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自民党石破幹事長の危うい財政健全化認識

 報道によれば、自民党の石破幹事長は、憲法を改正して財政健全化を明記すべきとの認識を示したとのことです。

 自民党石破茂幹事長は25日、佐賀市内で講演し、憲法を改正して、財政健全化確保や「国民に対する政府の説明責任」の明記を検討する必要があるとの認識を示した。石破氏は「そういうことを書かなければ、憲法は時代に合わない」と強調した。

 自民党が目指している改憲の発議要件を定めた96条や9条の改正には反対論が根強い。石破氏としては、国民に受け入れられやすいテーマを掲げることで、改憲への反発をかわす狙いがあるとみられる。 
  財政健全化、憲法で明記を=石破氏   [時事通信社]2013年5月25日

この報道だけでは石破幹事長の意図する財政健全化が好景気による税収増によるものか、増税による税収増によるものかは不明です。

ただ、石破氏は自身のブログで、消費税増税に明確に賛成する意思表示をしています。

消費税法案を可決し、日本の財政再建に向けた意思を示し、再来年の第一回の引き上げ予定時期までにあらゆる景気対策を施して環境作りに全力を尽くすとともに、所得再配分機能と保険機能の回復を主眼とする社会保障改革を断行しなくてはなりません。
石破茂オフィシャルブログ 2012年6月22日 (金)

改めて言うまでもありませんが、増税とは民間のマネーを吸い上げることです。それにより必ず景気は抑制されます。
勿論増税と同時に反対給付があるのならば、マネーは民間に還流され国民内での所得再配分政策となります。
しかし目的が財政健全化、すなわち増税だけを目的に反対給付もないとすれば景気が良くなる要素は皆無です。
現在検討されている社会保障と税の一体改革も見かけとは異なり、反対給付がほぼないと言ってよい単なる増税です。*1

また、憲法とは「国家権力の組織や権限、統治の根本規範(法)となる基本原理・原則を定めた法規範」とされています。*2  これは簡単にいえば、一般的な法が、国家権力が国民を枠にはめるのに対して、憲法は、これらと異なり、権力をもつ国家が主権者国民に不都合なことを行わないように、たがを嵌めるためのものと言えます。

 以上のことをまとめると、石破氏は、国民が国に景気を抑制し続けてもらえるように憲法を改正したい、と言っていることになります。

どこの国の国民が、国に景気を抑制し続けることを憲法に規定してほしいというのでしょう。

おそらく石破氏は増税による権益拡大に励む財務省からのご進講に洗脳されて、国民経済よりも財政再建が重要という誤った経済認識があるのでしょうが、こうしたあやまった経済認識の人物が自民党の中核にいることが現在の安倍政権・アベノミクスの脆弱な実態と思われます。

【5月26日追記】こちらは続編。憲法財政赤字上限を明記した国では何が起きているんでしょうか。