財務省だって空気で動く
インナーサークル*1での消費税増税推進運動では、その中心に「悪の中枢」が鎮座している、っていうのは妄想かも知れない。
なんだか彼ら、次官以下、一人ひとりにはそれほど悪気が無さそうな気がする。全員が単に周りの空気に合わせているだけ、というのか。*2
少し話が古いが、1998年、手段のみならず大蔵省の不祥事のドサクサに目的までの独立を勝ち得て、はしゃいでいた速水日銀は日本経済のデフレ化がはっきりする中で、ゼロ金利政策解除を強行。大蔵・村田政務次官の、「ゼロ金利解除で市場に送るシグナルが(金融引き締めに)変わることを心配している」との警告さえ無視。
そして大方の予想通り、速水日銀のゼロ金利解除強行政策は大失敗。翌年3月には、世論の非難轟々の嵐の中、速水氏らが話にならないと反対していたはずの量的緩和へと追い込まれた。
そしてその後は、以前から量的緩和策を主張してきた中原伸之氏ではなく、速水総裁が量的緩和政策の主唱者だったかのようにうそぶいていた。
このように、一旦権力を得た官僚組織の、政策失敗後の右往左往ぶりを眺めると、「誰も責任を取りたくないこと」自身が最大の目的化し、日本経済も量的緩和もどうなろうと、多数決で多い方を見極めることが最大の関心事、との観さえある。
要するに財務省消費増税も、大きく見れば財務省支配下の政治家・財界・御用学者・マスコミのインナーサークルによる策謀という感じがないではないが、上の速水日銀での多数決内容の大逆転などから類推すると、個々人レベルにおいては、財務省内でさえ、「出る杭となって打たれたくない」の一心で増税に動いている、という意味では、日銀のみならず財務省も、その駆動力は「空気」ということになるのではなかろうか。
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