日本国の正体 -官僚主権が維持されるメカニズム-
【要約】 筆者は以前から日本の政治家はなぜ唯々諾々と霞が関官僚や日銀当局の言うなりの政治を行ない、マスコミはなぜ官僚の言うなりの情報をまるで自分の考えたことかのように情報発信するのか不思議に思っていました。その答えを事実に基づき書かれた本がありましたので、ご紹介します。
日本国の正体 政治家・官僚・メディア――本当の権力者は誰か (現代プレミアブック)
- 作者: 長谷川幸洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 単行本
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政治家、官僚、マスコミにはそれぞれやりたいことと特性があります。それらを「日本国の正体」に沿って一覧表にして見ました。
この表を眺めると、別段官僚が独裁者としての権力を直接掌握しているわけではないのに、政治家が立法能力が低かったり、マスコミが情報収集能力が低いにもかかわらずチャンスがあれば政権批判をしたい特性があると、結果的に官僚独裁が成立するメカニズムが浮かび上がります。
官僚は、好ましい政治家に対しては、自ら書いた法案を渡し黒子に徹し、好ましくない政治家にはまず膨大な情報量を背景とした「ご説明」で意見を変えさせようとし、それでも意見を変えなければ、マスコミリークによって法案や政治家そのものを潰す。*1
またマスコミに対しては、「記者クラブ」で情報を一元配布すると見せかける一方で、特ダネ情報として特定の記者に法案・政治家を潰す情報をリークする。
一方のマスコミは、記者クラブ情報が取れなくなることを恐れ、官僚が嫌がる記事は書かなくなり、美味しいネタを貰うために官僚のポチと化していく。
その他、学者や財界もマスコミと同様に餌で釣りムチをチラつかせて意のままに動かし、国民は政治家・マスコミ・学者(審議会などでの権威付け)・財界を介して間接支配する。
こんなところでしょうか。
著書によればこの文脈の中で、中川昭一氏の飲酒会見事件、高橋洋一氏の腕時計窃盗事件*2、小沢一郎氏の秘書らの陸山会事件なども理解できるかも知れないというのですから、呆れてものが言えません。
「日本国の正体」。 私たちが誰に支配されているのかを知るためには是非読むべき本でしょう。
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