シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

消費税増税使途にみる財政危機とデフレ

 来年4月、消費税が5%から8%に引き上げられます。
安倍首相はその使途を社会保障費に限定すると約束しました。
ただ、実際の使途をよくみると、財務省財政危機を演出しているに過ぎないことや、日本の消費税はなぜ日本をデフレに導くかがみえてきます。

❏安倍首相の約束
安倍首相は消費税を8%に上げる決断を下すにあたり、消費税の使途は、「社会保障に全額使う」と明言しました。

    安倍首相が4月引き上げ正式表明 「最後の最後まで悩んだ」  産経ニュース2013年10月1日

 ❏消費税増税による負担増は8.1兆円
 報道によれば、消費税が8%に引き上げられることにより、家計の負担増は6.0兆円、企業の負担増は2.1兆円、合計8.1兆円に上るとされています。

 消費税8% 見えぬ賃上げ 低所得者に負担重く Sankei Express 2013年10月2日

❏実際社会保障費に回るのは1.6兆円
安倍首相は消費税増税を全額社会保障費に使う、と明言しましたが、実際には同額社会保障費を増額する訳ではありません。高齢化により社会保障費は毎年1兆円の自然増がありますが、これは増税してもしなくても一緒です。*1

実際に消費税増税に伴って増額されるのは増税額の1/5とされています。つまり3%増税段階では1.6兆円に過ぎません。

  財務省 社会保障税の一体改革 資料4 4ページ

❏消費税率が増えれば輸出戻し税も増える
消費税の一部は、輸出企業に実質輸出奨励金となる輸出戻し税として支払われます。これは輸出比率の高い企業では税支払額を超えますので、例えばトヨタなどはまだ消費税は実質的には払ったことがなく、貰う立場です。
輸出戻し税は消費税5%で総額3兆円とされていますので、消費税が更に3%増えれば戻し税も1.8兆円増えます。
  

 戻し税 −どこか腑に落ちない輸出企業への消費税の還付  President Online 2013年2月4日号

❏ひっそり報道された公務員給与引上げ
国家公務員の給与は復興財源を捻出するため、12年度から2年間、特例として平均7.8%減額されていました。報道では年間約3000億円の財源を生み出していたとされています。その公務員給与の引下げが予定通り2年で打ち切られ、元通り給与が上がることが決まりました。

  国家公務員給与の特例減額、14年度は延長せず  日本経済新聞 2014年11月7日

国家公務員給与に限定すれば、財源への負担増は3000億円に過ぎません。
ただ、国家公務員64万人の給与は、間接的には地方公務員290万人の給与や、その他公務員に準ずる立場の272万人の給与の基準ともなりますので、実質的には推定2.4兆円の負担増となります。*2

❏残りが国債費に消える
ここまでに述べてきた実際の使途に使われなかった2.3兆円は国債費に消えると考えられます。

消える、と表現しているのは、国の債務を無理に返済することが日本経済には全くプラスの意味がないことによります。
財政再建にも全く役には立っておらず、消費税により、総税収は却って減っています。

自ら名目GDPを減らす不思議の国・日本 - シェイブテイル日記 自ら名目GDPを減らす不思議の国・日本 - シェイブテイル日記

以上を図示すれば図表1のようになります。

安倍首相は消費税全額を社会保障費に回すというが実際は1/5だけ

図表1 消費税増税使途
データ出所:本文参照。
安倍首相は「想定使途」のように全額社会保障費に使うと明言したが、
現実には「実際使途」のように社会保障費拡充には1/5しか使われない。

消費税の使途を全額社会保障費に回す、というのは財務省による言葉のトリックに過ぎません。
残念ながら、そこが分かっていない安倍首相はトリックに引っかかって誤った決断をしてしまいました。

また、財務省が「日本の財政状況が危機的」といいながら、実際はどう考えているかを示すのが、公務員等の人件費の大幅増額です。 破綻しかかっているどこの組織が、元々他所より高い給与を更に大幅増額などするでしょうか。*3
要するに財務省は財政問題を演出しているに過ぎず、実際には全く問題にはしていないからこそお手盛り増額できるのです。

社会保障の充実策部分は、税金を支払った国民に還付されます。
しかしそれ以外の、輸出企業の内部留保に消えてしまう輸出戻し税、高所得者で消費性向が小さい公務員給与の更なる増額、国債費と、日本の名目GDPにプラスとなりにくい使途が並んでおり、なぜ日本の消費税が日本をデフレに導くかも分かるでしょう。

*1:いわゆる埋没費用

*2:筆者計算根拠:労働運動総合研究所資料によれば、公務員等626万人の年収累計が34.7兆円。同資料から国家公務員の一人当たり平均給与は600万円、財務省資料から人件費は同900万円と見られることから、公務員等の人件費総額は50.7兆円。国家公務員の特例減額幅は対人件費△4.7%とかんがえられることから、特例減額が公務員等全体に与える影響は50.7兆円✕△4.7%=2.4兆円。

*3:民間給与平均が400万円、公務員平均給与は600万円、人件費としては一人当たり900万円。