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自ら名目GDPを減らす不思議の国・日本

デフレ日本が景気回復すると国債金利急騰(価格暴落)して大変なことに、という説があります。
でも決してそうはなりません。
こうした不毛な議論を続けて、デフレを目標としたり、インフレになりすぎるのを恐れたりしているうちに、いつの間にか日本経済だけ一目瞭然のとんでもない状態となっています。

ここ数回、消費税肯定論についていかに欺瞞に満ちているか、また消費税が必要という根拠とされる日本の政府債務は歴史的・国際的にみてまったく問題とすべき水準ではないことについて述べてきました。

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 実際にはまったく問題のない政府粗債務残高やあり得ない国債暴落リスクに怯えて、歴代政権・日銀が間違った財政金融政策をとり続けた結果、日本経済がどうなったかを一目瞭然でご覧にいれましょう。

日本以外の全ての国で名目GDPが飛躍的に増えた

図1物価と名目GDP 
1997年と比較した、現在の物価・名目GDP倍率
出所:IMF WEO (世界173カ国)
赤点が日本、青点はその他172カ国 物価指標はGDPデフレーター
物価をコントロールできない国では驚異的に名目GDPが増えている。
日本だけが物価上昇率が最低かつ名目GDP増加率は唯一のマイナス

更に日本を含む部分を拡大してみましょう。(図表2)

名目GDPが減った国は世界中で日本だけ

図表2 図表1円内の拡大図
台湾・香港は現在デフレではないが2000年代にはデフレだった。

日本は1997年以降物価(GDPデフレーター)は一度もプラスになっていません。
これは19世紀の「大不況」時代を抜いて数百年の世界金融史上最長の可能性さえあります。

物価と強く相関する名目GDPは、その間日本以外の低インフレ国でさえ、1.4倍(ドイツ)以上には増えています。日本は0.9倍。日本だけが世界で唯一名目GDPが減り続けているのです。

世界中の各国の賃金統計にはアクセスできませんが、名目GDPは賃金と強く相関しますから、他国が15年間賃金で賃金が最低でも4割ほどは増える中、日本のみは賃金が下がっています。

日本以外では欧州は欧州危機があり、中東・アフリカでは内戦など多様な国があります。内戦で無政府状態の国でも名目GDPは増えます。むしろ無政府状態の方が名目GDPの増え方が大きい位です。 それでも日本だけは名目GDPが減り続けています。

日本の財務大臣日銀総裁が物価が上がらぬよう、上がらぬよう、振る舞ってきた結果、こんな悲惨な状態となりました。

財務大臣ならば歳入増を目指すべきですが、実際にやっているのは世界唯一の名目GDP減少を通じた歳入減政策です。

今また財務大臣日銀総裁が「消費税を上げよ」と言っています。ここ数回のブログを読んで頂いた皆様は、消費税を上げても物価を下げる、名目GDPを更に下げるなど、何のメリットもないことはご理解いただいたでしょう。

もし更に消費税を上げれば、この日本経済の名目GDPが世界で唯一減るという不思議な状況は、更に悪化するでしょう。

日本以外の周辺国は、日本を敵視する国々を含め、円高で日本から雇用を譲ってもらい、低金利で自国への投資資金をまかなってもらって、デフレで投資を日本から譲ってもらい、日本がデフレ・低名目GDP政策を続けることで大変大きなメリットを享受し続けています。

しかし日本では前回書いたように名目GDPを減らすことで政府債務が加速度的に積み上がるだけ。
日本というは政府債務を積み上げて国民を苦しめ、周辺国に貢献する不思議の国というわけです。

こう書いてきてもなお、デフレを脱却しようとすると国債価格暴落(金利急騰)が起きるといったご意見をいただきます。
少し考えれば分かりますが、そんなことは起きえません。

仮に、近い将来ある金融機関が国債は危ない、円は危ないと思い込んで国債を全て投げ売った、としましょう。

しかし円貨は日本でしか通用しません。

海外例えばタイに円として持って行っても、使えるのは一部円建取引と土産物店位でしょうか。それらにしても、円貨の通用しない普段の生活では、円をタイバーツに両替せざるを得なくなります。 その円は必ず円貨が使える日本国内に戻ってきます。

では国内に残った円はどうなるでしょう。1兆円でも120㎥ほどあるらしいですから、タンス預金にも限界があるでしょう。 土地・株といった国内の資産を買うか、国内で貯金するかになりますね。
国内資産を買うのであれば、多少リスクのある国債を売ってよりリスクのある資産に買い換えているのですから、アベノミクスでもなかなか達成されていないデフレ脱却に一金融機関が献身的に貢献していることになります。ではリスクを避けて預金をすればどうか。銀行がマネーを預けられてそのまま放置し、金利だけ払えば逆ざやですから、金利を稼ぐため銀行は再び国債を買わざるを得ません。

要するに慌てて国債を売って得た円貨の使いみちは国内のリスクの大きな資産を買うか、預金するしかなく、預金となれば国債を再び買うしかないでしょう。万一、大規模に売られて金利急騰・価格暴落ともなれば、ますます高金利を求めて買いが入るでしょう。 このようにどうやっても一時的価格下落以上の国債暴落はあり得ません。

こうした有りもしないリスクに怯えていたのは麻生氏を含む歴代の財務大臣たちです。速水・福井・白川ら旧日銀総裁もそうでした。黒田氏だってそのケがあります。

1997年をピークに名目GDPが減り始めた直接の原因はこの年の消費税増税です。

安倍首相。 2%の消費増税でも日本はデフレ経済に突入しました。
既にデフレの中、3%の消費増税を強行すれば、経済恐慌を引き起こし更なる名目GDP減少に拍車をかけることだけは理解して下さい。