シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

財政黒字は危機の予兆?

家計では黒字が良いに決まっています。 一方、政府の財政が黒字になれば危機の予兆だとしたらどう思われますか。

米国では19世紀以降、財政黒字期は7回ありました。特にそのうちアンドリュー・ジャクソン大統領時代の1835-37年には政府債務が完済されました。

ところが、この時を含めて7回のうち6回は財政黒字期の直後に景気後退期が続いています。(図表1) 
6回目は1920年代で、その直後に世界大恐慌が続きました。

7回目はビル・クリントン大統領時代で、この時だけは直後に大きな不況は訪れませんでした。ただ、その当時はアラン・グリーンスパンFRB議長を務めており、巧みな金融政策の結果、ITバブル、サブプライムバブルとバブルの乗り換えで凌いた結果、大きな景気後退期はリーマン・ショックまで先送りされたのかも知れません。

日本での財政黒字期といえば1985-1992年のバブル期が相当します。その直後にはご存知の通りバブル崩壊が訪れました。

米国での財政黒字期7回のうち、6回は直後に景気後退期が訪れた。

図表1 財政黒字期と景気後退期
出所:The Federal Budget is NOT like a Household Budget

家計での黒字は歓迎すべきことですが、政府が黒字だとなぜ引き続いて不況が発生するのでしょうか。
これは今のところ、筆者にはその理由がはっきりとは分かりません。
ただ、一部推測できるパターンはありそうです。

図表2 日本国の純資産と純債務

図表2は前回のエントリーで触れた日本国の純資産・純債務ベースでのバランスシートです。
この図で政府債務が減るパターンとして考えられるのは、企業や家計が積極的に債務を増やし、政府債務の肩代わりをするケースです。 1920年代の米国、あるいは1985-90年の日本はこのパターンでしょう。 バブルにより税収も増え、政府債務が減りますが、その後のバブル崩壊により大きな景気後退に陥っています。

逆に、政府債務削減自身を目的として緊縮財政を行った場合、1929-31年の井上財政や1997年の橋本増税のように、債務削減は実現せず、いきなり景気後退が引き起こされてしまうようです。(政府債務削減策が家計資産削減に働く)

米国では1837年以降、政府債務が170年以上連続して存在していますが、特に通貨危機が懸念される状況ではありません。
日本でも明治初期以来、140年間桁が8桁増えるほど政府債務が増えていますが、国債金利は1%以下で通貨危機財政破綻も兆候はありません。
桁が8桁増えても持続可能な家計債務は存在しないでしょう。
日本政府の債務は明治以来8桁も増えたが特に何も起きない

図表3 日本の政府債務の長期推移
出所:2002年まで=総務省統計局政府債務現在高、2003年以降IMF

ここに述べたような、政府債務と家計債務の際立った違いを理解しないで、単純に「政府債務が増えたので削減せねばならない」などと考えて政策立案すれば大きな過ちの原因となることは明白です。