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サルでも分かる、増える自殺と財務省日銀の関係

今朝の日経では、日本の自殺大国ぶりが報じられています。

「自殺考えたことがある」4人に1人 20〜50代、内閣府調査  日経2012/5/2 5:00  
内閣府は2日、自殺に関する成人の意識調査の結果を公表した。「自殺したいと思ったことがある」と答えた人は23.4%に達し、2008年の前回調査より4.3ポイント上昇した。年齢別にみると、50代以下は4人に1人が自殺を考えた経験を持っており、20代は28.4%と最も多かった。若年層を中心に近年の自殺を取り巻く厳しい現状が浮き彫りになった。

 調査は1月12〜29日に全国の成人男女3000人を対象に実施。2017人から回答を得た。

 自殺を考えた経験のある人にどう乗り越えたかを複数回答で聞いたところ「家族や友人、職場の同僚に悩みを聞いてもらった」が最多の38.8%。次いで「趣味や仕事で気を紛らわせるよう努めた」が38.6%だった。身近な人や環境が自殺を思いとどまらせていることが明らかになった。
 身近な人の「うつ病のサイン」に気づいたら、病院へ相談することを勧める人は72.7%に上ったが、自分自身の「うつ病のサイン」に気づいて病院へ行くと思う人は51.2%にとどまった。
 うつになった場合の支障については「家族や友人に迷惑をかける」が67%で最も多く「職場の上司や同僚に迷惑をかける」(24.9%)が続いた。

この自殺、図1のように1998年以降3万人を下回ったことがありません。

日本の自殺者数推移
日本では自殺者が1998年(H10年)以来3万人台に増え、現在まで高止まりしている。

この自殺の増加について、増加する前年の1997年アジア通貨危機があったから、日本の景気が抑制され、という説明を自殺急増当時はよく聞かされていました。 しかし、15年も前の、既に皆が忘れかけているアジア通貨危機がいまだに日本の自殺を高止まりさせている、などという説明に説得力があるのでしょうか。

図2は、この自殺数と物価指標のGDPデフレータを、1982年(右下)から2008年までプロットしたものです。

図2 日本の自殺者数と物価(GDPデフレータ)の関係
物価がマイナスになると、自殺は高止まりする、という関係が見られる。

図2のように、GDPデフレータと自殺にはかなり強い相関が見られます。 GDPデフレータがマイナスとなると自殺数が増えるということです。


 図3 世界で唯一日本だけ物価(GDPデフレータ)が下がり、同時に賃金も下げ続ける 
出典 IMF World Economic database 2011
 図3は、世界で物価が安定していると言われる諸国の物価変動です。日本では物価が安定しているなどと言いますが、それは消費者物価指数CPIで見た場合の話で、消費者物価は1−2%高めに出る癖があることが知られていて、実際に物価を正しく示すGDPデフレータは1998年以降マイナスが続いています。このように数年以上続くデフレは、戦後の世界で唯一日本だけです。 
 GDPデフレータのマイナスが続く理由は、その当時の経済事象を1997年に消費税増税があったことと関係があることは「サルでもわかるあなたの賃金が上がらない理由」に書いた通りです。
要約すれば、日本で賃金が下がり続けるのは、

転嫁できない消費税の増税→運転資金減→従業員の給料減・関係先会社の売上減→日銀が「下級財シフト」を無視して必要なマネーを吸い上げ→デフレ継続 

というサイクルがぐるぐる回っている、ということです。

 筆者は日本が自殺大国となったのは、物価をマイナスにコントロールし続ける日銀と、そのきっかけとなる消費税増税を主導した財務省の合わせ技によるものと思います。 野田首相が政治生命をかけてここで更に消費税増税を行ったら、自殺数がどこまで増えるか想像もつきません。

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