シェイブテイル日記2

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日・中・ギリシャの財政健全性指標

昨日書いた記事 安倍首相が犯しつつある大きな誤ち - シェイブテイル日記 安倍首相が犯しつつある大きな誤ち - シェイブテイル日記 では、特に図表1で示した政府債務と名目GDPの関係に興味を持っていただいた読者の方が少なくなかったようですので、同じ分析を日本・中国・ギリシャでやってみました。

緊縮指向の日本・ギリシャ、成長指向の中国

図表1 名目GDPと政府債務の経時変化
出所:IMF WEO Oct.2014
名目GDP・政府債務ともに各国の2001年名目GDP=100として正規化している。
このグラフでは原点と曲線上のある時点とを結んだ線の傾きが、政府債務健全性指標の
「政府債務対名目GDP比率」になっており、その値(%)は国名の下のカッコ内に示した。

これらの国ではリーマン・ショックと欧州危機後の対応に大きな違いがあります。
日本ではリーマン・ショック時の2008年時の与謝野馨経財相が「ハチに刺された程度」と称してとりたてて何もしませんでした。

ギリシャでは2009年に政権交代があり、多額の政府債務隠蔽が発覚してEU肝煎りで財政健全化計画が奨められました。

そして中国では2008年11月にはリーマン・ショックに対応するため4兆元(57兆円)の経済対策が実施されました。

その結果は…
政府債務の実額の伸びは中国が最大でした。緊縮財政の日本・ギリシャはそれほど増えていません。(グラフ縦軸方向、2009年から2014年(上端)までの長さ)

一方、財政健全性指標はどうだったでしょう。
日本・ギリシャは緊縮財政の努力とは裏腹に、財政健全性指標(グラフの傾きつまり政府債務残高÷名目GDP)は悪化の一途を辿っています。(日本=245%、ギリシャ=174%)

ギリシャは悲惨なことに政府債務が一時より減っているのに、名目GDPはそれ以上に減らす政策により財政健全性指標(傾き)は却って悪化しています。

中国は4兆元の景気対策をしたことにより、リーマン・ショックの影響を回避し、それどころかその後の名目GDPの伸びに弾みがついています。
その結果、財政健全化指標は41%とリーマン・ショック前と殆ど変わりません。

このグラフのように、政府債務の伸びが最も大きかった中国が、緊縮財政に明け暮れる日本・ギリシャ(ともにデフレ)よりはるかに健全な政府財政状態という結果を知っても、なおかつ2017年春には消費税再増税、ですかね、安倍首相。