シェイブテイル日記2

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デフレ脱却と緊縮財政の二兎は追えるのか

安倍首相は昨日のテレビで、10% への消費税増税を予定通り進めるとしました。

 安倍晋三首相は4日、大阪を訪れて読売テレビ番組に出演し、法人実効税率の数年内の20%台への引き下げについて「約束通り下げていきたい」と述べた。政府・与党は昨年、2015年に32.11%、16年度は少なくとも31.33%に下げると決めている。

 消費税率を17年4月に8%から10%に引き上げる方針も「予定通りに行う。リーマン・ショックのようなことが起これば別だが、今の状況なら冬のボーナスも来年の給料も上がっていく」と指摘。「消費が伸びるよう様々な政策を打っていきたい」とも述べた。

首相、法人税「約束通り下げていきたい」 消費増税も「予定通りに」 日経2015/9/4


安倍首相は6月に発表した骨太方針2015に沿い、経済成長と財政再建の二兎を追い、消費税再増税を選択したのでしょう。
麻生財務大臣は食料品の軽減税率について発表し、消費税10%体制が固まりつつあるようです。

また消費税増税法人税減税の歩調を合わせることで、創設以来の消費税増税分がほぼすべて法人税減収分として消えてしまったことは、安倍首相や麻生財務大臣の念頭にはないようです。*1
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ところで政府支出と物価とはどう関連しているのでしょう。
図1は先進34カ国の政府支出伸び率と物価(GDPデフレーター)の関係を示しています。


図1 政府支出伸び率と物価の相関
出所:IMF  2000年から14年までの平均値(%)。物価はGDPデフレーター
赤丸=日本、黄色=スイス

このグラフからまず言えることは、財政健全性指標が悪化したこの十数年、日本は他国より放漫財政をいたのではなく、緊縮財政の結果今があるということ。

日本やスイスは目的こそ違え、名目GDPの6割近いマネタリーベースを積み上げる金融緩和を実施しています。 それにもかかわらず、物価の上昇はあまりみられていません。
その一方で、このグラフが示すように、政府支出の伸び率と物価には高い正の相関性があります。

元々諸外国より低かった政府支出の伸びを安倍首相が10%消費税増税などの緊縮策で更に抑制するならば、アベノミクスで近づきかけたデフレ脱却が遠のく可能性が否定できません。

8%増税時にはその前の民主党・野田政権の負の遺産を引き継いだという面もありましたが、今回の10%への増税は安倍政権自身が主導しています。

数年前にはデフレからの脱却を最優先事項としていた安倍首相でしたが、今や平成デフレを酷くした首相として後世に記憶される可能性も出てきたのではないでしょうか。