シェイブテイル日記2

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財務省の懸念と荒物屋のゴミ箱

積み上がった政府債務がいかに危ないかという文脈で、「もし国債金利が1%上がると、金融機関が抱える国債は2.5兆円減価する」という話があります。

主要7カ国・G7のイタリアにまで広がった欧州の財政不安。国債買いが細り、長期金利が上昇した場合、日本では何が起きるのか。2009年度の銀行資産から日銀がはじいた推計によると、金利が1%上がるだけで大手銀行は2兆5千億円の評価損をかかえる勘定です。特に運用難の地方銀行が長期債への投資を増やしており『潜在的なリスクは急拡大している。 (財務省幹部) *1

わずか1%の金利上昇で金融機関には2.5兆円の損失発生とは穏やかではないですね。

ただ。
金融機関って株式も保有しているんですよね。 現在東証上場会社の時価総額は約550兆円。
そのうち約28%、つまり155兆円ほどは金融機関保有の株式です。

そして、最近株価はちょっと調整気味です。日経平均では4月23日の高値が20252円、それが一昨日7日の安値では19257円。 ということはその間、東証株式は5%弱減価し、同時に金融機関保有分の株式は7.6兆円減価したことになります。

日本国債10年ものでは、ここ8年で金利が2%から0.4%に動いた程度なので、財務省幹部がいうような、1%もの金利上昇とは大ニュースと言って良いほどの相当な国債暴落で、その仮定の場合に金融機関で発生する潜在的な2.5兆円の損失には関心が高いのに、実際の株式で度々発生するような調整過程での7.6兆円の損失について『顕在化したリスク』と大騒ぎしないのは不思議な話ですね。

もっとも、「このわずか7営業日で金融機関が大損した」と騒いでいる人は、私はまだ一人も知りませんけれど。


 本文と特に関係はないが矛盾の例

*1:ただし引用元は検索できず