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安倍内閣と各党の距離を数値化してみた

最近の安倍内閣は、25−27日にかけて日経新聞テレビ東京が実施した世論調査では支持率68%と、発足当初より支持率が上がっているようです。 対する野党は衆議院選挙以前ほどにはマスコミに取り上げられることが少なくなってます。
 とはいえ、7月に予定されている参議院選挙では、安倍内閣を更に信認するのか、他党にも議席をもたせるのかで、その後の日本の進路が大きく変わっていく可能性があります。 各党がどのような考え方の政党であるのかを再検証することも必要でしょう。

 先日、朝日新聞に、「有権者の期待、議員と距離」という記事に、朝日新聞と東大谷口研究室による2012年12月の衆院選前後に行った共同調査の結果が載っていました。記事の主旨としては、投票者と、衆議院議員選挙当選者(回答率95%)に調査したところ、投票した支持者と投票された国会議員が必ずしも同じ意見をもっていず、両者の意識には距離がある、ということでしたが、各党の国会議員の考え方が定量化されていましたので、これを各党別に、政策ごとに完全賛成(+10)から完全反対(−10)の間でスケール化してみました(表1)。


表1 安倍内閣の指向する政策と各党議員の距離
出所:朝日新聞デジタル記事、「有権者の期待、議員と距離」から筆者作表。
調査方法は脚注記載*1。 
表は、調査対象議員が完全に賛成を+10,完全に反対を−10として表示。
政策の順番は、報道などにより安倍内閣が重視していると考えられる政策から
上から順に並べた。 スケールカラーは赤が賛成、薄緑色が中立、青が反対。

 この表は、上から安倍内閣が比較的重視している政策からそうでない政策の順に並べましたので、安倍政権に近い考え方の政党は、上が赤っぽく、下が青っぽくなるはずです。

 分かりやすいところでは右端の社民・共産は相も変わらず、反自民党の方針のようですね。
 面白いことに、安倍内閣が重視している、インフレ目標政策や、積極財政政策は、お膝下の自民党でも賛否が分かれています。考えてみればそれも当然で、安倍内閣の前の谷垣総裁はこれらの政策には否定的な立場でしたので、党内にも谷垣氏に賛成する立場の議員も少なくないのでしょう。
 経済政策で近いのがみんなの党であることも見て取れます。とはいえ、財政政策にはみんなの党は否定的ですから、どちらかと言えば、第二次安倍内閣ではなく、渡辺党首が居た第一次安倍内閣に近い政党と言えるでしょう。 
 維新の会は、この表でみると、道州制などではみんなの党と近いともいえますが、右傾化した谷垣自民のような政策とも言えそうで、よくわからない政党です。ただ、維新の会はしょっちゅう政策を変えてきていて、何がある時点での維新八策だったのかをきちんと言える人は代表を含めた維新の会の中にも誰もいないかも知れません。
 公明党が、谷垣自民や民主党に比較的近いのも面白い傾向です。このまま与党連立を組み続けるのかは、夏の参議院選挙結果次第でしょう。もし安倍自民が大勝すれば、連立相手の公明党の意向によらず、景気を悪化させることがはっきりしている消費税を安倍政権が凍結する可能性も透けて見えます。
 それにしても、民主党は何の特徴もありません。それが民主党の特徴とも言えます。 右から左までの寄せ集め選挙互助会と揶揄される政党の姿が見えます。 夏の参議院選挙では興石氏の思惑とは異なり、民主党議席は単なる草刈り場となりそうな気がします。

*1:調査方法:衆院議員への調査は11月の衆院解散以降、立候補予定者にアンケートを行い、回答者から当選者分を抽出した。新議員480人のうち、回答を寄せた人は454人(95%)。いずれの調査でも、政党名は調査時点のものを使用している。担当したのは、東京大学大学院法学政治学研究科谷口研究室の梅田道生、孫斉庸、三輪洋文の各氏ら。