シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

ヨレヨレ? 変質アベノミクス

今日の日経朝刊5面には現状政策を肯定する人たちから見てもアベノミクスが万全とは言えない状況が凝縮されていました。

 私シェイブテイルは現状のアベノミクスは消費税により大きく変質していると捉えていますし、アベノミクスに消費税を付け足しても問題は生じないという内閣府のモデルこそ問題とみています。

2012年12月に第二次安倍内閣が発足し、最重要課題としてデフレ脱却を掲げ、その主要施策を3本の矢とするアベノミクスが始まりました。  しかし、消費税を上げた現在,当初の目論見とは違いアベノミクスは大きく変質したようで…
  変質アベノミクス - シェイブテイル日記 変質アベノミクス - シェイブテイル日記

宍戸駿太郎先生が、消費税で変質したアベノミクスについて語っています。 宍戸先生のマクロ経済モデルによれば、数年後も消費税増税の傷跡は深いようです。 (以下引用) ナレーション 2013年8月に政府が開催した消費税集中点検会合…
 宍戸氏:内閣府のシミュレーションはインチキだ - シェイブテイル日記 宍戸氏:内閣府のシミュレーションはインチキだ - シェイブテイル日記

ただ、安倍内閣とその周辺では消費税増税を含めた現行アベノミクスを肯定的に捉える向きも多数いらっしゃるわけです。

本日の日経新聞には偶然にもそれらの方達からも現行アベノミクスに対する要望?が出ていて、興味深いものがあります。

日商会頭ら「今より円高、心地いい」 中小への円安影響に懸念 経済界で一段の円安を懸念する声が出ている。日本商工会議所の三村明夫会頭は17日の記者会見で、「今より円高に進む方が心地いいことは間違いない」と述べ、行き過ぎた水準だとの考えを示した。内需に頼る中小企業を中心に円安に伴う原材料やエネルギー価格高騰への不安が強まっている。

 三村氏は「これだけ輸入が多い状況では、円安の負担が国民全般にかかる」と指摘。「今の日本経済にとってどの程度が好ましい水準か真剣に考えるべきだ。それは107円か、我々の感覚とは違う」とした。

 全国地方銀行協会の寺門一義会長(常陽銀行頭取)も17日の記者会見で、「輸出数量の拡大に結びついておらず、エネルギー価格上昇や資材高が中小企業の業績に影響を与えることが考えられる」と語った。その上で「円安の負の側面を十二分に認識した政策展開が求められる」と語った。

 一方、経済同友会の長谷川閑史代表幹事は同日の会見で、受け止めは企業ごとに違うとしたうえで「おおむね1ドル=100〜105円の範囲内であれば、なんとか経済成長を続けられる水準だろう」と語った。

 日銀の黒田東彦総裁は16日、大阪市内での地元経済界との意見交換会後の記者会見で、足元の円安について「日本経済にとってすぐにマイナスになることはない」とし脱デフレや輸出増につながる円安を容認する姿勢を示している。
   日経新聞 2014年9月18日朝刊

 シェイブテイルも、円安は当面進めば進むほど日本経済のためになると信じていましたが、事情はそう単純でもないようです。 確かに円高が進めば、国内事業所を抱えるのはリスクですので、輸出企業はもとより、原材料を輸入する企業でも事業所を海外に持って中間原料として国内に持ち込む例も多数あります。
ところが、過去日銀無策などにより円高が続いてきた結果、為替感応度がゼロに近い企業も多くなり、円安だからといってすぐに事業所を再度日本に戻すインセンティブが減ってしまっている可能性があります。 そうした場合、大企業でも急激な円安は得にならないケースも多いのでしょう。ましてや海外からは原材料を輸入するだけの中小企業なら円安は単なる業績悪化要因ということで、日商会頭や地銀会長らの円安懸念につながっているのでしょうか。

財務相「法人減税分、賃上げを」
 麻生太郎財務相は17日、都内で講演し法人税の実効税率下げで増える企業の利益について、「下げた分だけは内部留保はダメだ。きちんと(賃金や配当を)上げてくださいと申し上げている」と述べた。社員や投資家に減税の恩恵を還元するよう求めた。
 景気の現状は「企業が銀行から金を借りてまで設備投資をしていない」と指摘。「引き続き景気を良くするために経済対策をしていく必要がある」と語った。
 一方、経済同友会の長谷川閑史代表幹事は17日の記者会見で、賃上げなどを話し合う政労使会議の再開を政府が決めたことに関連して「来年10月の消費増税を控え、もう一年やることに意味がある。来年も(賃上げは)やむを得ないんじゃないかと思っている」と述べた。
   日経新聞 2014年9月18日朝刊

 これ、ちょっとヘンじゃないですかね。
 財務大臣の要望通りに賃上げをするとすれば、それはコストであり、肝心の税前利益が減ってしまうのですから、賃上げ原資に法人減税を使うって可能なんでしょうかね。 特に今年度以降、消費税で法人収益がガタガタになる予想が内閣府以外のモデルで示されていますから、減税対象となる利益は吹き飛ぶわ、賃金は上げたわで赤字企業が続出するおそれはないのでしょうか。

浜田参与「第3の矢に軸足を」 首相と意見交換
 安倍晋三首相は17日、首相官邸内閣官房参与浜田宏一エール大名誉教授と意見交換した。浜田氏によると、首相とは足元の景気動向では消費税率の再引き上げの判断をしづらいとの考えで一致。7〜9月期以降の経済情勢を見るべきだとの認識を改めて確認したという。
 浜田氏は首相に「需給ギャップが埋まってきており供給を伸ばさないと経済成長が実現しない。第1の矢(金融政策)から軸足を第3の矢(成長戦略)に移す時期が来ている」との考えを伝えた。
   日経新聞 2014年9月18日朝刊

 これも首をひねりたくなる記事ですね。
 内閣府以外のモデルだけでなく、昨今のGDP統計や東大日次物価指数を眺めると、需給ギャップは縮むどころか今年度は拡大方向ではないかと懸念されます。
今、潜在成長率を高め、供給を増強する成長戦略を軸足を移せば、デフレはより深化するのではないのでしょうか。

変質アベノミクス支持者の皆さんもご苦労が絶えないようですね。