シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

消費税の輸出戻し税はダブルスタンダード税制?

【要約】
昨日8日に書いたエントリーと同じく消費税の輸出戻し税についてです。*1
少々わかりにくいこの話を2つのアプローチに切り口を整理して考えてみましたが、どちらから考えてもヘンでした。

昨日取り上げました消費税の輸出戻し税について結局結論は同じになりますが、考え方としては違う2つのアプローチがあります。

1)取引全体を海外販売とみる 
 海外でVAT(付加価値税)を取られるのだから、二重課税にならないよう、関係各社の付加価値(売上−仕入控除額)分を戻入れよう、というものです。ただし戻し入れるのは最終製品を輸出する企業に全額、です。現実に戻し税が最終企業だけになされていることを見ると、これが国税庁の見解でしょう。
 であれば、途中の取引では日本の消費税はナシ(海外売上高分戻入れ)にすべきですが、海外取引に係る下請け企業の海外輸出された製品(部品)にも税務署は消費税を取りに来ますので、矛盾しています。 

2)輸出企業以外の取引は国内取引とみる
 下請け企業からみれば、(また税務署から見ても)下請け企業製品が輸出に使われたかどうか、捕捉できるわけがないのでこちらが実際的な考え方でしょう。
 この場合、下請け企業が消費税を国に納めるのは国内取引だから当然と考えられます。 
 ところがその消費税が、税務署(国)を経て何に使われるか、といえば最終輸出企業に戻し税として全額が払い出されて、国→国民には流れません。というか、「戻し」というが、最終輸出企業は全く払ってないから「戻し」ではありません。
 となれば、下請け企業が国内取引として払った消費税は専ら輸出企業の輸出補助金となってしまっています。 この考え方に則れば、輸出企業に払い戻すべき税額はあくまでも最終輸出企業自身の付加価値に対する部分だけでいいはずなのに、上流の下請け企業の付加価値に対する払い戻しまで受ける権利はないはずです。

以上のアプローチを踏まえ、分かりやすいように極論をいえば、国内の税が全て消費税で、輸出企業の輸出比率が100%であれば、下請け企業が税務署にどれだけ消費税を支払ってもその全額が輸出企業に支払われ(払い戻しではなく)、国に残る歳入は0となるでしょう。
 それであっても、消費税増税賛成、その代わり(?)法人税減税要求する経団連の方たちや、国税庁・一部学者などから聞こえる「海外でVATなどを払うんだから仕方がない」という見解は果たして正しいのでしょうか?

wikipediaにもこうあります。*2

消費税の輸出戻し税Wikipedia
日本の消費税には、日本企業の海外への商品輸出に際してその生産にかかった消費税額を還付する制度があり、税務署から輸出企業にまとめて還付され、輸出品製造にかかる下請企業には還付しない。
それは、輸出品製造にかかる下請企業が最終完成商品輸出企業に対して消費税を商品売上価格(輸出企業から見たら仕入価格)に負担税額を上乗せして輸出企業に負担が転嫁出来ているという前提の下で考えられた制度であり、その前提が実際に行われていなければこの輸出戻し税制度の下請企業と輸出企業との間の税負担の公平性は成り立たない。
実際には、この下請いじめが利用されることでこの税負担の公平性は崩れており、輸出企業は価格決定力の大きい大企業で、下請企業は価格引下げの圧力を受ける中小企業の関係にあることが殆んどであり、その力関係で下請中小企業は消費税を転嫁できないケースが殆んどで、売上価格に消費税額を転嫁出来ないに等しいため、輸出大企業はその仕入価格が消費税で上乗せされた税額負担を受けていないにもかかわらず戻し税を受け取っているという構図がある。そこから、実態は輸出がメインの大企業に対する「輸出助成(補助)金」と同じであり、消費税の税率アップを経団連などが主張するのもうなずける。という見方がある。

デフレの国日本で、自社商品につけた値段に対し消費税が5%だから、といってきちんと105%の価格で買ってくれるバイヤーが何社あるんでしょう。
国際競争の中で考えても、消費税が5%から10%にあがったからって、最終製品を5%上げているようでは他国企業に市場を取られることは民間では常識です。 消費税法とはこうした非常識な前提にしか立脚していない法律です。 こうした点を国会で指摘された際には、国税庁担当者は、「消費税は消費者から預かるものだから、預からない業者が悪い」と答えます。

 このように消費税というから消費者が払う義務があるかといえば、実際の納税義務は(消費税分払ってもらえたかどうかによらず)事業者にあったり、中間業者の支払った消費税を最終輸出者が吸い上げる過程を「戻し」と表現したり、印象操作(?)が多い消費税問題ですが、消費税のことをある程度知った人たちの間で、これだけ輸出戻し税問題がこんがらがるのは、上記の2つの考え方が、最終輸出者にはアプローチ1(有利)を、中間業者にはアプローチ2(不利)を、と国税庁が使い分けるからわけがわからないんだろうと思います。 
輸出戻し税問題は、「消費税法に潜むダブルスタンダード問題」とでも呼べばいいのでしょうか?  輸出企業以外の国民はもっと怒るべきではないでしょうか。

輸出戻し税の本来と実際
国内下請けメーカーの製造した部品に対する消費税は全額輸出企業に還付するのではなく、
税目的に照らせば、国が国民のために使うべきでは?

【関連記事】
消費税の輸出戻し税

*1:消費税の輸出戻し税(解説)

*2:Wikipediaでは「下請けいじめ」として消費税の輸出戻し税が記載されていますが、自動車のようにコモディティ商品の海外輸出を考えると、国内消費税アップを最終製品に価格転嫁できないのは下請けいじめというよりも単に市場競争によるものが大きいと筆者は思います。