シェイブテイル日記2

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政府貨幣について

政府紙幣について。

Stiglitz(2003)および榊原(2002)が政府紙幣の発行収入を不良資産問題の処理にあてることを提案し、これに渡辺喜美元行革担当相、森本卓郎氏などが賛意を表明している。

しかし、日銀、大半の政府当局者は政府紙幣発行に反対の立場が多い。 ただ、その反対の立場の根拠まで示した意見はあまり多くはない。 この中で、財務省の財務総合政策研究所特別研究官・大久保 和正氏が個人的立場で、と断りつつも政府紙幣に対し実務的に詳細に検討しているのが注目される。

http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/ron086.pdf

しかし、何度読んでも理解できないのは、日銀券の裏づけとなっているのは実物資産としての金が少し(0.4兆円)と国債(99兆円)なのだが、金(きん)はともかくとして、国債は政府の信用をベースに発行されているだけで、単に政府紙幣を発行しようが、国債の「信用」をバックに日銀券を発行しようが裏づけは政府の信用でしかない、という点にあまり焦点が当たっていないように思える。
また、政府紙幣を流通させると、日銀券は需要が減り政府紙幣+日銀券の貨幣需要としては一定、という断定調の部分はその根拠が書かれておらず、結論ありき?と読者に思わせてしまう部分がある。

一方、平山賢一氏は著作の中で、日銀は日銀券の裏づけが国債でしかない点に市場関係者が気がつかないように政府はするべき、と醒めた議論を展開している。
http://www2.odn.ne.jp/hirakun/pdf/kinyu_shi/kinyushi0310.pdf

結局、政府紙幣発行は、現在のようなデフレ下で、巨大な、いわゆる需給ギャップが存在する中では大変有力かつ魅力的な政策ではあるものの、市場関係者が政府紙幣(あるいは日銀券)の裏づけを考える機会を与えることを、日銀や財務省官僚は嫌っているということなんだろうと思われる。