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減価紙幣:tdam氏の疑問を考える

2回にわたって書きました消費増税にも負けない「減価紙幣」政策。
基本的にはどの地方自治体でも実施可能なデフレ脱却・景気浮揚策と考えられます。

2014-02-12 「大阪都構想」に対抗すべく自民党に実施提案した減価紙幣案 - シェイブテイル日記 「大阪都構想」に対抗すべく自民党に実施提案した減価紙幣案 - シェイブテイル日記

ただ、読者のtdam氏からは次のような疑問が寄せられました。

需要の域外漏出が完全に防げるなら費用対効果が高そうな政策。公共事業限定なら成功かもしれないが、大阪市に必要な公共事業が如何程か…。成功でも帰結は日銀・円の死=官僚が阻止。興味深い思考実験だが実現困難。

1.公務員給与の代替
減価紙幣は確かに公共事業にも使えますが、公務員給与の一部を選択制として代替することもできそうです。
たとえば、公務員給与のうち、8800円をそのまま給与としてもらうも可能、10,000ポイント(=行使価値1万円)の減価紙幣として受け取るも可能、といった具合に。
減価紙幣で渡した場合、キャッシュフローベースでは市は8800円キャシュアウトが減りますし10,000ポイントを受け取った人が、2年後(その時の保有者は誰かは分かりませんが)までに2400円分のスタンプを貼付するので、1万円として償還する必要がある二年後には市の手元には11,200円があるので、償還・消却しても1,200円が市財政に残ることになります。

2.市外地域との取引と域内閉じ込め効果
市内では10,000ポイントが、受入れ意志のある企業には10,000円商品券として使えるのが、市外向けではただの7,600円金券扱い、というのはちょっと格差が大きすぎますね。
こうした時を裁定機会と捉えて稼ぐ人たちが出てきます。市外の人には7,600円でしかない10,000ポイント券を買い取って、市内の人に売却すれば0−2,400円の間のサヤ取りができてしまいます。すると裁定機会解消に向け市場圧力がかかり、しばらくするとその濡れ手で泡、というのはほとんど機会がなくなり市外向けには8,800円程度の金券として使われる事になりそうです。*1

市外業者からみれば、通常10,000万円のものが8,800円金券で買われるのは割がありませんから、更に+1,200円を要求するか、減価紙幣を用いた商取引を断るかするでしょう。

従って、価格競争力が多少劣っていた地域内業者に減価紙幣を受け取って販売する機会が増加し、域内で、高い経済循環を閉じ込める効果がありそうです。

この減価紙幣は思考実験としては大変面白いものですので、更にケースを追加して、それぞれでどういった結論になるのか考えていきたいと思います。

*1: (0円+2,400円)÷2=1,200円のディスカウントで裁定機会解消の可能性が高いため