シェイブテイル日記2

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人類の累積人口は?

Les yeux clos: 今までに存在した世界人口累計 Les yeux clos: 今までに存在した世界人口累計 というブログで、世界人口の推定累積値、という誰でも一度は興味をもつであろう話題が提供されていました。

現人類が現れてからの総人口推定というのは非常に困難らしいのだが、研究者によって六百億から一兆二百億ほどとされている。

とのことで、ある人が雑誌に載せた「累計人口が100億人」というのは明らかに少なすぎらしく、国連人口推計が算出した結果、"How Many People Have Ever Lived on Earth?"に掲載された、妥当そうな推計、1000億人が紹介されていました。

過去の人口推移と、推定平均寿命は長期間にわたって数値が公表されています。(図表1,2) *1


図表1 人類の人口推移
出所:英語版ウィキペディアWorld_population 
ここでは紀元前1万年までしか表されていないが、サイトには紀元前7万年までの推計値が掲載さている。


図表2 人類の平均寿命推移
出所:Life Expectancy Throughout History

これらを使えば、自分でも過去から現代までに生きた人類の数は推定できそうです。
ただし、公表値は人口・平均寿命共に飛び飛びにしか公表されていません。また平均寿命については紀元前の記載がありません。 これらについては、エクセルを用いて、あいだの年は数値を補完し、平均寿命については、1万年以前も20才台前半と仮定しました。*2

後は、ある年の推定人口をその年の推定平均寿命で割れば、その年の累積人口への寄与人口が出ますので、それらを足し上げれば算出できます。

エクセルでの計算中に感じたことは…。
・1750年以降の産業革命から、人口増加と同時に平均寿命増加が顕著。
紀元前1万年から産業革命の間は、人口増加は顕著だが平均寿命増加はごくわずか。
紀元前1万年以前は人口が(恐らく)100万人を大きく下回るわずかな数だった。
・これらのことから、単年度の人口寄与は産業革命後爆発的に増大。
・紀元前、特に紀元前1万年以前は、人類の生存期間に占める時間的割合は極めて大きいにもかかわらず、灌漑農業が知られておらず、累積人口への寄与はわずか。

ということで出た結果は…。
紀元後: 359億人
紀元前: 130億人  合計 約500億人

こうしてみますと、1733年の飛び杼(とびひ)の発明に端を発する産業革命と、1万年前にメソポタミアで発明された灌漑農業の発明(これにより人類は炭水化物由来の豊富なエネルギー源を得た)は、人類発明史の中でもかなり際立った存在だと分かります。

今日1,2時間かけてエクセルで計算した結果は、国連人口推計局の推計値の半分ですが、こうした計算で必要なのは数字の桁ですから、ほぼ国連人口推計局が出した数値に近い計算といえるでしょう。

このような計算は、実生活には関連があまりないため、やる機会も殆どない計算と言えましょう。 
ただ、1,2時間ほどかけてこうした計算をしておけば、ここで自分でやった計算結果が、わずかながらでも、世間の常識とは関係のない、自分の常識の一部を形成することにより、大筋では正しい意見を形成することに寄与するように思います。

【2014.03.09追記】
ブックマークコメント欄で、「ホモ・サピエンス・サピエンスの歴史は15-20万年はあります。」と紀元前7万年までではなく、人類誕生からの累積世界人口を知りたいというコメントがありました。

人類の歴史は、どこからカウントするかによるのでしょうが、仮に100万年としましょう。

英語版ウィキペディアのWorld_populationの下の方の表で、7万年前の人口は15,000以下だった、という値があります。

当時の平均寿命を20才とすると、累積世界人口への寄与は750人/年以下、となります。 これを100万倍しても7.5億人以下。

今桁を知りたいとして計算しているところですから、紀元前1万年から紀元1年の間の一万年の累積世界人口、130億人と比較して無視しうる程度です。 仮に今の計算値を紀元前7万年以降と足しても359+130+8=497(億人)と答えは殆ど変わりません。

ちなみに、1年あたりの平均世界人口増加数は…
産業革命期の1750年から2013年までの260年間平均で、年25百万人。(7.9億人→72億人)
第二次世界大戦後の1950年を起点とすれば、年74百万人の増加。(25億人→72億人)
・農業革命期の紀元前8000年から1750年までの約1万年では、年8万人。(百万人→7.9億人)

ところが…
・人類誕生期から農業革命期に至る100万年間では、世界全体でわずかに年1人(!) (0→百万人)
しかも人類誕生期から紀元前7万年までなら、67年毎でみても、世界人口増加は一人以下(!!)(0→1.5万人以下)

産業革命以降、特に20世紀後半からの人口増加の勢いは、確かに人口爆発と呼ぶにふさわしい変化ですね。

*1:人口: http://en.wikipedia.org/wiki/World_population
平均寿命: https://filipspagnoli.wordpress.com/2009/09/29/human-rights-facts-148-life-expectancy-throughout-history/

*2:紀元前1万年以前の平均寿命が20才台前半、というのは全く根拠はありません。ただ、キリストの生きた時代に25才程度だった平均寿命が、それよりはるか昔、それよりずっと長い40才だった、などという仮定は誰が考えても誤っているでしょうし、逆に平均寿命10才、といった仮定は、生殖年齢が現代人よりはるかに若かったり、極端な多産多死を想定すれば、あり得ない想定ではないかもしれませんが、それでも推定累積人口が2,3倍増えるだけ。
いずれにせよ、紀元前1万年の人口が100万人、紀元前7万年に至っては、わずかに1.5万人以下に過ぎないとすれば、それ以前の年齢推定の誤りによる500億人という桁の累積世界人口への影響は軽微です。