シェイブテイル日記2

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アメリカ版政府貨幣構想が検討される?

【要約】
アメリカで政府債務の財源として超高額プラチナコインを発行する構想が出ています。
アメリカではこの構想に対し懐疑的な声も少なくないようです。
アメリカと異なりデフレの続く日本にあっては、超高額政府貨幣構想は十分検討に値すると考えられます。

下の記事をhimaginary氏のブログを通じて知りました。*1
1枚で1兆ドルのプラチナコインを1996年にできた法律を根拠に発行して、NY連銀に持ち込んでアメリカ政府の巨額債務を賄おうという話らしいですね。
元ネタ記事はこちら*2

Friday, July 22, 2011

Is Platinum Coin Seignorage A Way Out Of The Debt Ceiling Impasse?

 So, the latest rumblings are that Obama and Boehner may be near a deal, but if they are not, or if it will not pass in time, there may be another way to get around the debt ceiling without provoking a constitutional crisis and possible impeachment by having Obama ignoring it, as I have supported, or in conjunction declaring it unconstitutional, which I also think it is, or violating the constitution by making arbitrary cuts in spending not approved by Congress. This is to coin one, or maybe several, platinum coins of very high value, depositing it or them in the NY Fed, and keep on paying bills.

This can be done due to a peculiar and little known act passed in 1996 that allows the US Treasury to mint platinum coins of arbitrary value, but no other metals. Why this was passed, I have no idea, but it is in the code apparently. A single one trillion dollar platinum coin deposited at the NY Fed by the Treasury would do the trick for some time.

I thank James Galbraith for bringing this to my attention. Apparently this was suggested initially some time ago by the commentator known as "beowulf." Matt Yglesias provides more discussion at http://tinyurl.com/6xub2ab .

1枚1兆ドルのプラチナコインをNY連銀に持ち込んでドル紙幣に「両替」してもらおうっていうんですから、超高額政府貨幣構想そのものだと思うんですがどうなんでしょう。
アメリカでは日本と異なりデフレではありませんから、政府債務の相殺にのみにうまく使うのでなければ、高インフレのもとになる可能性は否定できません。
ただこの記事の、アメリカではともかくとして、筆者は現在のデフレ日本での超高額政府貨幣って殆ど欠点のない、いい政策だと思っています。
1)国債とは異なり、金利がつかない→どれだけ発行しても返済に困るということはないです。 
2)流通するのが政府と中央銀行の間だけ→民間に出まわって、無用な混乱をさせません。
3)今の政府が欲しい数十兆円の財源が国会決議だけで生まれます。
4)そして今の日本なら、この20年間デフレターゲット政策を貫いている日銀の邪魔も入りません。

勿論、超高額政府貨幣によって過剰なインフレになるのは困るんですが、現代先進国、特にインフレ目標政策を採っている国々で、高インフレに悩んでいる国はありません。デフレの続く日本に関して政府貨幣発行で制御不能なインフレに、なんていうのは一種の宗教であって、何の論理的根拠も、歴史的事実も踏まえていません。

 日銀が論理的にも歴史的にも理解可能な理由もなく世界金融史上最長のデフレ目標政策を堅持しているのは一種のナゾですが、それを論理的に説得するのは山本幸三議員が100人いても無理かもしれません。 しかし、超高額政府貨幣なら、国会決議だけで済むのは実際上は大きいメリットに思えます。
 蛇足ですが、福島第一原発で、非常用電源が外部の建屋にあることに対し、津波の危険性が指摘されたことがあったとか。 それにも関わらず非常用電源を津波の来ない原子炉建屋に移さなかったのは、「移せば、経産省などのこれまでの判断が間違っていることを認めてしまうから」という話を読んだことがあります。 外部から見れば完全な狂気の判断ですが、この経産省にしてもあるいはデフレ政策堅持の日銀にしても、かつての日本軍にしても、官僚組織にとっては自組織の過ちを認めることはどんな国民の犠牲を払ってでもできない相談なんだろうか、と思ってしまいます。