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経済政策としての維新八策の位置づけ

 野田民主党と谷垣自民党の政策が増税に集中されていく中、第三極として大阪維新の会が注目を浴びています。
今日は、大阪維新の会が掲げる維新八策を経済政策という観点からみて、他の政党の政策との異同を考えてみましょう。


まず大阪維新の会の維新八策(改訂版)*1は次のようになっています。

1.統治機構の作り直し
 最終的に道州制を目指す
2.財政・行政改革 
 簡素、効率的な国会制度、政府組織
3.公務員制度改革
 公務員を身分から職業へ
4.教育改革
 自立する国家、自立する地域を担う自立する個人を育てる
5.社会保障制度改革
 社会保障給付費の合理化・効率化
6.経済政策・雇用政策・税制
・実経済政策・金融政策(マクロ経済政策)・社会保障改革・財政再建策のパッケージ
・競争力を重視する自由経済
・民民、官民人材流動化の強化
7.外交・防衛
 日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備
8.憲法改正

これらの中で、経済政策を謳っているのは6.経済政策・雇用政策・税制 ということですが、産業保護や財政拡大はしないことは分かるのですが、具体的にどのような成長戦略を描いているのかは全くわかりません。
高橋洋一氏が大阪市の特別顧問になっていますので、リフレ政策には一定の理解はあるのでしょうけれど、そもそもデフレが日本経済の大きな課題だと捉えているかどうかさえわかりません。

次の表は、この15年ほどの主な政権や政治家などと大阪維新の会の経済政策を比較したものです。表の上ほど増税積極派、下ほどデフレ脱却積極派です。 なお国民の生活が第一は、できたばかりのため、増税反対以外の経済政策は不明です。

表 大阪維新の会が掲げる経済政策の位置づけ
こうして比較してみると、大阪維新の会の政策は
必ずしもデフレ脱却に大いに資するものとはいいがたい

 維新八策の経済政策の細部はまだ良くわからないものの、大阪維新の会の政策は小泉内閣の改革路線と近いということでしょうか。
そうしますと、大阪維新の会の中心政策である改革路線を追求しても、維新八策にはまだ記載のない金融政策を相当規模で実施しない限りは、デフレは悪化することはあっても脱却することはないでしょう。
大阪だけでなく全国区で期待が高い大阪維新の会ですので、マクロ経済がわかるブレーンをもっと集めて、 日本経済復活という観点からデフレ日本でやるべき改革とは何なのかをもっと詰めて、金融財政政策にも積極的であってほしいところです。 *2

*1:「維新八策」改定案の全文

*2:なお維新八策とは関係ないですが、最近藤井聡氏らが主張する、日銀の金融政策とのアコードの下での公共事業、いわゆる列島強靭化論は、80年前の高橋財政とほぼ同様の政策ですから、デフレ脱却には効果が高いと思われますが、これが現在の谷垣自民党で実施された場合には、増税というデフレ悪化策との併用ですので、デフレ脱却効果はそうとう減殺される可能性があります。