シェイブテイル日記2

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消費増税を介して知る日本の支配者

 ジャーナリストとしての自由を求めて、古巣の日経新聞から産経新聞に移り特別記者・編集委員論説委員を務める田村秀男氏。
その田村氏が消費増税を巡る財務省の暗躍を実名付きで伝えた「アベノミクスを殺す消費増税」は現場で実相を見てきた迫力があります。

以下その一節です。

財務省の傘下には国税庁があり、いかなる権力者や企業が相手でも、税務調査の名目でカネの出入りや資産を調べることができます。第四の権力と豪語する新聞社にも税務調査が入ります。2011年夏から半年近くの長きにわたり、中日新聞グループに大規模な税務調査が入りました。

京・中日新聞は、当時の民主党政権が推進していた消費増税に反対の論陣を張っており、その中心となっていた論説委員の飲食費などの伝票に虚偽記載がないか、徹底的に調べられたといいます。狙い撃ちされたと見ていいでしょう。

 そこで、読売新聞社のように、財務省大物OB丹呉泰健氏(元財務事務次官、現内閣官房参与)を本社監査役に迎え入れるところも出てきます。
日経新聞の喜多恒雄代表取締役社長も、朝日新聞の木村尹量(ただかず)代表取締役社長も、財務事務次官と肝胆相照らす親しい仲であったことが、トップにのぼり詰めたひとつの要因とみなされています。

(中略)

 財務官僚は御用学者を使って、「日本のデフレは1997年度の消費増税が主因ではなく、その年のアジア通貨危機が原因だ」という見解の論文を作成しています。内閣府が2011年5月30日に発表した「社会保障・税一体改革の論点に関する研究報告書」です。 

有識者検討会の中心としてこれをまとめたのは、先にも名前を出した吉川洋・東大教授でした。

その上で、各紙の論説委員に「ご説明」を繰り返し、これだけ権威ある専門家の先生方が一致して、消費増税は景気に悪影響はなく、少子高齢化社会保障財源として避けられないものだといっている、と刷り込みます。

そして各紙に対し、ほぼ一斉に「消費増税は不可避」という社説を書かせます。社の論調を代表する社説で増税が肯定されれば、その後の紙面はすべて、そこから外れないような記事で埋まります。こうして読者への洗脳が進むのです。

   増税で日本を破壊する巨悪・財務省 
     「アベノミクスを殺す消費増税」田村秀男
 (P137)

 田村氏の所属する新聞社に財務省幹部が増税不可避の「ご説明」に来た際、同席した田村氏が理路整然と「先の消費増税では税収が減ったではないか。」と見解をただしたところ、当日は「東大の教授や内閣府エコノミストなどの高名な先生方は、そんなことおっしゃっていない」と返答して帰り、後日には、財務官僚から「それでいいんでしょうかねぇ、田村さん」と含みのある言い方をされたり、財務省事務次官経験OBから同社幹部が「おたくの田村はひどいな。」と圧力をかけたとか。 

消費税増税を巡る財務省の暗躍について是非今読んでおくべき一冊です。

アベノミクスを殺す消費増税

アベノミクスを殺す消費増税