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安倍首相も靖国問題では李下に冠を正さないほうがよい

安倍首相が今日の参議院予算委員会靖国問題について次のように語っています。

首相 新たな追悼施設は「間違いだ」 NHK 5月14日 18時39

安倍総理大臣は、参議院予算委員会で、閣僚の靖国神社参拝に対する中国や韓国の反発は「誤解に基づくものが多い」としたうえで、戦没者に対する新たな追悼施設の設置について、「参拝が問題になっているから別のものを造ろうというのは間違いだ」と述べ、否定的な考えを示しました。

この中で安倍総理大臣は、閣僚の靖国神社参拝に対する中国や韓国の反発について、「誤解に基づくものが多い。靖国神社を参拝すれば、軍国主義の象徴ではなく、英霊の慰霊の場であることが分かる」と述べました。
そのうえで安倍総理大臣は、平成14年に当時の福田官房長官の私的懇談会が、戦没者らを追悼する、宗教性のない国立の施設の設置を検討すべきだという報告書をまとめたことに関連して、「靖国神社が慰霊の中心的な施設であるのは、遺族が靖国神社に行けば、魂が触れ合うことができると思うからだ。国が施設を造っても、そう感じなければ誰も行かない。参拝が問題になっているから別のものを造ろうというのは間違いだ」と述べ、設置に否定的な考えを示しました。
また、安倍総理大臣は、いわゆる従軍慰安婦の問題について、「慰安婦の方々が筆舌に尽くしがたい思いをされたことには心から同情する。政府の謝罪と反省を示した平成5年の河野官房長官談話は、今、菅官房長官の下で検討している。いずれにしても、歴史認識は、政治・外交問題にすべきではない」と述べました。

戦没者を宗教性のない国立施設に移す、という案は、安倍首相も指摘するように、鎮魂という宗教的色彩の濃い行為にはなじまないように思います。 

ではどうすればいいか、といえば、筆者は米国の戦没者を慰霊するアーリントン墓地のように、無宗教ではなく、特定の宗教には偏らない無宗派で、埋没者が信ずるすべての宗教を受け入れる新たな宗教施設を作るべきだと思います。

アーリントン墓地のHPでみると、キリスト教系の各宗派はもとより、いわゆる仏教(2)の他にも、金光教(19)、天理教(22)、生長の家(23)、出雲大社教(34)、創価学会(35)など、日本の新興宗教なども幅広く受け入れているようです(番号は、アーリントン墓地のHP掲示されている宗教の番号)。

無宗教ではない、無宗派の宗教施設への移設にも反対する方々はいるようで、その方たちの言い分は、「日本の神道とは、過去に仏教との神仏習合があったように、宗派の対立を生じさせないものであり、経典を定めて縛りを掛けているわけでもない[23]。よってあらゆる宗教、宗派の参拝を是とする」というものだそうです。

 ただ、靖国神社という宗教施設は、初めは主に鎮魂を目的としましたが、やがて慰霊、さらに顕彰へと展開しました。つまり靖国神社は国民統合の精神的中核であり、戦死者を「英霊」として祀っていたという事実があり、「神道八百万の神を祀るので特定の宗教色はない」という説明は受け入れにくく、第三者からみれば国家神道の象徴でしかないように思います。

安倍首相は、靖国神社を特定の宗教色はないものとの前提で、報道されるような意見を述べたとは思いますが、「李下に冠を正さず」という言葉もあるように、悪気は無くとも、周囲の人や国々からも誤解を受けない政策という考え方も必要なのではないでしょうか。



アーリントン墓地のHPから
アーリントン墓地では例えば日本の新興宗教金光教をも
受け入れていることを記載している。