シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

日本では本当は自殺は増えていないというウソ

昨日1997年の消費税増税以降自殺者が増えた、と書いたところ、「年齢構造をOECDにならって標準化すれば自殺率は増えていない」というご指摘を受けました。

具体的には図表1、2のようになっています。

日本の自殺者数は1997年を境に増えたが、標準化自殺率では以前に戻っただけに見える


日本の自殺者数推移(図1)と年齢構造を標準化した自殺率(図2)
出所:社会実情データ図録
同じ図は、富高辰一郎氏著の「うつ病の常識はほんとうか」(2011、日本評論社p29)にも記載がある。

この図はある意味で興味深い考察ですね。ただ、1996年までバブル景気だったかどうかには異論がありそうですが。

図表3は内閣府が発表している原因別自殺者数です。

1997年以降各原因での自殺者が増えた

図表3 原因別自殺者数推移
出所:内閣府が警察庁資料を元に作成した資料から筆者作成。
縦線は1997年。

原因別自殺者数推移を見れば、1991年頃のバブル崩壊で自殺者が増えた、というよりもやはり1997年の出来事、消費税増税が原因となっている可能性が高いと考えられます。

増加が著しい経済生活問題は因果関係が分かりやすいですし、家庭問題・勤務問題も同様でしょう。
「健康問題」とされている部分にしても、警察庁の「平成 21年中における自殺の概要」によれば、健康問題とする自殺者の4割以上にはうつ病があったことから、健康問題として自殺した人たちの背景にも経済問題があったことが推定されます。(うつ病は1999年ころから急増)


ではなぜ、標準化自殺率では、単に元に戻っただけのように見えるのでしょうか。

これは推測になりますが、日本では少子高齢化と世帯当たり人員数減少が続いています。
そうなると、世帯の家計や企業業績の責任を担う人の比率は、子どもがたくさんいた高度成長期の日本や、現在のインドなどに比べて現代の方が当然高いでしょう。 こうした、責任ある世代層が増えた、という人口構成自身が日本での1997年以降の自殺多発の背景となっているのに、これを「標準化」してしまえば、当然自殺率は圧縮されてしまって、自殺多発の現実(図表1,3)は覆い隠されてしまいます。

色々なデータで水平比較する場合に標準化は多用される手法ですので、それ自身は否定すべきものではありませんが、だからといって、1997年以降の日本で自殺は大きな社会問題ではない、と考えるのは間違いでしょう。

【追記2013.09.20】
意外に、消費税と自殺増加が無関係という方がいらっしゃるようなので、もう一段詳細な分析をしました。
図表4は図表3で用いた自殺率の年変化率のグラフです。


図表4 バブル崩壊後の原因別自殺率の変化率
出所:図表3データより筆者作成

素直に見れば、橋本増税後の消費税の最初の支払が必要になった年(1998年)に自殺が急増しているのが分かるでしょう。

1998年に経済問題による自殺で前年比7割増もの人の命が奪われました。また、勤務問題、家庭問題、学校問題、更には健康問題での自殺も、1998年に大幅に増加しました。
経済問題以外の自殺も、少し考えれば1998年から急に発生した経済問題につながっていると思いますがいかがでしょうか。