(減価する)地域通貨参考パンフレット(無料版)
地域通貨に関心がある地方自治体やNPO団体は数多くあります。
その中のひとつ、「地域通貨おうみ」というNPO団体がありまして、そのウェブサイト内によくまとまった地域通貨参考文献がアップされています。
ダウンロードしたPDFファイルはこちら「地域通貨とNPOの攻略本」kouryakuhon.pdf
この文献で興味深いのは、p9につぎのような記述があることです。
「1929 年には、ドイツのシュヴァーネンキルヘンでヴェーラという地域通貨が発行された。
ヴェーラは、炭鉱労働者に対する労働の対価として炭鉱のオーナーが
発行した。また1932年に始まったオーストリア・ヴェルグルのヴェ
ルグル労働証明書は、町が発行して公務員などの給与の半分が支払われ
た。ヴェルグル労働証明書は1ヶ月毎にスタンプを貼らなければならな
い紙幣で、負の利子が付いた貨幣で
あるといえる。この取り組みによって、厳しい不況にもかかわらず失業
率が30%から10%へと減少し完全雇用の状態にまで至ったとされている。
これらが、その他ヨーロッパ諸国に展開し、各地に地域通貨が拡がる契
機になったと言われている。
しかしヴェルグル労働証明書が流通・循環し続けることにより、中央
銀行のコントロールがきかなくなり国民通貨のインフレを招くことを危
惧した政府が1933年に禁止措置を出し、発行と流通は終了した。
この参考文献を書いたNPOには山口洋典さんという社会学者が加わっておられて、おそらく文献編纂の中心的存在だったのかと思われます。
ただ、デフレ脱却と減価する通貨との関係がそれほど明確には仮説化されずに史実を追われたようで、その点が惜しまれる著書といえそうです。
筆者(シェイブテイル)としては大変参考になりました。 ありがとうございます。
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