シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

消費税増税肯定論の6つのウソ

安倍首相が消費税増税の是非を判断するまであと10日ほど。
アンケートでも約1/3の方々は「増税やむなし」と判断しているようです。
ただ増税が必要だとする話はことごとくウソで固められていることはご存知でしょうか。

1.国民一人当たり800万円の借金
これは、9月15日に放送されたNHKスペシャル「シリーズ日本新生決断間近!どうする?消費増税
でも騙られたウソです。これに引っかかるようでは、オレオレ詐欺にも相当用心したほうがいいでしょう。 1000兆円の債務を抱えているのは日本政府です。その債権者の大半が日本国民ですから、「どうする政府、国民一人あたり800万円の返済を。」が問題提起としてはまだ正しいですね。

2.若い人たちのための消費税
財政破綻を避けるため、もうすぐ死にゆく老人のためではなく若い人たちのためにこそ消費税を引き上げるのだ」という話も聞きますね。
仮に消費税率引上げが必要だとしても、消費税は生活者の消費活動の大半にかかってきます。しかも消費税は8%増税で打ち止めとは政府関係者の誰一人いっていませんから、老い先短い老人よりも先が長い若い人たちこそ多額の消費税を支払わさせられる羽目になります。

考えるべき問題は、財政破綻が迫っているのかどうかということですね。これは後で触れましょう。

3.しっかりと社会保証財源をして使うから景気中立
この詐欺手口に引っかかる人が経済学者にさえ多数いるのは首をひねらざるを得ません。

分かりやすく考えるため、ここではある貧乏な日本国民Aさんを考えてみましょう。
シナリオ1:増税なしの場合 
Aさんは 今までどおりの納税に対し、今までどおりの社会保障給付を受けます。
シナリオ2:消費増税ありの場合
Aさんは、納税額が増えます。一方で政府関係者の誰一人として、消費増税を財源として、これまでより社会保障給付を手厚くするとは約束していません。つまり貧乏Aさんの社会保障給付は増税後も増えません。

シナリオ2からシナリオ1との差を見れば、納税は増えたのに、社会保障給付は一緒ですから、単純に国民からおカネを吸い上げるだけということが分かります。 もう少し正確に言えば、消費税のかなりの部分は輸出戻し税として輸出企業に補助金として給付されますから、貧乏人Aさんは政府と輸出企業に、なけなしのおカネを、何の見返りもなく、これまで以上に召し上げられることになります。

4.日本の財政状況は世界最悪
政府債務残高は、粗債務残高が1000兆円超です。また粗債務残高の対GDP比でも世界最高、純債務残高の対GDP比でも世界最高ですから、この話には納得してしまいそうですね。 このウソには、大半の方々が騙されてしまうでしょう。

ウソを見破る糸口は、日本政府は世界最高の借金を国民(とわずかな外国人)に負っているのに、日本は世界最大の債権国、つまり世界一外国人におカネを貸している国だ、ということです。 

世界一海外におカネを貸している日本国民は、世界一政府にもおカネを貸しているわけですね。
その日本国民に対して、借金を返せとどの口から言えるのでしょう?

世界一の金持ち国日本

図表1 主要国の対外純資産
出所:財務省資料
2010年または2011年時点での円換算値。

ではなぜ世界一の金持ち国日本で、政府だけが債務を膨らませざるを得なかったのでしょうか。
それについては説明が長くなりますのでこちらを御覧ください。
    NHKスペシャル「日本国債」の本当の問題 - シェイブテイル日記 NHKスペシャル「日本国債」の本当の問題 - シェイブテイル日記

5.日本には財政破綻が近づいている
デビットアッシャーという人は、1999年には早々と日本経済が2004年には破綻すると予言しました。
また現在維新の会に所属する国会議員藤巻健史氏は、2002年に2012年日本破綻を予言するなど、過去何度となく日本経済破綻を唱え、当然ながらことごとく外しています。カイル・バスという投機家は日本国債の売りにかけてファンドの大半を吹き飛ばしました。

 日本国債金利は過去数百年の世界金融史上でもまれに見る低金利です。どれほどまれか、といえば、少し前まで世界金融史上最低金利とされてきたのは1619年イタリア・ジェノバで記録した1.125%でした。*1
 日本国債金利はこれを400年ぶりに更新しています。 国債の返済が危ういと市場関係者が判断すれば、数年前のギリシャのように、国債金利は上がります。 それが世界金融史上最低金利という事実は、世界中の投資家の中では(カイル・バスのような◯ータリンを除けば)日本国債を危ないと思っている人は殆どいないことを証明しています。日本国債に対する保険料CDSもまた低水準です。

 これは、先ほど紹介したNHKスペシャル「日本国債」の本当の問題 - シェイブテイル日記 NHKスペシャル「日本国債」の本当の問題 - シェイブテイル日記にも書きましたように、日本政府の債務は確かに増えていますが、その理由はデフレで個人や企業がおカネを借りず貯蓄したままか、負債の返済に回すため、世の中に必要なおカネが回っておらず、政府が日本国民からおカネを借りて支出にまわしているためであり、支払先は円貨が通用する地域、つまり日本国内に限られ、円は政府と民間をぐるぐる回っているにすぎないのです。 

ではなぜ債務が単調増加するのか。明治初年には3000万円程度だった政府債務は今や1000兆円。3000万倍にも膨張しています。 物価水準はこの内数万倍しか説明できません。*2 しかし破綻の予兆は実際には何もありません。これは米国など他国でも同様です。資源国などの例外を除けば、政府債務は単調に増えていくものなのです。
 これは面白い問題ですので、皆さんにも考えていただいて、次回に回しましょう。

6.財政は黒字だと健全だ
せめてこれくらいは正しいと思いたいですよね。
しかし、これも相当に怪しい話なのです。 詳しくは次回に回しますが、これを考える糸口として、次のお話だけ紹介しておきます。
    財政黒字は危機の予兆? - シェイブテイル日記 財政黒字は危機の予兆? - シェイブテイル日記

実を言えば、、外債ではない殆ど日本国民から借り入れている政府債務を減らす必要があるのかどうかもかなり疑わしい話なのです。
     昭和恐慌は「一人当り90円の借金」を返済しようとして発生した - シェイブテイル日記 昭和恐慌は「一人当り90円の借金」を返済しようとして発生した - シェイブテイル日記
     「いかにして政府債務を減らすか」という問いが間違い - シェイブテイル日記 「いかにして政府債務を減らすか」という問いが間違い - シェイブテイル日記

更に言えば、日本政府はやろうと思えば日銀と協力して、国民経済に何の悪影響もなく、政府債務を100兆円単位で純減させる手段さえも持っています。
    債務を100兆円単位で純減させる方法 - シェイブテイル日記 債務を100兆円単位で純減させる方法 - シェイブテイル日記

いかがでしたか。これらの6つのウソを全て見破ることができれば、政府・マスコミ総がかりでの増税詐欺への耐性はかなりのものですね。
でも4つ以上も騙されているようだと、普段から詐欺には用心されたほうがいいかも知れません。

*1:http://www.econo.chukyo-u.ac.jp/academicInfo/cerPdf/cer24_05.pdf

*2:米価で見ると、明治初年と今の物価は2万倍の差。