シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

リフレ派はマネタリーベース増減にも注意が必要

 今朝29日の日経新聞では一面で白川・日銀総裁が物価目標を掲げ、政府と連携していく姿勢を示したことが報じられています。

日銀総裁、物価目標「政府と連携」 時期・数値「柔軟に」 2%達成は緩和と成長戦略
2012/12/29 0:07
 日銀の白川方明総裁は日本経済新聞のインタビューに応じ、来年1月に導入を議論する物価目標について「達成には金融緩和と成長力強化の両方が必要だ」と述べ、政府との連携を強める考えを示した。導入には「金融政策の柔軟性確保が重要」とも語り、達成時期・目標値などに一定の幅を持たせたり、金融政策を弾力的に運営したりする考えを示唆した。

 日銀は今月20日の金融政策決定会合で物価目標の検討開始を決め、来年1月の会合で詳細を固めることにしている。これまでは「物価安定のめど」として、物価上昇率が1%を見通せるようになるまで金融緩和を続ける方針を示してきた。(後略)

昨年12月、FRBが2%の物価目標を導入すると、日経平均が反転しました。
 そして今年2月、白川総裁はそれまでの物価目標政策に対して否定的な態度を翻し、事実上の物価目標として「中長期の物価安定のめど」を公表し、狙うところを消費者物価指数の前年比上昇率で「2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面は1%をめどとする」と位置づけました。
 市場は素直にこれを好感し、日経平均は上昇に転じました。
 ところが、株価は3月下旬には早くも息切れし、6月には今年の最安値8238円まで下落しました。

 リフレ派の理論で物価目標によるデフレ脱却の経路のひとつは、日銀が物価目標を設定すれば、デフレ期待がインフレ期待に反転し、まず資産価値が高まり、この効果が実体経済にも波及していく、というものです。 これをみると、物価目標政策導入の効果はごく短期間しか持たないようにも見えます。

 この点を考えるのに参考となる次のようなデータがあります。
 図1は日経平均とマネタリーベースのうちの通貨流通量を示したグラフです。

図1日経平均とマネタリーベースのうち通貨流通量の動き
出所:株価はヤフーファイナンス月次株価終値、マネタリーベースの動きは日銀統計
左軸:株価、右軸:うち貨幣流通量(単位億円)。
黄色い矢印はFRBが2%物価目標を導入した時点、赤い矢印は、日銀が1%の物価安定のめどを導入した時点。

 図1から見ると、株価は市中に流通する貨幣の量に対し、約2ヶ月遅行して動いているようなのです。

図2では日銀が直接コントロールしているマネタリーベースと通貨流通量の関係を示しました。

図2 マネタリーベースと通貨流通量
出所:図1に同じ。
左軸:マネタリーベース残高(単位千億円)、右軸:MBうち貨幣流通量(単位億円)
赤い矢印は、日銀が1%の物価安定のめどを導入した時点。

 市場参加者の少なからぬ人々は日銀の一挙手一投足に注目しながら取引しているでしょう。 ある月のマネタリーベースを日銀が減らしたという情報が1ヶ月遅れて公表されれば、市場参加者は、日銀がインメド政策を打ち出したのとは裏腹に、本気でデフレ脱却させるつもりがないことを嗅ぎとったのではないでしょうか。これにより、流通していた通貨は再び日銀当座預金に退蔵され、同時に日銀の真の意向に沿って、−言わば、日銀MBメッセージ仮説です−株式市場からもマネーが流出したのではないでしょうか。


 日銀は今年2月14日に「1%の物価安定のめど」を導入して以降、デフレ脱却を目指しているはずでした。
ところが、同月にはマネタリーベースを前月から減らしてしまっています。 当時の新聞では震災対応でのマネタリーベース増という要因がなくなったから、という話でした。*1
 ただそうなってくると、デフレ脱却への決意表明である物価安定のめどの発表翌月という要因でマネタリーベースを増やす選択肢は一顧だにしなかったことになります。 
 マネタリーベースの動きからは、日銀が今年2月以降マネタリーベースを減らし始めたのは、日銀が物価安定のめどを導入しても資産にポジティブな効果がないことを証明したかったのではないか、という邪推さえ可能です。

今朝、ネット上ではこんな話が出てきていました。

日銀 白川総裁 ヘベレケになった夜  ネタりか 2012/12/29 7:00
「いやあ、驚きましたよ。あんな姿を見たのは初めてだって、同席した記者が言っていました」――。大手メディアの経済部記者が目を丸くしてこう言った。先週、白川方明総裁(63)と日銀クラブ記者らの懇親会が開かれたのだが、この席で白川総裁、かなり“乱れた”というのである。

「年末の慰労を兼ねてもうけられた席で、このような懇親会が開かれたこと自体オフレコです。それが漏れてきたのは、いつも穏やかな白川総裁が、この日はまるで別人だったというのです。次から次に酒をあおる。しまいには目も据わって、ぐでんぐでん。酩酊に近い状態だったというから、耳を疑いました。相当まいっているのでしょうね」(前出の記者)

 悪酔いの原因は、言うまでもなく安倍首相だ。デフレ政策を続ける日銀に金融緩和を迫る安倍は衆院選後、周囲に「(白川総裁は)早く辞めてくれないかな」と漏らしたという。その安倍を白川総裁は18日に訪ねている。「あいさつに伺っただけ」(白川総裁)と説明したが、実際は、19〜20日の金融政策決定会合で追加緩和とインフレターゲット導入に踏み込むよう、安倍からきつくクギを刺されたというのが真相だ。

「安倍首相はさらに、20日の決定会合の朝にも白川総裁に電話で念を押しています。白川総裁は午後、追加金融緩和10兆円に加え、2%のインフレターゲット導入について、1月の会合で検討するとし、事実上、受け入れることを表明しました。完全に白旗ですが、白川総裁にはさらに屈辱的なことがあった。この日、安倍さんは自民党本部で行われた会合のあいさつで、『けさ、白川日銀総裁から電話をいただいた。決定会合の結果を含めて報告いただいた』と口を滑らせたのです。日銀はメンツ丸つぶれです」(政界事情通)

 安倍は日銀法を改正し、総裁の解任権を握ることも辞さない構えだ。来年4月に任期が切れる白川総裁は、後任に日銀プロパーを考えていたが、もうそれどころではなくなってしまった。

 東大卒の白川総裁にしてみれば「成蹊大の安倍に何がわかるか!」という思いだろう。ヘベレケになるまで酒をガブ飲みしたのも無理はないが、自分の情けなさを酒で紛らわされても困る。抗議の辞任くらいすればいいのに……。

東大出の白川総裁が成蹊大学出の安倍首相に反発して、いつになくグデングデンになった事実があったのかどうかはわかりませんが、もしそうだったとしたら、シェイブテイルはそれは、これまで小細工を積み重ねてきた白川総裁の自業自得だと思いますけれど。