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IMF 異次元緩和の限界を示唆

今日の日経夕刊には、IMF研究者の見解として、日銀の異次元緩和が2017、18年にも限界が訪れるという予測が載っています。

日銀の異次元緩和に対する問題点が指摘され始めた。

 国際通貨基金IMF)は3日発表した個人名義の論文で異次元緩和の技術的な限界を指摘。「現状の国債買い入れは2017〜18年に限界が来る」との見方を示した。日銀による大量の国債買い入れによって市場のゆがみが増し、日銀内でも異次元緩和の副作用を巡って不協和音が生じている。異次元緩和の導入から2年余り。金融政策運営の先行きにも不透明感が漂いつつある。

 IMFの論文は緩和効果の1つである「ポートフォリオ・リバランス効果」に焦点を絞り、投資家の資産構成の変化を通して異次元緩和を分析している。銀行の担保需要や保険会社のALM(資産・負債の総合管理)上の制約、年金基金の資産構成などを考えると、17〜18年には日銀が国債の購入額を減らす必要に迫られる可能性があると指摘。そのうえで短期国債を売って長期国債を買う「ツイスト・オペレーション」や地方債の買い入れなど、追加緩和の代替手段があるとの見方も示した。

   日経新聞 2015年8月6日夕刊 IMF、異次元緩和の限界示唆

 日本国債等の発行残高は2015年3月末現在で1,038兆円です。
異次元緩和の結果、現在275兆円を日銀が保有し、主体別では最大の保有者となっています。(図1)


出所:日銀資金循環統計(2015年3月時点)

以前、日銀が異次元緩和を継続していけば、2030年には発行高全てを買い切ってしまい、日本の財政問題は解決してしまう、という半分冗談記事を書きました。

政府債務問題は2030年に消失する? - シェイブテイル日記 政府債務問題は2030年に消失する? - シェイブテイル日記

半分冗談というのは、日銀が国債を買えば買うほど政府の利払費負担が軽減できる反面、まさにIMF研究者が指摘したように、国債は単なる借金というよりも、金融が円滑に回る上で重要なニーズがあるため、日銀が全て買い入れる前に買い入れの限界が訪れるということでした。

ただ、シェイブテイルとしても、あとわずか2,3年で異次元緩和の限界が訪れるという予測は正直なところ、意外に早いと感じています。

このIMF研究者の指摘は金融政策でデフレを脱却したいという黒田総裁をはじめとするリフレ政策信奉者と、日本は遠くない将来財政破綻するので、緊縮財政は避けられないという財政破綻派がそれぞれ自説を再考すべき論点を提供しているといえそうです。

金融政策リフレ政策信奉者に対しては、そう遠くない将来に買い入れ可能な国債がなくなろうという現在でも、インフレ率は当初狙いの2年で2%より相当低い水準にしかなっていないことです。
それにもかかわらず、国債買い入れを主体とした現在の異次元緩和が最善の解なのでしょうか。

一方、財政破綻派に対しては、国債が日銀と商業銀行との間で奪い合いになるほど人気がある現在、国民経済に大きな負担をかける消費税増税を行ってまで国債を減らして財政再建しようとする意味は一体何なのかという点です。

これらふたつの論点に対する私の答えは共通していて、このブログで繰り返し述べてきたように、経済が成長するなら、国債残高増大は気にする必要がない、というより当たり前であり、政府が新発国債を発行して財政出動をおこない経済成長を確実にすれば、デフレ脱却と財政再建は同時に達成可能でしょう。

金融政策リフレ派と財政再建派の皆さんはいかがお考えでしょうか。