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いまでも0%狙ってますか

日銀でも金融緩和に否定的な、いわゆるタカ派で知られる須田美矢子審議委員が昨日都内で講演を行ったそうです。


(以下引用)−−−−−−−−−−−−−−−−−
デフレ解消に構造問題への切り込み必要=須田日銀審議委員
2010年 12月 1日 21:40 JST
 [東京 1日 ロイター] 日銀の須田美矢子審議委員は、東京大学などで行なった講演で、潜在成長率を低下させている構造問題に切り込まなければ、中長期的な成長期待や予想インフレ率が上昇せず、デフレも解消しないとの見解を示した。

 こうした認識にたって日銀は今年6月に「成長基盤強化を支援するための資金供給」を導入したとし、同資金供給によって新たな需要の創出や生産性の向上につながっていくことに期待感を表明した。10月の東大での講演などをまとめた内容を日銀が1日、ホームページで公表した。

 須田委員は、日本の1990年代以降の潜在成長率の低下について「期待成長率の下振れに伴う設備投資の抑制や将来不安に伴う消費の減少を通じて、潜在成長率の低下を上回る需要の減少を生じさせている」とし、この結果、「持続的なデフレギャップが発生し、これがデフレ圧力として作用している」と分析。さらに、こうした状況が持続することによって「中長期のインフレ予想も低下傾向をたどり、それがデフレ圧力となってフィードバックしている可能性がある」と指摘した。

 これを踏まえ、デフレ解消には「潜在成長率を低下させている構造問題に思い切って手をつけていかなければならない」と強調。こうした認識のもとで、日銀は成長基盤強化支援策を今年6月に導入したとし、効果について、金融機関の貸し出しスタンスの積極化につながっていると述べるとともに、企業からも制度の活用について金融機関に打診が来ていることを紹介した。その上で「こうした取り組みが大きなうねりとなって、新たな需要の創出に資する事業などへの融資・投資の拡大や、生産性の向上につながっていく」ことに期待感を表明した。
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須田委員の考え方は一見脈絡がつながっているようですが、冒頭は「期待成長率の下振れに伴う設備投資の抑制や将来不安に伴う消費の減少」からすべてが生じているかのような書き方になっています。

期待成長率というものは経済学者の頭の中にはあるでしょうが、実体経済の担い手である一般社会の人々の頭の中にはありません。 一種空想の産物とよんでもいいかもしれません。 これに対し、15年以上もの期間、日銀が主導するデフレは、給与・賞与の減少や、失業を通じて一般社会人の経済行動を縛っています。
(そもそも経済学的にみても、期待成長率を算出するには、現在・将来のインフレ率が必要なので、須田氏の発言はもともと論理的に循環してます)

 須田氏は、デフレ脱却も日銀の公式発表よりも時間が延びるとも言っているようですが、日銀は、07年ころのあの資源インフレなどにもかかわらず、年率−1%の”デフレ目標”を13年(97年の消費税上げがなければ15年来)、ぶれもせずに達成しているのに、『「物価の安定」とは、概念的には、計測誤差(バイアス)のない物価指数でみて変化率がゼロ%の状態である。』とする自らの目標さえ変えて、札をすればいいだけ話なのに何を言っているのでしょうか?

 自分のやるべき金融政策立案は放棄し、自己実現的に予測可能な「将来予想」にふけるのであれば、日銀審議委員の資質に問題があると言わざるを得ないのではないでしょうか。

日銀の施策については、包括的緩和により短期的には株価などの上昇のきっかけとはなっていますが、本来目的の一般物価を上げるには、包括的緩和などの姑息な手段よりも、札を刷って政府に直接わたし、そのむこうにいる家計・企業直接回るようにするほうが、日銀の嫌がる資産バブルを発生させずに効果が高いとおもいます。


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