シェイブテイル日記2

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包括的金融緩和の何がどう意味があるか

実質金利上昇の意味するところ からのつづき)

さて、ようやく今回の日銀の打ち出した包括的金融緩和策の意義についてお話できるところまできました。
今回の包括的金融緩和策ではREITETFなどの実物資産の購入を意図した基金を創設することが謳われています。
この部分を前回から説明に使ってるカルデラ火山に例えて描けば図5のようになります。
今度の日銀政策
図5 今回の包括的金融緩和策
え? 前回の図4と何が違うんだ、ってですか?
ほとんど一緒に見えますが、金融部門(カルデラ湖上空)にだけ雨を降らすのではなく、実物資産を買い上げることで、非金融部門にわずかながら雨を降らそうとしている点が異なっています。
金融部門には前からジャブジャブカネが余っており、しょうがないから国債を買って結果的に長期金利が下がったり、海外に投資したりしていますが、肝心の国内非金融部門には実質金利の高い壁に阻まれ、全くと言っていいほど日銀の「量的緩和」の資金は回っていなかったのです。 
 金額からみれば最大0.5兆円と、日本の経済規模(GDP500兆円)の1/1000という雀の涙どころかノミの涙ほどの金額ですが、これまでの量的緩和とこの部分だけは質的に異なっています。

 正直な話をすれば、もともと国内でカネがないことで苦しんでいるのは、家計・(一部大企業を除く)企業・政府といういわゆる非金融部門なのですから、図6のようにこれらの部門に直接雨を降らせることが正攻法ですし、既に見たように高橋是清も 日銀⇒政府⇒家計・企業というルートで非金融部門にカネを回して昭和恐慌デフレを脱出しています。
デフレ脱出
図6 デフレ脱出には日銀が非金融部門に直接カネを出すこと

日本のデフレギャップは数十兆円から百兆円超といいますから、日銀が非金融部門に百兆円カネを撒けば、デフレはようやく脱出、ということになるでしょう。
金額からみれば、0.5兆円対百兆円と、必要な金額に2−3桁不足していますが、初めて方向性だけは正しい方に動いたと言えるのではないでしょうか。 

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