シェイブテイル日記2

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2 減価地域通貨に、行政当局らはどう応えるのか

先に書きました、

「大阪都構想」に対抗すべく自民党に実施提案した減価紙幣案 

は、特に大阪市に限って有効ということではありませんので、消費増税の悪影響が出る前に、各都道府県の地方自治体でも独自に減価紙幣による経済活性化に取り組むことは「冒険」というよりも「保険」のようなものだと言って良いでしょう。

 とはいえ、お金が絡むことですし、各地方自治体はその上位地方自治体さらには総務省(旧自治省)などの意向もあって、自由自在に減価紙幣を発行し経済活性化を図る、というわけにはいかないかも知れません。

ただ減価紙幣についてはヴェルグルでの経験の他にも多数の成功事例がオーストリア・ドイツ・米国に数百件単位であることですし、後は行政当局がどう反応するかが一番のポイントでしょう。 これについては2009年に村井長野県知事に対し同県職員宮本が提出した建白書のその後の経緯がひとつ参考事例となるでしょう。

減価する紙幣について地方自治体はどう捉えているか - シェイブテイル日記

恐らくは前例主義に則り、「財源に難あり」といった理由で葬ろうとする(自分の担当時代に波風を立てたくない)担当者が少なくないでしょう。 

ところが、少し考えれば解る話ですが、今回大阪市に提案した

「大阪都構想」に対抗すべく自民党に実施提案した減価紙幣案

の場合、償還財源は結局2年後までには、1,000ポイント券の対価1,000円は大阪市民が払ってくれる仕組みですので、大きな財源を準備して開始する必要がないのです。

また、金融庁は、「 紙幣類似証券取締法と地域通貨との関連には慎重であるべき」ではあるものの、「 地域通貨は実態も様々で地域通貨の明確な定義はなく、したがってガイドラインも作成できない」との立場を採っています。要するに、「ガイドラインなどはなく、案件別に是々非々で考えるので、個別に案件を相談してください。」という立場と考えられます。

なお、地域通貨の「単位」が「円」である場合には財務省も関心がある領域となります。

財務省では紙幣類似証券取締法との関係はまず関心事となりますので、日本国内において地域通貨を運営する場合、この法律の適用対象となる可能性があるというので、円以外の通貨名を用いたり、有効期限を定めたり、会員のみが使用可能な通貨の体裁を取ったりすることで、法的問題を回避していてたのが実情でした。 ただ紙幣類似証券取締法の第1条では「財務大臣ニ於テ其ノ発行及流通ヲ禁止スルコトヲ得」とあるのみで、
財務大臣が必ず禁止する、とも言えません。

2003年2月に財務省は「複数回流通は登録事業者間に限る」「換金は登録事業者が指定金融機関で行う」などの条件を満たせば「紙幣類似証券取締法」に違反しない、との方針を示した結果、現在では北海道・留辺蘂(ルベシベ)町などが円建ての地域通貨を発行するに至っています。

こうして過去の事例を踏まえて考えますと、1ポイント=1円で通用する1000ポイント減価紙幣を760円で地方自治体が販売し、その地方自治体内での通用を保証する、というタイプの減価紙幣ならば、行政当局も日銀も、通貨発行権との絡みで問題だという根拠は消滅するでしょう。

2009年に総務省は長野県職員の宮本氏による減価紙幣建白書を門前払いしてしまいましたが、「財源なら自治体民自身が100%払うので財源問題は発生しません」といえば済むことでしょう。

全国に、減価紙幣の輪が広がり、少なくともその地域では失業率が下がり、好況に湧くという私にとっての夢が広がることを祈って止みません。