シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

目からウロコ、ヘリマネ政策が最善手である理由

さて、昨日のエントリーでは、財政再建派の主張である、増税歳出削減はどちらも企業・家計からマネーを奪い、しかも現在のデフレ状況での増税は、借金返済という目的すら達成できないことを指摘しました。

昨日も示したように、国家財政は、最も簡単に図示すれば、次の図のようになっています。
 
図1 最も単純化した国家財政
企業・家計からの税収、借金(国債)以外にも日銀も国家財政の財源となり得る。

この図に書かれていながら、昨日の財政再建派の議論からはすっぽり欠落しているのが「4.日銀」です。日銀は政府の銀行として日々政府の出納業務に関わっています。
政府に代わって国債市中銀行に対して売買しているのも日銀です。また毎年国債を政府から一定規模では直接引き受けてもいます。 *1

1)成長分野への投資などの効果、(2)増税による国債消却策 については昨日書きましたので、その続きを検討しましょう。

(3)国債買いオペと量的緩和 
「4.日銀」に「3.市中銀行」にある政府債務を買い取ってもらえばどうなるでしょうか。これ自身は国債の買いオペですから、日常的に日銀の業務としてやっていることです。
これに対し、日銀が市中銀行から国債を買いっぱなしにしている状態がいわゆる量的金融緩和です。最近では、これも最近は常態化しています。ただ、その量的緩和の間にデフレを脱却して民間からの税収が増えないことには、いずれ量的緩和策が終わりを迎えた時、国債売りオペにより元の黙阿弥となってしまいます。

 またデフレでは国内の投資先が限定されることもあり、市中金融機関にあふれたマネーが海外の商品や土地などに回り、これらのバブルを引き起こす恐れもあり、量的緩和により、デフレを短期に脱却して、増大した税収で国債を消却していくというルートが最善かどうかには疑問が残るところです。

(4)国債日銀引受け+財政政策
国債を減らす議論で、政府が更に国債を発行するというと違和感があるかもしれません。 しかしその国債を日銀に直接引き受けさせると政府にマネーの余剰が生まれます。 このマネーを「3.市中銀行」に対する債務の消却に回せば(3)の量的緩和と全く同じ状態に戻ってしまいます。 日銀に国債を引き受けさせても、そこで得たマネーを市中銀行に渡す分には特に実害もないことは実証済みなわけです。(こう考えると、量的緩和はOKだが、ヘリマネはNGという方は、デフレでカネ余りの金融機関にマネーを流すのはOKで、マネーのない企業・家計にマネーを流すとNGだという不思議な考え方をしていることになりますね。)
 さて、このマネーを「3.市中銀行」にではなく、「2.企業・家計」に渡すとします。 すると、ここまでの議論で初めて新たに生まれたマネーを、マネー不足の企業・家計に回すことができます。 
 これはヘリコプターでマネーを撒いている状態に近いのでヘリコプターマネー政策と言われます。 ただ、このヘリマネ政策は経済学者には余り評判が良いとは言えません。例えば
◯ヘリマネ政策は劇薬である。 これはヘリマネによりインフレになってしまうことを言い換えていることが殆どです。デフレ日本でインフレ転換して誰が困るのでしょうか。*2
◯ヘリマネしても効果がない。 折角ヘリマネ政策を行なっても効果がないのではしょうがありません。 ただ、ヘリマネ政策無効論を唱える学者さんの言い分を聴いてみますと、例えばヘリマネ政策にもリフレ政策にも批判的な東大の岩本康志先生の主張*3では、「一旦日銀に国債を買い取らせてヘリマネ政策をやっても、その国債も償還時には日銀にマネーを吸い上げられるので、行ってこいで無意味」というものです。 これは経済学者には人気のある考え方のようで、反リフレ派経済学者は、実際のヘリマネ政策実施例かつ成功例である高橋財政によるデフレ脱却も、「日銀に引き受けさせた国債も最終的に9割方は市中で売却されているので、市中売却する位なら、日銀引き受けという劇薬に手を出す意味がなかったということ。」とバッサリやられています。 
 ここで、ヘリマネ政策に関する岩本先生らの重大な見落とし言いますと、日銀による直接引き受け+財政政策でのみ、民間のマネーが直接増大し、早期にデフレ脱却ができ、景気が回復し、税収も回復する、ということです。*4 民間にマネーが増えても経済が活性化しないはずがないことは、反ヘリマネ・反リフレ経済学者の方々も否定はされないでしょう。
 図1から簡単に分かる通り、デフレ日本では、誰かから誰かへの所得移転ではなく民間にマネーを純増させる策がヘリマネ政策しかないのであれば、ヘリマネよりも効果的にデフレを脱却し、好景気を呼び、税収を増やす策は他にないのではないでしょうか。

最後にこの記事を読んで反論をして欲しい人のリストを上げておきましょう。
勿論、たまたまシェイブテイルが偶然目にした、というだけの方々ですが。
通貨発行益 - 岩本康志のブログ - Yahoo!ブログ岩本康志氏
BNPパリバ証券. 村上龍氏 増税の前にデフレ脱却や経済成長が先と言うならば、経済成長3-4%を果たす確実な政策を述べよ
リフレ派を批判した山崎元氏(2006年時点)

これらどの論客のどの御説も、最も単純化した図1で見ると論理のジャンプやら、思い込みやらを色々と感じます。

*1:毎年11兆円の国債が日銀に直接引き受けされていることを財務大臣は知らなかった 参照。

*2:勿論日銀が無限に国債を直接引受すれば、マネーが民間に溢れかえりインフレの害があることは誰も否定しません。

*3:岩本先生のブログエントリー通貨発行益より

*4:高橋財政では、ヘリマネ政策を始めた翌年にはデフレ脱却しています。つまり、翌年には経済好転により、日銀に国債を持ったまま放っておく理由が失われていた、ということです。