シェイブテイル日記2

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宍戸氏:内閣府のシミュレーションはインチキだ

宍戸駿太郎先生が、消費税で変質したアベノミクスについて語っています。
宍戸先生のマクロ経済モデルによれば、数年後も消費税増税の傷跡は深いようです。

(以下THE FACT チャンネル(2013/9)からの引用)
ナレーション 2013年8月に政府が開催した消費税集中点検会合で、増税反対を唱えた筑波大学国際大学名誉教授の宍戸駿太郎氏に、「なぜ増税がいけないのか」を伺いました。

ナレーション 宍戸氏は8%消費税増税の是非を問う消費税集中点検会合に出席、経済成長を優先すべきとして消費税増税に反対した。

宍戸 賛成者ばっかりなん集めてるんですよ。消費税なんて今やるべきじゃないよと、いう意見の人たちは一切呼ばないで、私だけは計量モデルをやっているから呼んだんでしょうね。

私が話をしたのは「消費税増税をすると計量経済モデルの分析によればデフレを加速させますよ」と。

ナレーション 宍戸氏のモデルによると、もし8%、10%と消費税を上げたとすると、2020年にはマイナス56兆円になるという。これはリーマン・ショック時のマイナス41兆円をはるかに上回る数字。

宍戸 完全にアベノミクスはここでストップということですね。 第一楽章は素晴らしかったけれども、第二楽章は葬送行進曲のようなことになってしまって、第三楽章はもう収拾不能と。世界の笑いものになるだろう。国際的期待は、今アベノミクスが経済成長を加速するのだと、今まで止まっていた船が動き出したということで皆目を丸くしてみているわけですが、それにストップがかかるわけですから、これは精神分裂病ではなかろうかということを言ってもおかしくない。

ナレーション 1997年当時の橋本内閣が消費税を3%から5%に上げたことにより、名目GDPはわずか5年でマイナス24兆円も落ち込んだ。 その後これまで名目GDPが1997年の水準を超えたことはない。

宍戸 丁度ね。 橋本(龍太郎)さんの時と同じなんですよ。その前の年から景気が良くなって来ているんです。そこでデフレのブレーキを踏んだために、景気が急速に悪くなるんです。その辺のところの計量分析が、自民党は良くなかった。内閣府はいろいろと弁明していますが、我々からみれば、消費税2%上げましたから、これは深い影響がある。

ナレーション 消費増税をしないと株価や国債の暴落を招くという意見もあるがそれは本当なのだろうか。

宍戸 日本はむしろ海外にお金を貸している方だから、世界最大の債権国になっているんです。こういった国が財政破綻することはあり得ない。だから国債を投げ売りをして金利が暴騰するだとかあるいは景気が良くなるとすぐにインフレが起こって物価が暴騰するとかこれは具体的に計量分析をするとことは(デマだと)極めてはっきり分かるんです。


ナレーション ではなぜ政府や財務省増税に向けて突き進むのか。 財務省増税派が増税の根拠にしているのが内閣府のシミュレーション。これによると、消費税を10%にしても経済への打撃は数年で回復することになっている。 これはIMFのモデルに傚って作られたもの。

宍戸 我々も皆ビックリしているんですよ。なぜ内閣府がこんなモデルを出してきたのか。こんなもの日本に持ってきたって全然当たらないんです。 IMFのモデルというのは後進国用の財政再建のためのモデルなんですから。

ナレーション しかし、内閣府以外のモデルでは、消費税を10%にした時の経済打撃は深刻。増税5年、名目GDPはマイナス6%あるいはそれ以上落ち込むことになる。 

宍戸 内閣府のモデルは名目GDPがマイナス5%、6%下がる、これを隠ぺいするためのモデルなんですよ。だからIMF型のモデルは嘘八百だと申し上げているんですが、甘利さんにしても麻生さんにしても、その前で申し上げたんですが「どうも計量モデルはよくわからん」ということで。要するに危機感がないんですよ。 これは1年2年の問題ではなくて4,5年先まで成長が落ちますよと。
だからアベノミクスはもう駄目になるということなんです。

経済企画庁でモデルを作った時の、私は張本人のひとりですから。そりゃあ、計量モデルというもので正しい予測ができるものと、正しくない(内閣府のような)こういうインチキなものがあるという、本物と偽物の区別がちゃんとつきますから。

モデルにしても前は学者がちゃんとやっていた。それをぶち壊したのが橋本デフレ・橋本行政改革。こんどの(内閣府モデル)は役人が作っちゃったんです。もう話にならんのですよ。

(引用終わり)

前回、政府の効率化を図ったつもりの橋本行政改革。ここから日本の長期デフレが始まっただけでなく、政府はまともなマクロ計量モデルを放棄し、自分に都合の良いデタラメモデルで世論をリードしようとしているようです。

今回、2度の消費税増税を断行すれば、リーマン・ショック以上の破壊力があるという宍戸氏の予想。 政府関係者や官僚、マスコミは真摯に耳を傾ける必要がありそうです。