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菅直人氏、ようやく消費税増税の過ちに気付く

今日、民主党では政権時代を総括する会合で、菅元総理大臣は自らが消費税増税に積極的となったことが党の退潮につながった、との反省を述べています。

NHKニュース 菅氏 「消費税発言で党の退潮へ」 5月11日 20時51分

民主党の菅元総理大臣は政権を担当していた時期を総括する党主催の会合で、3年前の参議院選挙の際に消費税率の引き上げに言及したことが、党の退潮傾向につながったという見方を示しました。

民主党は11日、東京都内で政権を担当していた時期を総括する会合を開き、菅元総理大臣や枝野元官房長官らが出席しました。
この中で菅氏は3年前の参議院選挙の際に消費税率の引き上げに言及したことについて「自民党も消費税率の10%への引き上げを言い始めていたが、私のやり方は本当に多くの仲間を失う結果になり、まずかった」と述べ、党の退潮傾向につながったという見方を示しました。…。
また、枝野氏は「大きな期待を国民に与え、失望させたと思う。準備が十分ではなかった。自民党の10倍ぐらい政策を磨かなければダメだ」と述べました。

消費税増税に反省の弁を述べる菅元首相
NHKテレビ(5月11日)より

菅直人氏の消費税増税への言及前後の経緯を追ってみましょう。

2009年9月、リフレ派勝間和代氏からデフレ脱却の必要性を訴えられ、デフレの害に気がついた菅副総理(当時)により、11月にはデフレ宣言がおこなわれました。 

その9月の菅直人氏への勝間和代氏のプレゼンの時、質疑応答で、こうしたやりとりがありました。
菅担当相「ではデフレ脱却のためには、具体的にどうすればいいのか。」
勝間氏「中央銀行のお金を大量に刷って、それを借金として政府がばらまく。」
菅担当相「簡単に言えば、国債を何十兆か日銀に買い取らせるということか。」
勝間氏「そういうことです。」

勝間氏は今の黒田日銀が実行していることと殆ど同じことを主張しただけだったのですが、日銀国債直接買取は絶対悪と信じていたであろう菅氏の理解を超えたようでした。

それでも、この9月の会合と11月のデフレ宣言により、日銀の無策ぶりがあらわととなったため、あわてた日銀は臨時に金融決定会合を開催し、10兆円の金融緩和策を発表しました。その結果、株価は9000円から10500円まで上昇します。 

 翌2010年1月、藤井裕久財務大臣(当時)が体調を崩し、代わって菅副首相が財務大臣を兼務することになります。マクロ経済には全く造詣がない着任早々の菅直人氏に、野党だった自民党林芳正氏が参院予算委員会で「乗数効果」について質問、乗数効果を知らない菅財務大臣はシドロモドロになってしまいます。

そして、この小さな事件の後、唐突に菅財務大臣は、消費税増税への議論開始を宣言、増税による景気回復という奇説を唱える小野善康阪大教授を内閣府参与に抜擢します。 そして、2010年6月には菅氏は総理大臣に就任、野田氏を財務大臣に任命、2010年7月には消費税増税を掲げ、参議院選に敗退します。

それにも関わらず、2010年11月には与謝野馨氏を、菅内閣社会保障・税一体改革大臣に就任させてしまいます。
2011年3月には東日本大震災が発生、菅首相はこれを人災にしてしまったこともあり、人気は一層低迷、菅おろしの声が与党民主党内からも起こり、野田内閣に交代、野田氏も国民の声を無視して、2012年6月の消費税増税三党合意に向かっていきました。

こうして振り返ってみますと、2010年にマクロ経済を全く知らないまま財務大臣に就任した菅直人氏にとっては、周囲にいる財務省関係者は溺れる者にとっての藁、だったのでしょう。「増税しなければ日本が駄目になる」と洗脳されてしまったようで、財務省の利権拡大策でしかない消費税増税という誤った方向に政権の舵を切ってしまいました。

消費税はデフレ気味の1997年に増税しても税収が増えませんでした。
それにも関わらず、2010年7月には菅内閣参議院選挙で消費税増税を訴え、選挙結果から国民は明確に反対していることを目の当たりにしても民主党の菅氏も続く野田氏も増税路線を止めませんでした。
そして現在の海江田氏も細野氏もいまだに増税固執しているようで、細野氏は社会保障制度や消費税増税を今夏の参議院選挙の争点とすると報じられています。

民主党が消費税増税を訴え今夏の参議院選挙に臨むのなら、安倍政権はアベノミクスの成果とその継続を訴え、消費税増税は少なくともデフレ脱却が明確になるまでは凍結することを明確にして選挙に臨んでほしいところです。