シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

デフレの正体は人口減少か

少し前ですが、藻谷浩介さんという方から、「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く」 (角川oneテーマ21) というが出されました。 
 「GDP絶対額の変化を左右するのは人口動態、つまり生産年齢人口の減少と高齢者人口の増加。端的に言えば、消費をリードする若い世代がお金を持たず、多くの金融資産は消費意欲の低い高齢者が持つ。その結果内需は低迷し経済も停滞する」、といった主旨です。 
 データを多用し、部分部分はなるほど…、と思いつつ読みました。 しかし、グローバルにみて、日本だけの突出した現象であるデフレを説明するのに、ほんとに人口動態が「デフレの正体」と言えるほどの関わりがあるのか疑問に思いました。

そこで、まず、国連の人口データベースで、日本と、同じように老人国とされるイタリアの人口ピラミッドを描いてみました

日本人口ピラミッド
イタリア人口ピラミッド

何回か指摘しているように、現在デフレは日本特有です。
イタリアは先進国でも高めのインフレ率を維持しています。[
日本同様少子化・高齢化が進展しているイタリアではインフレという点、藻谷氏著書では触れていません。

そこで、1980年から2010年の間について、この人口ピラミッドから抽出できる15-64歳の人口と総人口の比率を、「労働人口比率」とし、これと物価(GDPデフレータ)との相関関係をプロットしてみました。赤線が日本、オレンジがイタリアです。 そしてGDP基準年の’95年の場所を示しています。2010年はそれぞれ矢印で示しています。 横軸はGDPデフレータ(’95年=100)で、縦軸が労働人口比率です。

日伊労働人口比率

日本だけに注目すると、確かに労働人口減少が始まった、’95年を境にデフレが始まったように見えます。
ところが、イタリアでも’90年をピークとして緩やかに労働人口の減少は起こっているのです。
それにもかかわらず、日本はデフレ(グラフが左に向かって退行する)、イタリアはマイルドインフレです。
このグラフからだけでは、デフレに労働人口減少が全く関わっていない、とは断言できませんが、イタリアなど西欧の現状を見ると少なくともデフレの主因が少子・高齢化や労働人口減少というのはかなり疑問に思います。

なお、高齢化と物価の関係(1980-2010)を見ても、相関はみられません。単に日本のデフレが際立っているだけです。
(下図: 上の図とは縦軸横軸の関係が逆で見づらく、スミマセン)
高齢化とGDPデフレータ
 
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