対し、野田財務大臣や与謝野大臣の不勉強なこと。政権を担っているという責任感が全くないです。orz 一方、さすが日銀総裁、白川氏は事実認識は正しいです。ただ、今後の予想となると、デフレ愛好者としての顔しか見えません。長期国債金利上昇を恐れて(というか、景気回復であろうが自分の任期中に金利が上がって欲しくない)ということなんでしょう。 今回の質疑応答で、日銀が国債を直接引き受けても何ら問題は起きないという認識は山本幸三議員のみならず、白川総裁・野田財務大臣にも共有されたはずなんですが、さて…。

【関連記事】日銀による国債直接引受でなにが起きるか-高橋財政期の分析-
【追記】高橋洋一氏がツイッターで、毎年の日銀引受額をアップされています。