シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

日経新聞は消費税にはNEEDSを使いたがらない?

安倍首相が消費税増税について判断する時まで後約1ヶ月。日経新聞の保有する日経NEEDS経済モデルを使って、消費税増税の影響を調べるとどうなるでしょうか。

日経NEEDSとは、日経新聞の子会社、日経新聞デジタルメディアが運営する経済モデルです。同社ウェブサイトによれば、NEEDSモデルでは四半期データを元に消費や投資などのGDP項目や、生産、物価、企業収益、雇用、貿易、金融、為替レートなどの相互依存関係を、約200本の方程式で表しているとか。

日経新聞はこうした大規模なマクロ経済モデルを保有するのですから、消費増税の影響をシミュレーションして発表しているかと思いましたが、意外に日経には載っていないようです。

そういえば、ずっと以前にはNEEDSのマクロ経済シミュレーションを日経紙上でもっと目にしていたような気がして検索してみると、NEEDSを使って消費税の影響を調べた書籍が見つかりました。

「これでいける日本経済復活論」。著者は日本経済復活の会会長の小野盛司氏です。
小野盛司氏は、日本でデフレが始まった頃、先日の消費増税集中会合でも60名の識者のひとりに選ばれた 国際大学筑波大学名誉教授宍戸駿太郎氏から、宍戸氏自身のシミュレーション論文と日本国内の計量経済モデルを保有するシンクタンクをいくつか紹介されたとか。

ところが、複数のシンクタンクでデフレ脱却のシミュレーションを行いたいと申し出たところ、断られた上、どうやらブラックリスト入りしてしまったので、NEEDSを自ら駆使して、デフレ脱却への方策をいくつも検討したということです。

その中に、消費税を5%から増減させたシミュレーション結果も掲載されていました。
図表1,2はその結果を引用したものです*1 。

消費税を上げれば実質GDPは減少する

図表1実質GDPに対する消費税率の影響
出所:小野盛司著「これでいける日本経済復活論」図3・3
日経NEEDSを使い、起点を2000年として消費税率による
5年後の実質GDPに対する影響をシミュレーションしたもの。

図表1のNEEDSシミュレーション結果から、消費税率アップにより実質GDPが大幅に減少することが示されています。消費税率アップにより仮に財政再建がなされるとしても、国民経済の著しい毀損が代償となることが分かります。

日経新聞によるアンケートでは過半数が予定通りの消費増税に賛成だとか。賛成する方たちは消費増税で、自分の給料や雇用が脅かされることを分かっているのか甚だ疑問に感じます。

では、物価に対する消費税率の影響はどうでしょうか(図表2)。

消費税率を上げればデフレが深化する

図表2 物価に対する消費税率の影響
出所:図表1に同じ(図3.5改変)。
日経NEEDSを使い、消費税率による5年後の物価に対する
影響をシミュレーションしたもの。

1997年に橋本龍太郎首相が消費税率を3から5%に上げた後、日本は明確にデフレ経済に突入しました。

NEEDSモデルシミュレーションでは、消費税率を上げれば上げるほどデフレが深化することが示されています。逆に消費税率を下げれば物価下落は緩和されますが、消費税率を0%にするだけでは、インフレ転換まではいかないようです。

アベノミクスの金融緩和によるデフレ脱却を主導しながら、消費税率を少しずつ上げていくことを主張する本田内閣参与らは、消費増税がデフレを深化させることをご存知で主張されているのでしょうか。

日経NEEDSは商業的に公開されていて、大学やシンクタンクでのマクロ経済シミュレーションにも活用されています。
ところが、グーグルで検索してみても、NEEDSでの消費税率の影響は、大学・シンクタンクからは殆ど発表されていません。マクロ経済モデルでのシミュレーション結果を発表しているのは、小野盛司氏、宍戸駿太郎氏ら、財政政策による経済成長・デフレ脱却を唱える人たち位です。

日経新聞は消費増税は既定路線と言わんばかりに連日増税プロパガンダを紙面に載せています。
その一方で、今年の日経新聞でのNEEDSモデルでのシミュレーション結果報道と言えば、6月に報道された消費増税直後には経済が落ちこむという、だだそれだけです*2
日経新聞はNEEDSを用いての消費増税のシミュレーションも当然やってはいるのでしょう。
日経社内では、これと毎日紙面を賑わせている盛んな増税プロパガンダとの間でどう整合性が取られているのでしょうか。

*1:同書でのシミュレーションの起点は2000年ですから現在を起点とするシミュレーション結果ではないことには注意

*2:日経新聞2013/6/21  13年度実質2.7%成長、14年度0.0%