シェイブテイル日記2

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G7で安倍首相がピエロにならないためには

今日から明日までの日程でG7 伊勢志摩サミットが開催されています。

安倍首相はその地ならしとして、G7諸国が一致して財政出動するように求め、各国を回りましたが、調整としては不調に終わったようです。

それも当然で、カナダのようにすでに積極財政に転じて成果が出始めている国もあれば、英国・ドイツのように緊縮財政政権の国々もあり、一致して積極財政、となるはずもありません。

安倍首相自身、第2次安倍内閣をスタートし、「3本の矢」を発表した2013年こそ多少の財政出動をしたものの、2014年には消費税増税、昨年も緊縮と、金融政策頼みの経済運営が目立ちました。

その後、家計消費がマイナスなど経済減速がはっきりした昨年9月に、「新3本の矢」を打ち出し、2020年に名目GDP600兆円を打ち出したところは目を引きましたが、後は小粒な目標だけで、肝心の達成手段は何も公表されませんでした。

では、2020年、つまりあと3,4年で名目GDP600兆円を達成するにはどうすれば良いのでしょうか。

現在の名目GDPはちょうど500兆円ですから、今年以降、毎年4%成長を達成する必要があります。
一見非現実的な目標のようですが、そうとも言えません。

図は、安倍政権発足後の3年間での、先進国での政府支出の伸び率と名目GDPの伸び率の相関図です。

図 政府支出-名目GDP伸び率
出所 IMF 期間2013−2015年 データから筆者作図

図の左側、政府支出の伸びを抑制している国々は財政破綻が現実視されているギリシャキプロスなど欧州諸国です。  図の右側は財政破綻したものの、借金棒引きを叶えられたアイスランドなどで、世界一海外にカネを貸している日本は、財政破綻が現実のギリシャキプロスに近い緊縮を実施し、名目GDPの伸びも低い、という形になっています。

この相関関係はなかなか堅固で、幾通りかの国々、期間を選択しても同様の関係があります。
ですから、現在開催中のサミットで、安倍首相が年率4%程度の拡張財政を宣言すれば、おそらく予定通りに2020年頃には名目GDPが600兆円で世界も羨む状況となっているでしょう。

ただ、「アベノミクスを成功させる会」会長の山本幸三議員が最近首相に進言したように、わずかな財政出動とともに2%消費税増税をすれば、これが恒久的な負の財政出動ですから2020年に500兆円のGDP維持さえ困難で、はっきりとしたデフレに逆戻りしていることでしょう。

安倍首相が拡張財政を訴えて回ったことは大変結構なことでした。 ただ財政政策は各国の政府債務が裏付けで実施可能なものですから、日本は日本独自の大型財政政策、もしくは消費税大幅減税・廃止を打ち出せばいい話です。

もしも、折角招聘したスティグリッツクルーグマン両氏らの示唆も無視して、山本幸三の進言通りにすれば、世界から失笑を買うだけでなく、日本はさらなる失われた数十年を強いられることになるのではないでしょうか。