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もしインフレにならないなら徴税は不要

前回のエントリー 国債は家計の預金量とは無関係に発行可能 - シェイブテイル日記 国債は家計の預金量とは無関係に発行可能 - シェイブテイル日記 にlineさまからコメントをいただきました。

line  2015/09/19 13:34
(シェイブテイル)>「かなり以前から、財政学者やマスコミから「政府債務残高が家計資産を越した段階で、金利は急騰、財政は破綻する。だから消費税を30%上げる必要がある。」といった論法で、政府の財政破綻を煽る声が聞こえてきましたが、何年経っても長期金利のトレンドはさがる一方で、財政破綻の兆候はみられず、家計資産は増える一方です。 これは一体どういうことなのでしょうか。」

(lineさま1)この理由は明らかで、引用論者は日銀が国債を多量に買うことは無いという仮定のもとで議論しています。一方、日銀が国債を引き受けることに<問題がなければ>、政府は無制限に国債を発行できるでしょう。相違点はここにあるわけで。

(lineさま2)政府は国債発行を増やし公共事業等を推進すれば家計資産は増えるでしょう。国立大学授業料も無料にし、先日のギリシャのように公共交通機関も携帯電話も無料にして政府の国債で払ってもらえればと思います。その国債日本銀行が買い上げてくれます。税金も今の半分くらいにして足りない部分は国債で賄ってもらえれば良いでしょう。日銀が買い上げてくれます。国民の人気をとるならすべて無税でも良いかもしれません。国の運営はすべて国債でまかなえば良いのです。日銀が買い上げてくれますから。

今日はこの論点から考えてみましょう。

まず最初の、「日銀が異次元緩和で国債を無限に買おうとしている今だから、金利も上がらず家計資産は増える一方」説について。


図1 各主体別の純資産と純負債推移
出所:日銀資金循環統計
負債を有する主な主体、企業、一般政府、海外については
負債を反転させて表示

図1で分かる通り、日本の家計純資産は企業と一般政府と海外など残りの主体全ての純債務とバランスして増えてきました。
これは、日銀が量的緩和を始めた2001年以後に始まったことではなく、それ以前からずっと各主体の純資産と純負債は均衡しつつ拡大トレンドを辿ってきています。 まず政府が債務をつくり、それに対応した資産が民間に生まれるという状
況が続いていたわけで、量的緩和と何らかの関係を考える根拠はデータからもうかがえません。

ふたつ目の論点、「国債で歳出がまかなえるなら税は不要では」説。
これについては半分肯定します。 それはインフレにならない範囲であれば、ご指摘の通り、税収に頼る必要はないでしょう。

一旦政府預金になってしまえば、それが国債として日銀当座預金由来であったのか、あるいは税収として日銀当座預金由来であったのかは区別のつきようがありませんので。

ただし、当然ながら、徴税を止め、国債発行だけに頼って歳出を賄えば、短期間で高インフレに陥るでしょう。

もし、黒田総裁が本気でデフレ脱却したいのなら、lineさまのご指摘どおり、徴税を一時停止して国債で政府支出を賄うように政府に進言すれば良いかと思います。

逆に、インフレにしないために徴税する。 
黒田総裁がシャカリキになって異次元緩和を続けてもいつまでたってもインフレ率2%が視野に入ってこない、今の消費税増税アベノミクス後半部分と正にダブっていますね。