シェイブテイル日記2

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安倍総理の「MMTの論理、実行しているわけではない」は本当か

去る4月4日の参議院決算委員会で、西田昌司委員からMMT(現代金融理論)について問われた安倍首相らは次のように答弁しました。

jp.reuters.com

このロイターの記事では、委員会の席上西田昌司氏がMMTの根幹について平易に解説した部分はカットされていますので、この部分から書き起こしてみます。

www.youtube.com

(ビデオ23分付近)

西田委員 銀行は信用創造で十億でも百億でもお金を創り出せる。借入が増えれば預金も増える。これが現実。どうですか、日銀総裁

黒田総裁 銀行が与信行動をすることで預金が生まれることはご指摘の通りです。

西田委員 最近MMTとよばれる理論がいわれていて、その本質は信用創造により通貨は成り立っているんだと。国債についても同じことがいえます。「これ以上国債を発行したら引受け手がいない」といわれています。「引受け手がいなければ財政破綻してしまう」と。ところがそうではない。政府が国債を発行して事業を行えば国内にお金を出すので政府の借金も増えるが、民間の資産預金も増えるんです。いつまで経っても破綻しないんです。 今黒田総裁がいわれた信用創造と同じことなんです。これまで、預金を集めて(政府は)借金すると思われていたのが、実際は借金するから預金が生まれる。まさに天動説から地動説なんです(会場薄笑い漏れる)。これが理解できないとなぜ日本がこのような事態になっているのかわからない。

 財務省はこのままほっておいたらいずれ金利が騰がる、財政破綻する、いずれ通貨が暴落すると言ってきました。ここ20年来言ってきたが落ちない。まさにオオカミ少年なんです。 なんでこうなったのか。それは自分達(財務省)が使ってきた学説が間違っていたんです。もし通貨が商品だったらそれはそうなるんです。だが実際の通貨は信用創造で出来ている。だから需要さえあればお金は創り出せるんですよ。

 

これに対し…

麻生財務大臣 日本をMMTの実験場にするつもりはない。

黒田総裁 MMTへの評価については体系化された理論ではないためその全容を掴むことはなかなか難しいが、自国通貨はデフォルトしないので債務残高や財政赤字は考慮する必要がないという理解であれば、それは極端な主張でありなかなか受け入れられないのではないかと考えている。

とちょっと頓珍漢な答弁がありまして…

西田委員 今日本をMMTの実験場にするつもりはないという答弁があったが、それは大間違いで、実はもうやっている。過去20年来政府債務がまだ400兆円位の頃から「GDPと変わらないほどの政府債務があったら金利は騰がり、通貨は暴落して大変なことになる」といわれてきた。これは(財務省が)商品貨幣説に立っていたから。ところがいつまで経っても金利も騰がらなければ物価も騰がらない。それを今でも何時か起きるはずだといっている。 私が言っているのは逆で、財政破綻するはずがないと。すでのMMTに基づいた政策を日本はやってしまっているんです。(財務省は)自分たちが学んだ理論に現実を合わせようとするから間違いで、現実をみて理屈が合っていなければ理屈が間違っていると気がつかなければいけない。

安倍総理 確かに2012年にアベノミクスを始めようとしたらマスコミらに「それをやったら金利が騰がり、円が暴落する」といわれた。実際には国債金利は下がった。自国通貨建て国債はデフォルトしないというのは事実だと思う。しかしだからといって債務残高がどれだけ増えても問題はないのだろうか。(場内笑い) 西田氏は純粋な理論としておっしゃっているが、政府としては無駄な支出は戒めていかなければならない。財政再建は進めていきたい。

 

これを視聴すると、西田昌司氏の主張を聴いても、少なくとも安倍総理、麻生財務大臣財務省の商品貨幣説的財政破綻論から目が覚めていないようですね。

ただ西田昌司氏の最後の締めが素晴らしかった。

西田委員 恩師だった西部邁氏が私に度々言ったことがある。「西田君、民主主義とは少数派が議論を通じて多数派になる過程のことを言うんだよ」と。私もこの議論、しっかり進めて多数派を作るようにしていきたいと思います。

 

西田昌司議員。MMTに親和的で積極財政派の我々としては今後共注目ですね。